けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

雇用調整助成金 経過措置期間 生産指標の再確認とは(12/17)

雇用調整助成金の「コロナ特例」を今まで利用している場合、そして最初に申請してから1年以上経過している場合は、12月1日以降分の申請時に「生産量要件の再確認」(支給要領1114aイ(イ)より)、要するに申請が続いているところは、初回でなくても業況特例でなくても、売上等の比較を再度することになったようです。
ここが令和4年11月末までと違うところで、過去の記事でも書いたのですが、過去記事では12月以降の他のこともまとめて書いているため、この確認についてのみ、改めて別記事にすることにしました。

この「生産指標の再確認」は、11月30日付のリーフレットのタイトル「対象期間の延長や生産指標の確認とタイミングについて」の〇の2つ目に書いてある経過措置期間に関する「生産要件の確認」のことを指しますが(11月30日付ガイドブック28ページ)、ちょうど同時期に、通常版で申請する事業所、12月以降に初めての申請をする事業所の生産指標の確認についての説明があって、ごっちゃになりそうでややこしい。(そもそも、正式名称は生産指標なのか生産量要件なのかわからない。まあ、言っていることは同じでしょう。)

また、令和3年12月2日以降に初回があった事業所は、この初回から1年経過後のタイミングが異なるため、比較月も異なります。上記のリーフレットにある図面がそれなのですが、通常版の場合、対象期間が通常1年間ということもあり、また1年間は生産要件の再確認をしないことからその整合性をとったのだと思います。そのせいでさらにややこしい。

前置きが長くなりました。具体的な比較方法について以下説明します。どうもリーフレットの説明は簡潔すぎるので、支給要領1114aイ(ハ)の記載で解説。あと「生産指標」は事業によって色々な数字を使用できますが、わかりやすくするため以下の説明では「売上等」で統一してます。

まずは支給要領を下記転載します。尚、「置き換える」等の表現のままだとそのもとの規定も見る必要があるため省略、抜粋することとします。

支給要領1114aイ(ハ)(一部省略抜粋) …

イ(イ)基準判定基礎期間(令和4年12月以降の最初の月)*1初日が属する月(以下 「判定月」という。)、又は判定月の前月、若しくは判定月の前々月、のいずれかの月の値が、令和元年から令和4年までのいずれかの年の同期1か月分(※注1)と比べる。

ただし、比較に用いる月に売上がないなど、これにより難い場合は、基準判定基礎期間の初日が属する月(以下 「判定月という。)又は、判定月の前月、若しくは、判定月の前々月のいずれかの月の値が事業の開始期または、立ち上げ期等によりその他の月(ただし、判定月の前月から直近 1 年間の指標とする。)を用いることが適切だと認められる1か月(※注1)に比べることができるものとする。

※注1雇用保険適用事業所設置後であって労働者を雇用している場合に限る。
←この限定が曲者です。被保険者0人ではダメです。たしか、月末日付で労働者が辞めて0人になった場合は、その月は比較月にできなかったはずです。

ややこしいですね。具体的な月を出して説明します。12月と1月以降でちょっと違うので分けて書きます。

A 1年経過後の初回が12月の場合
①令和4年12月と、令和1年~3年までのいずれかの12月との比較。
②令和4年11月と、令和1年~3年までのいずれかの11月との比較。
③令和4年10月と、令和1年~3年までのいずれかの10月との比較。
④令和4年12月と、1年以内の適切な月(令和4年1月~令和4年11月)。
 ただし、10月を比較対象とした場合は令和4年1月~9月の間の適切な月、11月を比較対象とした場合は、令和4年1月~10月の間の適切な月での比較。(例外)
④の規定は上記の”これにより難い”に、それぞれの事業所が当てはまるかどうかは各事業所の事情もあるかもしれませんので、説明は省略します。*2
要するに10月、11月、12月の3か月の中のいずれかの月と、コロナ前である令和元年度から前年までの間の一番売上等が多い月、のどれかの月の売上等が10%以上減少していたらOK。
逆に、判定月の前々月から3か月間連続で毎月の売上等がコロナ前を含めて同月比90%以上だった場合は、④に当てはまる場合を除き、対象外になるのだと思います。まあ、それだけ売上等が回復してあれば、事業が縮小していて休業せざるを得ない、とはいえないでしょうねえ…。(12月と1月は稼ぎ時だよ!といいいたいところもあるでしょうが、10月比較も可能なので。後たしか令和4年10月ぐらいから殆どの業種で制限がなくなったと記憶しています。狙ったのかどうかは私にはわかりません…。)

B 1年経過後の初回が令和5年1月以降の場合
①令和5年1月と、平成31年~令和3年までのいずれかの1月との比較。
②令和4年12月と、令和1年~3年までのいずれかの12月との比較。
③令和4年11月と、令和1年~3年までのいずれかの11月との比較。
④令和5年1月と、1年以内の適切な月(令和4年2月~令和4年12月)。
 ただし、令和4年11月を比較対象とした場合は令和3年12月~10月の間の適切な月、令和4年12月を比較対象とした場合は、令和4年1月~11月の間の適切な月での比較。(例外)

Aとの違いは、令和5年1月以降が初回の場合は①の比較月が4年前まで比較できるところです。(FAQ03-06より)令和元年1月がないからですかね…。

比較月が12月の場合、何故10月や11月は比較対象で、逆に1月はダメなのかという理由は、もともとの通常版で比較する際は休業する”前に”計画届を提出する、そして生産指標の確認資料はこの計画届の添付資料であるということを考えるとわかりやすいかも。そう、生産指標を含む計画届は休業する前に提出するので、時系列的に実際休業する月より前の月が比較対象になるからです。実際に「事業の縮小」の原因となっている客観的事実(証拠となりえる数字、データ)が証拠として提出できて、その事実をもって休業をする、という理屈。月次決算が確定するのに必要な時間も考慮していると思います。では当月の12月が対象なのはなぜかというと、これは私の推測ですが、実際営業してみたらさっぱりとか、コロナが猛威を振るって休業することになった場合に備えているからだと。あと、休業翌月の1月が比較対象に入らないのは、理屈上、休業しした後の月の売上を対象とするのは無理があるから。具体例をあげると、1月に入って売上が下がったので、12月は休業しました…うん、ちょっと意味がわからない。

実際の申請手続きはどうなるかというと、12月1日以降開始分の申請時に様式新特第4号「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」とその証拠書類となる生産量を添付する形だと思います。小規模の場合は、証拠書類だけでいいかもしれませんが。後、売上の場合、比較する両方の月とも消費税”抜”が原則らしいです。聞いた話なので、絶対だと私にはいいきれませんが、基準ラインぎりぎりの場合はご注意を。税込のみ、非課税、不課税、軽減税率…の説明をすると話がまたややこしくなるので省略。

尚、FAQ(3)事業主の要件 03ー06にも説明があります。これの〇の3つ目に書いてあり、これが今のところ一番わかりやすいかもしれません。ただ、黄色表記、字が小さい、印刷しにくいデス…。

あと、特に業況が厳しい事業主に該当した場合はこの比較は省略可能のようです。(支給要領1114aイ(ロ)また書きより)*3

加えて、令和4年12月に1度再確認したら、令和3年3月31日分までは再々確認しなくてもよいようです。(令和5年4月1日以降は未定なので、3月21日~4月20日の給料計算の場合、4月1日~20日分は未定ということです。)

尚、通常版、または令和4年12月以降が初回の場合は、この生産量の再確認の必要はありませんが、最初の生産要件の比較の仕方が違います。これについては、一緒に書いたらごっちゃになっちゃうので、以下の別記事にまとめております。

kesera22.hatenablog.com

1月29日追記 平成31年の1月~3月でも比較可能な場合があり、また、生産指標も対象期間の初回の時と異なる指標を使っても今回の再確認の場合はよいのではないかと思い、一部文章を修正しました。

*1:対象期間の初日から1年を経過した日以降であって経過措置期間中に初日(対象期間の初日から1年を経過した日以後の日に限る)がある判定基礎期間

*2:コロナ特例の初回の生産指標の確認の場合は、1年以内のいずれかの月と比較できたと思います。その根拠は生産指標に関する個別のリーフレットで説明によります。今回は今のところそのような1枚のリーフレットが見当たらないため、FAQを見ると可能なようにも思えますが、間違ったことをいわないために省略します。

*3:また、1114aウ(イ)により特に業況が厳しい事業主であることが確認できる場合は、(イ)による生産量要件の確認は要さない