巧遅は拙速に如かず

仕事、自己啓発、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

会社の誤った行為を正した時間と苦労とその経験は、前職での成果になるか

面接の質問で「前職での成果を教えてください。」というのがありました。

そこで、私が悩んだのは、「会社にいた先輩や上司などが、違法とは知らなかったことを含めて、間違っていたことを正しくした」のは成果として、面接で話してよいか、でした。

前職は設立して10年程度の新設企業でした。会社を立ち上げ、軌道に乗せる際の試行錯誤している間、人の入れ替わりも激しいなかで、いつのまにか生じていた法律違反や誤解してできた慣習を改めて作り直すことでした。基本的には法律の知識の乏しさゆえの事態であり、私が転職した時の最初の仕事は、この過ちを正すことでした。

…具体例を書くことはやめました。やはり、見ている人がほとんどいないブログでも法令違反行為を書くことは躊躇しました。

本当にこれを正すのには苦労したのです。

特に在籍の長い先輩や上席者に、自分たちがやってきたことは実は法律に違反していたということを理解させ、そして納得させるのは骨が折れました。

「前任者は、労働基準監督署出身の人だ。法令違反をするはずがない。」と反発されました。でもどんな人でも法令違反を気づかないうちにしてしまう人もいます。誰だって、見落とし、勘違い、法改正に未対応の事柄はあります。そもそも、その人は履歴書を見るに、非正規のパート出身者で、数年間、一般事務をしていた人。監督官ではないのです。しかしそれは人事ではない他の人にはいえない。

例えば銀行出身者が銀行業務の現在から過去の業務すべてを知っているわけではないように、労働基準監督署にいてもすべてを知っているわけではない。それに、そもそもその人がいた部署と管轄が違うところで法律に違反した間違った行為をしている。そもそも弁護士だって、社会保険労務士だって普段しないところで間違える場合もある。そう理解させるのにかなりの時間がかかりました。そして、私が在籍した3年半程度の期間で、そのすべてを正すことはできませんでした。

今も存続している会社なので、今頃は後任の人から見たら、私が間違った法令違反行為をになっているのだと思います。今思えば、私も間違っていた処理もありますので、自分だけが正義だという気はありませんが、やはり特定の人だけしかしない仕事、というのはそういう落とし穴があります。

そんな誤った行為を正す行為は、時間がかかり、神経を使い、骨を折った仕事ですし、誤っていることは知っていたけれども、前任者や先輩に恥をかかす行為だし、抵抗もあって、正したくてもこれまでできなかった役職員には、代わりに私がやったことを感謝されましたが…。

悔しいけど、やっぱり、功績として面接の場で話すのは難しそうです。面接で「前職は法令違反をしていました」というような発言をするのはどうかと思いますし、面接官としても、そんなことを発言する人間は、自社に入社しても違法行為だと公言するタイプだと思われて、雇うのに躊躇するでしょう。

…転職では評価されない、無駄な時間でしたね。