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仕事、転職に関するエトセトラ

雇用調整助成金 通常版 雇用量要件とは (11/6)

雇用調整助成金 令和4年11月2日付リーフレット ⑤雇用量要件を満たす必要があります、についてざっくりと。リーフレットに掲げられた①~⑤についてそれぞれ記事にしましたがその最後の記事になります。

前置きです。
タイトルに日付を書いているのは、確定以降、誤りになる可能性があるためです。専門家が名前をだして案の段階で解説しないのは偽情報を流さないため。私の場合は、予測として記事にしています。これは何度もいっていますが、実務者がこういう情報が確定してから動いていては遅いから。尚、確定版がでた後にこれは外れすぎてまずいなと思ったら削除修正するつもりです。

さて⑤雇用量要件は前に書いた記事の①計画届での添付資料でもありますので、これから書くことは内容がかぶります。ただ、ほかの要件緩和がどうなるのかはわからないなかで、予定ではありますが雇用量については復活を明言してきたので重要なところとして別枠として記事にします。

雇用量要件は、ざっくりいうと、「前年同期比で労働者数が一定数、一定割合増えていたら助成金の対象外になるよ」ということかと。

なぜ「通常版」は雇用量が増えると助成対象外にしているか?それは、雇用調整助成金というのは「事業活動の縮小」を余儀なくされている事業所が対象。そしてこの「事業活動が縮小している状態」というのはどういうことかというと④で書いた生産指標の一定率の縮小、⑤の雇用者数の一定率・数以上の増加、この2つ両方とも満たす状態であると定義されているからです。

厳しめの言葉で説明すると、休業せざるをえない状況に陥っているなのに何故人員を増やしているの?人員を増やすのは事業所の自由だけれども、人員を直近で増やしておいて休業させるなら、そもそも増員しなければよかったんじゃないの?そういう事業所に対して雇用保険料を原資に助成するの?ということかと。(その休業自体、経営者の人員に関する考え方の問題でもあり、雇用保険料を原資に担保する者ではない、または人員に関する不適切な助成金に使われないようにするための定義かと)

労働者数が一定以上増えていた場合事業活動は縮小していない、という定義の中で特徴的なのは、この労働者数の中に派遣先として受け入れている労働者数が入っているところがポイントです。これは派遣労働者を増やして派遣労働者に仕事を振って、正社員等は助成金を貰いつつ休業とかいう行為はどうなの?ということかと。(派遣労働者の休業は、派遣先でなく派遣元が支給申請の母体であり受給対象ですから、助成対象にならない受け入れた派遣労働者をカウントするというのが特徴的。)

話はそれますが、雇用関係の助成金を見て思うのは、厚生労働省としては派遣社員とか非正規雇用という雇用が安定しない待遇というのは好ましくないと思っていて、なんとかこれを助成金というものを使って”正社員”か”無期雇用”にさせたいのではないかという意図が感じられるのです。キャリアアップ助成金とか問題があっても制度自体は続けているのを見るとさらにそう思います。(じゃあ、その労働局管轄のハローワークの職員とか非正規公務員は無期雇用転換ルールが適用されないのか、という矛盾がありますが)

話を戻しまして、では、なんでコロナ”特例”で大前提である雇用量要件をなしにしていたか?
私の推測なのですが、コロナの休業は令和2年春頃に急に広まったと記憶しています。
ちょうど、学卒の新規採用が入社する直前直後の段階。転職採用も春が多そう。そういうタイミングで人が増えたらダメという基準があるならば、休業の助成を受けるためにこの新規採用の人を(試用期間中に)クビにするか、内定取消にする可能性が高い。雇用維持の助成金があるために失業者を増やしたら本末転倒。第2の就職氷河期は作らない。だから、この基準を外したのではないか、と思っています。

そもそも雇用調整助成金を支給する大義が通常と今回の特例とで異なるわけです。通常は人を増やしておいて休業した分を助成するのはどうか?ということですが、今回の特例の場合は、永続的に続くとは思えない新型コロナウイルス対応での解雇を防ぐことを目的としている。というのが私の理解です。

では、今度も4月に新規採用するのになぜ復活するのか?おそらくコロナから3年も経過しある程度は予測もある程度たつ中で、新規採用で”人員を増やす(退職者の欠員補充ではない)”のなら、雇用調整助成金の大前提である事業活動の縮小どころか事業を拡大しているわけだから助成する必要はないよね?ということかと。

さて、そうはいっても増員した後でもコロナの濃厚接触者拡大による休業は予測できないが、その点はどうなるんだ?と思われる方。これは何度も記事で書いていますが、雇用調整助成金は濃厚接触者の休業補償ではありませんし、雇用調整助成金はそもそも「事業活動の縮小」状態にあることが要件であって、そもそも濃厚接触者の休業補償をするための制度ではないはずです。濃厚接触者によって事業所がお休みになったりするなどして、結果的に「事業活動が縮小」した結果、雇用調整助成金の特例の要件に該当した、ということだと思います。

以上推測でした。雇用量要件の定義自体は公表資料で書いていますが、なせその定義があるかその理由が書いていないので、そこを私の推測で埋めてみました。念押ししますが、政府の公式な解釈ではないのでそこはお間違えなく。自分なりの考えであったとしても、理由がわからないと何でこの要件があるのかわからないですから。

さて、リーフレットの最後に気になる表現があります。他の要件についてはリンクを貼った通常版ガイドブックを見てね、という案内。ということは、他の緩和要件も復活する可能性があるかもしれない。確定版や、FAQの更新待ちです。


最後に

転職をテーマの一つとしているブログとしては、この雇用量要件と、その他の不支給要件の一つである雇用保険被保険者期間が6か月未満の労働者の要件がどうなるかは、転職に影響する可能性のある重要なところだと思っています。

被保険者期間6か月未満の人は助成金を使えないし、雇用量要件は人員が増員したら事業所全体で使えない。コロナが今後どうなるかが不透明な中、就職転職の採用が様子見に変わるところもあるかもしれません。
ということで、11/2のリーフレットの話はこれにておしまい。たった5項目のざっくり説明でこの文字数。読み手が放り出しそう。