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雇用調整助成金 特例分析② 緊急対応期間(11/15)

12月1日追記 この記事は令和4年11月15日に書いたものです。以下、記載する「緊急対応期間」は、令和4年11月30日までの特例でありますのでご注意下さい。尚、令和4年12月1日から令和5年3月31日までは、「経過措置期間」として、別途規定されています。

12月7日追記 12月以降の新規の場合、適用外になるところを追記しました。尚、厳密には、支給要領1108aはそのままで、別途新しい要領が追加される形です。

 

前回の続き。今回は2回目支給要領1108aで規定されている特例。
この特例は、緊急事態宣言が出た後の特例で、助成金額が最大15000円、助成率最大100%までアップし、今まで助成金の支給対象外であったところも助成対象にするという大盤振る舞いです。
そして、前回との違いは、今回は「緊急対応期間中」という定められた期間のみの特例。この緊急対応期間とは、令和2年4月1日から令和4年11月30日までのことで、令和2年3月31日以前の休業、令和4年12月1日以降初日がある判定基礎期間には適用されません。*1

さて、11月2日に、このうち助成率や上限額が12月からもとに戻る予定と発表されました。まあ、この高い水準を維持したことが、6兆円という結果でしょうからね…。
しかし、特例の項目は複数あり、今発表されているのは現時点では、その一部に過ぎません。それでは、いっていましょう。尚、1107aは北海道限定の特例のようなので、省略しています。

 

1108a  緊急対応期間特例(令和2年4月10日施行~略~令和4年9月30日改正)

・生産量要件の特例

前回の1106aでも生産量要件の特例はありましたが、ここでは前年比10%減が、原則前年比5%減に要件を緩和しています。但し、10月以降から新規に申請した会社は10%減、と既にもとに戻っています。12月以降、継続して申請する会社も、最初に10%減の確認が必要となる予定です。順次もとに戻ってきていますね。

・支給限度日数の特例

前回の1106aにもこの特例はありました。
何が違うかというと、開始時期が違い、今回の話の要件緩和は、「緊急対応期間」の間、適用されます。(前回の1106aは、令和2年1月24日から始まっています。)
リーフレットをみるに、全事業所が12月から復活します。かも?確定版要確認です。

・上限額の特例

この特例で、上限が8355円*2だったのが、最大15,000円になりました。順次下がってきて、12月からは、元に戻る予定
・助成率の特例

この規定で、助成率が中小企業の場合は2/3から4/5に、大企業の場合は1/2が2/3になりました。これも12月からは元に戻る予定

・助成率の上乗せ、雇用維持要件1、2 

この規定で解雇”等”をしておらず、雇用人数が80%以上を維持していると、助成率が上乗せされ最大100%になりました。これが90%になり、11月末でなくなる予定。尚、特に業況が良くないところは、来年1月末まで上乗せあり?ちなみに、解雇”等”の”等”は、有期契約者のいわゆる雇止めや、派遣社員の途中契約解除のことを指します。

12月7日追記 12月以降の特に業況が厳しいところは、2つの要件のうち、1つの上乗せ要件があります。

・教育訓練の緊急対応期間特例

①一部の教育訓練を緊急対応期間においては認める

ざっくりいうと、新入社員用らしき研修や、自宅でのオンライン研修が認められています。
4月という時期的な問題と、テレワーク対応ですかね?(ただし双方向なので、例えば動画を見るだけではダメ) オンライン学習は今の流れだと思うので、なくなるとは考えにくいと推測します。よって、表現を変えてくるか、来年3月末まで維持するのではないかと思います。

12月7日追記 12月以降の新規の場合は適用外です。

②教育訓練の加算額を増額

算額がUPしています。金銭的なものは元に戻す予定なのに、これは、元に戻すという予告がない。思うに、厚生労働省助成金の担当者)は、教育訓練が”推しの子”です。
12月7日追記 12月以降の新規の場合は適用外です。

・本来対象外のものが支給対象に

以下の4つは本来雇用調整助成金では助成対象外らしいのですが、特例で対象にするという規定です。個人的な推測ですが、休業を要請したためではないかと思っています。
①は対象となる事業の線引きがよくわからないので不明ですが、②③④はもう対象外になるのでは?と思っています。

12月7日追記 12月以降の新規の場合は適用外です。

風俗営業等関係事業主に関する特例

風俗営業法の適用を受ける接待飲食業は対象外らしいのですが、特例で認めています。

②労働保険料を納付していない事業主等に関する特例

 これがいつ時点のものかというと、支給申請日の属する年度の前年度より前の保険料のことです。直近の納付の滞納ではないというのがポイント。

③労働関係法令違反事業主に関する特例

 労働保険料の特例と違い、支給申請日の1年前から前日までの間の違反が対象です。 

不正受給に係る不支給措置がとられている事業主に関する特例

 助成金で不正受給をすると、以降5年間助成金は受給できません。しかし、こういった相手も、返還済だった場合は対象とする特例です。また、その期間中に再度不正受給をした場合の対応が書かれています。20割ってすごいな…。

ちなみに、上記のように本来対象外で、特例扱いをされていないのは、暴力団、倒産した事業所、審査に協力しない事業所、不正をしようとする事業所などです。

・出向期間に関する特例

出向期間が「3か月以上」から「1か月以上」に緩和されています。雇用調整助成金(出向)は、この期間以外は、通常版どおりです。

12月7日追記 12月以降の新規の場合は適用外です。
今回はこれまで。

*1:この記事を作成11月15日時点の最新のものは令和3年9月30日改正版で、9月30日改正で令和4年11月30日までの取り扱いをきめていました。令和4年12月1日以降は、9月30日時点では未定。

*2:簡単に言うと失業した際の手当の1日の最高額。統計結果により年1回は変わるらしい。