けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

面接官は病から立ち直ったことは評価しない。

メンタル疾患から復帰して今年で社会復帰10年目になる。
今年に入ってからまたその頃を思い出している機会が増えている。
自分ではこの10年色々頑張ってきたと思う。よく立ち直ったと思う。再発を避けるためにも一歩一歩回復させつつ、新たな資格も仕事をしながら取得し、自分に足りなかった経験も積み、色々な点で成長したと思う。10年たった今、正直メンタル疾患にかかる前よりも遥かに能力的にはレベルアップしていると思うし、そのメンタルに関しても疾患になる前よりもはるかに打たれ強くなったし、立ち直りが早くなった。メンタル疾患にならなければ得られたであろう能力よりも立ち直った今の方が、メンタル疾患にならずに最初の会社にいた場合よりも能力が高いのではないかとさえ思っている。(管理職経験以外)

だが、どうしても対応しきれないところがある。転職面接である。
職務経歴書を書けば、この9年のことをどう書こうかどう述べようかと悩むぐらい色々な経験をしてきたし成果をあげてきたと思う。

しかし、実際転職面接を受けると心が荒む。その理由は…

 

職歴の質問が90%メンタル疾患になる”前”の会社の時のことに集中すること

10年以上前の話の、まだ新人ほやほやの、成果はほぼ上司のおかげである会社の時の話である。正直そんな昔の話覚えていないし、10年以上も前のその経歴が何の役に立つのか理解に苦しむ。そこに集中する理由はもうわかっている。最初の会社が誰もが知っている大企業だからである。親や教師がいう、”いい会社”に入れ、というのはこの点に関しては正解である。ブランド力がものをいう。

メンタル疾患の3年半の休職時のことを聞かれること

覚えていないので答えられない。メンタル疾患は手術で取り除けるものでもないので1日1日休養し治していくしかない。

そもそも治すこと、復職することばかりを考えてきた時は、まったくと言っていいほど改善しなかった。むしろ悪化した。そして自暴自棄になった。その後、その日その日を生きていく、と割り切るようになってから半年か1年かそれくらいでふと気づいたらよくなっていたというのが正直なところだ。その時の記憶が全くないぐらい、他人に活動報告できないぐらい何もせず休養していた。それが改善につながったと思っている。その方法が本当の回復手段であったのではないかとも思っている。しかし、転職面接ではその期間を聞いてくる。繰り返すが、覚えていない。

いまだに通院、服薬していることを伝えると失望されること。

通院しているのは今の主治医の勧めがある。メンタル疾患は、医師からすれば会って話をすると大体状況がわかるものらしい。再発した場合の予想もつくらしい。だから、私に会いに来いといわれて定期的に会っている。特に報告することもなく終わるが再発に怯える私にとってこれほど頼もしい方はいない。そして今も服薬をしているのは、再発防止という意味と、過去に急に薬を変えたり減らしたりしたときに急激に悪化した苦い経験があるからだ。といっても薬は通常より遥かに少ない。時間をかけて減薬した後、これぐらいならば問題ないだろうという判断を主治医がしただ。しかし、面接官は、その通院、服薬している事実をもって、メンタル疾患が完治していない、と評価している。

転職理由をメンタル疾患悪化による退職ではないかと疑われること

社会復帰後の私の転職理由は一番は賃金アップだ。次に賃金アップにつなげるための専門性向上だ。全くメンタル疾患に関係がない。しかし、つなげてくる。

私が言いたいこと

以上4つのことを面接で聞かれると心が折れる。質問が全部10年前のメンタル疾患に集中する。もう働きたくなくなる。まるで犯罪でもしたかのような質問に、そこまで自分は悪いことをしたのかと生きることに絶望する。

採用側から見たらその意見もわかる。私も10万人*1も面接はしたことがないが、多少の経験がある。もし雇い入れた後にすぐに休職されたら、働かせ方に問題があり労災認定になったら、最悪のケースが起こったら、と考えると採用に二の足を踏むのもわかる。だから私は職務経歴書にメンタル疾患のことをきちんと書いている。(後で経歴詐称と言われないためも)気になるのならばそこで落とせばいい。その方針を間違っているという気はない。求職者はたくさんいる。通常の人以上にタフなメンタルを求められる仕事もある。お互い面接の時間の無駄を省こうではないか、と思っている。

そのためこの10年いつでも契約を打ち切れる契約社員か、倒産もありうる零細・中小企業に身を置いてきた。それも仕方がないと思う。

しかし、納得はしていない。正直、その辺の人間より経験も能力もあるし、持病のない人よりも早退欠勤をしていない。立ち直った分、通常の人よりはメンタルもタフになった。給料に見合う仕事ができると思っている。

一度、正社員転換制度のある企業に有期雇用で入社して、実際の自分を見て判断してもらえば、と思っていたことがあった。しかし、正社員転換制度というのはほとんどの会社でダメな制度だと私は思っている。あれはキャリアアップ助成金*2を取得するためと、試用期間代わりでかつクビにしやすいのと、ずっと契約社員のままにさせておくための制度なのがほとんどの会社の実態だ。

私はメンタル疾患から立ち直ったことを誇らしく思うし、支えてくれた人に感謝している、そして今も生きている。しかし、転職面接はそれを全く評価しない。まあ仕事の評価をするところだから評価しなくてもよいが、むしろ完全にマイナス評価なのが気に食わない。そしてこれからどんだけ成果を上げてもそのマイナス評価は固定値だろう。だから、医師や専門家もメンタル疾患になっても退職、転職を薦めない。いったん退職すればどうやっても不利になるという事実を知っているからだ。

この理不尽な事実について今日は記事という形で吐き出させてもらった。書くことはいいいらしい。ただ文句を言っていても何も始まらない。現実と人は変えられない。なら自分はどう生きるか。特に約1年前から、8年たってもこの現実を目の当たりにして以来(1年前の記事参照)、色々模索はしている。試している。ただ、まだ有効策になるかどうかわからない段階であるが、この理不尽な現実を乗り越えることができたら、記事にしたいと思う。

*1:皮肉で言っている。採用面談の人数〇万人という”数値”にその採用面接担当者のなんの価値が示されているのか?応募者の数は会社の知名度とこれまでの実績であって採用担当者の実績とイコールではない。採用担当”だけ”しか仕事をしていない人間にそれほど価値があるとは思えない。人数が多ければ多いほど、採用担当”だけ”しているの?と私は逆にその人間の能力がないとしか思えないのだが。少なくとも面談人数はその人物の会社での仕事の評価にはならない。採用コンサルタント?とかなら相談件数は重要かもしれないが。

*2:詳しくはキャリアアップ助成金の記事をご参照いただきたい。キャリアアップ助成金はクソであるということを長文にして書いてあるだけなので読まれるとは思っていない。