最近、「日本経済の人手不足を悪化させる雇用調整助成金という大問題」という、某大学教授のこらむがでていた。以下、それについての感想。
話の大半は理解できる。たしかに、この特例を失業手当より高い水準で維持したまま2年、3年も続けたのは良くなかったと思う。
しかし、そういえるのは現時点での結果論。今年の春夏の時点で、この意見を言えた人は、ほとんどいなかったと思う。感染者が過去最大を更新している中や、休業要請がされている中で、休業を事実上強制されたうえに解雇された労働者に、かなり恨まれることを覚悟して言えたのならすごい。(おそらく、あの当時に言えたのは、私の記憶の中では竹中氏ぐらいだと思う。)
そして、最近の不正受給、人手不足の深刻さが厚生労働省からの発表資料で明らかになり、おそらく政府の方針としてコロナによる行動制限、休業要請はしないであろうと思われる今ならば、私のような一般人でもいえる。
データの中身についての解釈についても疑問点はある。私は証拠となるデータを持っていないので推論でしかないが、例えば、2年以上全休が続くのなら、将来の不安から大抵の人は、転職するか、既にリスキニングか何かをしている。その休業人数はデータ上の延べ休業日数から算出された理論上の人数ではないのか。濃厚接触や架空休業もあり、休業者数は、そんなに単純ではないと思う。200万人というのは、全休ではなく、数日の人も混じっているのではないか?
また、もし本当に2年半以上も全休の人が200万人もいるならば、その人は何か事情がある人か、働く気をなくした人であり、そもそも今働く余力があるのか、解雇された後に働くモチベーションがあるのか、疑問。
その疑わしき200万人を、介護分野、デジタル分野に教育した後に移動させたら戦力になると思っているのなら、この2年半、休業の対象とならずに働いてきたそれぞれの分野の現役の人に失礼。
介護職は、コロナ禍の中、時には利用者や隣人に、菌扱いされながら、感染リスクにさらされながら、休みなく、100%賃金保証されることもなく1日15,000円も到底もらえないような賃金で頑張ってきたんだと思うよ。
デジタル人材も、日々進化する競争社会で取り残されないよう頑張ってきたと思うよ。
現役の介護職、デジタル職を舐めるなよ。
このコラムは現状認識も、今後の対策も、テレビのニュースの最後に「今後議論を深めていかなければいけません。」と発言してコーナーを終わらせる司会者と大差ない。要するに、厚生労働省の資料をもとに作文をしただけ。
国の今後の方針に沿ったものを書くように依頼されたわけでないならば、そのまま象牙の塔にいればいいと思う。