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仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

10/21 雇用調整助成金の今後について報道されていましたね その2

10月21日 雇用調整助成金に関するニュースが3例報道されていました。今日は、それぞれの記事について、コメントしようかなと。

※12月8日追記 確定版がHPにアップされたので、取り消し線により訂正しました。 

雇用調整助成金 コロナ特例 2023年1月末で廃止

何社かが報道しています。やはり、12月、3月は避けて、1月で特例を廃止するという内容みたいです。1月末で廃止したらその申請の最終締切は3月末。今年度中で、特例への対処は終了、といったところでしょうか。どうやら、HPを見ると来週分科会が開かれるようなので、そこで決まる

12月8日追記 厳密には来年2月1日以降に始まる給与計算は全事業所で助成率と上限額の特例をやめて、通常に戻るということ。なので、金銭面以外の特例の一部は来年3月末まで残っています。

雇用調整助成金 コロナ特例 助成率を原則12月1日からもとに戻す

通常の場合の80%~90%の助成率を、もとの67%に戻し、売上が極端に振るわない会社以外は、12月から助成率、1日あたりの助成金の上限金額はもとに戻る、と。10月12日の報道では、業績不振な会社の助成金額の上限が9,000円になるという内容だったので、報道内容がちょっと違うところもあるかな?

簡単に言えば、成率の上乗せ、上限金額のUPは通常は11月末まで、業績不振な会社は令和5年1月末まで、というニュース。

助成率、額が通常に戻ることは触れていますが、他の緩和要件を含めたコロナ特例期間はいつまでか、事前の計画届が必要か、休業日数の上限とか、その他の要件とかの緩和が
どうなるかまではよくわからず、報道機関によって、書き方も若干違う模様。尚、「検討に入った」というニュースですので、確定ではないため、?表記しました。

12月追記 確定版判明しました。別記事にまとめましたので、ご確認下さい。

会計検査院が、助成金の算定に係る支給額の算定方法へ意見

www.jbaudit.go.jp

これは会計検査院がHPで報告されたので、決定事項。この報道はびっくりしました。
コロナ禍前からある雇用調整助成金の算定方法自体を変えるよう言っているので。以下個人的な理解ですが、会計検査院が調査した結果、既に10億円以上実際の休業手当より多い金額を助成金として会社に支払ったことがわかったので、この計算式を見直せ、とのこと。

以下、雇用調整助成金助成金額の算出方法をまとめると以下の通りとなります。尚、小規模の簡易計算方法、所得税徴収高計算書を用いた方法はコロナ特例のみ採用された計算方法なので省きます。

雇用保険被保険者の1年間の賃金総額(※1)÷月平均雇用保険被保険者数(※2)÷1年間の所定労働日数(※3)×休業手当の支払率(※4)×休業延日数

※1 労働保険申告書に記載した1年間の賃金の総額(★1)
※2 毎月月末時点の雇用保険被保険者数の12か月合計÷12
※3 所定労働日数ではなく暦日数の365日になる場合あり。*1
※4 休業協定書で定めた休業手当の計算方法で、月給、日給、時間給のうち、どれだけ休業手当として支払うか(★2)。60%~100%。

★1…賞与、残業代、歩合給、という賃金のほとんどが含まれる。
★2…労基法の平均賃金*2の金額以上なら、労使が合意した、例えば、賃金の基本給÷所定労働日数×〇%でもOK。時間外手当を含めなくてもよい。また、賞与は含まれない。*3


★1は賞与分や残業代等を含めた賃金総額であり、それをベースとして会社に助成金が支払われている(①)、
そして、会社が労働者に支払うのは、★2の協定で合意した休業手当(②)。
①-②がプラスになった場合、その金銭は会社の利益として計上される。
そして、会計検査院が実際確認したら多くの会社の利益になっていたという内容。そこから、

雇用調整助成金が休業手当より多い。その差額が利益。おかしいんじゃね?というのが今回の意見表示かと。

そして、これまで急いで支給することを優先したそれはわかるが、今後はこの計算式をなんとかしろや、といっているのではないかと。

そもそも、上記の計算式によって、会社の利益がでる場合がある、というのはその業務をしたことがある人ならば、知っている人も多いと思うんです。申請用紙どおりに計算して申請して、結果として会社に利益がでたとしても、申請した会社の”不正”にはならないと思う。(思うです。念のため繰り返しました。)なぜなら、そういう計算式がもともと申請用紙に用意されているのだから。
また、この計算式の構造は私のような一般人でも知っているのだから、おそらく厚生労働省とかもその問題点は知っていたはずなのでは?推測だけども、なんらかの理由があってわかっててこれまで採用していたと思う。(おそらく休業する際に賃金の水増しをさせても助成金に反映させないため)それを今回、会計検査院がこの問題を対処するよう意見したことを公表した。ちなみに通常版の助成率は2/3または1/2なので、利益が計上されるケースが少なかったのでそこまでにはならなかった。100%、90%の助成を続けていたから、利益が計上された。(賞与、残業代の割合がそれだけ高かったというわけですから。)

長い説明となりましたが、勝手にまとめると以下の通りかなと。
助成金は会社が負担する休業した分の人件費の助成であって、その人件費以上支払って会社が利益を計上することがないよう、今後雇用調整助成金の計算式を見直すことになりそう。

3つのニュースの所感

10月から旅行関連の制限もなくなったわけだし、新型コロナ関連による休業の助成はこれにて”ほぼ”終了に向かう、という感じですかね。
前の記事にも書いたけれども、今でも実際に影響を受けている会社を除いて雇用調整助成金などの政府の援助をあてにしていて対策を講じていなかった会社は、退場という形になるのかなと思います。休業をずっとしている労働者は他の会社に転職または出向しろ、と。

補足 世論、政治家、マスコミへの苦言

このブログではその退場する企業を調べることを目的に、雇用調整助成金とかを調べて記事にしてきました。なので、雇用調整助成金自体の是非について述べること、雇用調整助成金の正確な情報発信をすることを目的とはしていません。

ただ、1年半ぐらい前までは、マスコミが旗を振り、拡充しろ、早くしろ、簡素化しろ、の大合唱だったのに、今や、不正の野放し、雇用保険の無駄遣いという扱い。

私の記憶では、厚生労働省の役人が決めるのを待っていたら先に進まない、早く支給しろ、簡単に申請できるようにしろ、性善説ですすめろ、責任は政治家がとる、とか当時の総理大臣とか、TVでコメンテーターが大きな声で言っていましたが、その結果、その性善説をとった簡単な用紙で迅速に支給した弊害で多くの不正受給が報道されている。そして、その不正を見つけているのは、大騒ぎしていた政治家でもTVのコメンテータでもなく、悪人扱いされていたその役人なんでしょうね。(警察官を役人と呼ぶのかどうかは知らない。)で、コメンテーターはあれだけ煽っておいてこれについては何もいわないの?

政治家はもう来年1月といわず、とっととやめるよう決めちゃいなよ。
決断と実行。

11月1日、13日、19日、12月8日 誤字や表現を修正しました。
確定版で一部修正しましたが、10月21日時点で書いた内容自体は殆ど変えていません。

*1:労基法に定める平均賃金(3か月総額÷暦日数)で休業手当を支払う場合は、暦日数(365日)

*2:3か月の総賃金÷暦日数×60%が原則。但し、最低保障として、3か月の総賃金÷3か月の労働日数×6/10×60%の基準がある。この計算の場合、時間外労働や歩合給も含まれるが休日も含む暦日数で割った1日当たりの単価であり、休業日は法定休日の週1日の休みは含まれないため、金額が低くなる可能性が高い。最低保証は労働日数が少ないパートタイマー労働者の場合、採用される場合がある。

*3:尚、歩合給部分で〇〇ハイヤー雇用調整助成金が報道されたこともあったためか、別途計算することになった模様。詳細は歩合給のリーフレット参照。