けーせらーせらー

仕事、転職に関するエトセトラ

雇用調整助成金 通常版 残業相殺とは(11/5)

雇用調整助成金、通常版、11月2日発表のリーフレット5ページの②残業相殺は行いません、について、ざっくり紹介。

その名の通り、通常版はもともと”残業相殺”という、休業日数、休業時間から時間外労働を差し引く、という仕組みがありました。

そもそも何故そのような制度があったのか?

例えば、1日の所定労働時間が8時間で、月曜日から金曜日までの週5日勤務、合計1週40時間勤務の事業所があるとします。そこで月曜日の1日8時間休業し、火曜日から金曜日までの4日間で各2時間、計8時間残業をしたとします。そうしたら、4日×10時間=40時間で1週の労働時間は変わらないですよね。ですが、1日休業したので、その1日分助成金がでることになります。それならば極端な話、週3休(1日は休業)、4日×10時間労働(残業計8時間)で働いた場合、1週の労働時間が同じでも1日8時間分の助成金が受給できる、つまり人件費が浮く、ということになります。でも、労働時間は変わらないのだし、もともとそういう時間調整を目的とする助成金ではないです。事業活動の縮小が原因であって、単にその日に仕事がないという日ではないです。ですが、理論上可能なため、そういう行為を防ぐために、残業分を相殺しましょう、という話だと推測します。相殺すれば、休業時間8時間ー残業8時間=0時間で、休業申請はなし、となります。合理的な計算方法であり、理屈が通ります。

では、この誰が見ても合理的な対応であろう残業相殺をなぜやめていて、それをどんな会社でも来年3月末まで続ける、というのは何故だろうと思いませんか?

この疑問について、今のところ、厚生労働省から説明は多分なかったと思います。(どこかにあるか、また今後あるかもしれませんが見つけれませんでした。)

以下、根拠のない私の推測です。

残業相殺の仕組みは、通常版のガイドブックに12ページから17ページまで、小さい字で解説があります。そして、実行するとしたら、46ページの表を作って提出する必要があるでしょう。

ガイドブックの説明は、変形労働時間制や、時間外労働の把握の仕方の説明ですが、労働基準法上の変形労働時間制や時間外労働について、どのくらいの人が理解できますでしょうか?また、勤怠管理(時間外労働の管理)が正確にできますでしょうか?そして、正確に申請できますでしょうか?そして、その申請が正しいことを確認するためにどれだけ追加資料が必要で、厚生労働省にいる確認をする人はどれくらいの時間をかければあっているかどうか確認できますでしょうか?

要するに、申請から支給までの時間がかかってしまうことと、申請が上手くできない事業所の切り捨てになるのを避けるために来年3月末まではやらない、と決めたのではないでしょうか?

ちなみに、厚生労働省のHPでは、過去のリーフレットも見ることができるのですが、令和2年4月のリーフレットでは、残業相殺は「当面停止」します。と記載してあります。「当面停止」なので、いつかは動くかと思われます。

尚、ガイドブックの12~17ページを解説すると、もう労働基準法の解説に等しくなりますので省略しました。

2/5追記 厚生労働省のHPに「計画一覧表、実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書」というのがあります。このExcelを利用して試しに数字を入力すると、イメージしやすいかもしれません。

www.mhlw.go.jp