3月17日修正 厚生労働省の雇用調整助成金のホームページが更新され、新しいリーフレットが公表されました。2月末のリーフレットの更新のようですが「検討中の案」の文字がなくなりました。リーフレットのみの発表ですがこれにあわせて更新します。「検討中の案」との違いは、計画届不要と残業相殺停止が令和5年6月”頃”⇒令和5年6月”30日”に変わったくらいかと。3月17日の分科会の資料等も公開されました。これをもとに修正します。
3月24日修正 取消線、余計な文章、誤った解釈だと思われる箇所を修正、削除しました。(修正版を記事にしてから1週間たったこともあり再修正しました。)
2月28日夜、雇用調整助成金が令和5年4月1日以降どうなるかについて、厚生労働省のホームページにて発表されていたのを発見しました。
前日の2月27日に職業安定分科会の資料、および報道により「通常」に戻るということがわかりましたが、その「通常」の中身がわかりませんでした。すると翌日の2月28日に「検討中の案」が、3月17日に「検討中の案」の文字がなくなったリーフレットが公表されました。今回はその解説です。
尚、ここは素人匿名ブログ。以下の説明は一個人の勝手な分析ですので、内容の保証はできかねますのでご了承下さい。
と、前置きはこれくらいにして、まずは1ページ目。
リーフレットに数字で①~⑥まで説明があります。注目箇所はなんといっても③ですが、まずはそれ以外について、さらっと見ていきます。
①は生産指標の確認。何度も確認されているのでお馴染みですね。注意点は「前年比較」であること。コロナ特例の時の「コロナ禍前」は比較できませんので、ハードルが高いです。
②は雇用量要件。令和4年12月時点で12月が初回の事業所から要件に追加されていますのでこれはそうだろうなと。通常版の解説と同じになるので省略。
④計画届と⑤残業相殺について。これも通常版にはありますが、令和5年6月30日までに判定基礎期間の初日がある間は不要とのこと。この2つはややこしいので申請準備に少し期間をあけたのかもしれません。例えば計画届復活ならば早い所は3月末までには提出しないといけないわけですのでやはりある程度準備期間が必要。
⑥労働者全員の一斉短時間休業の緩和。3月17日の分科会の資料をみるに、どうやらこれは恒久化される、つまり短時間休業は通常版でも全員一斉でなくてもよい模様です。
続いて、メインの③について。以下抜粋します。
3.最後の休業等実施日から1年経過している必要があります。
コロナ特例を利用していた事業所が令和5年4月1日以降の休業等について通常制度を申請する場合、最後の休業等実施日を含む判定基礎期間末日から1年経過している必要があります。(クーリング期間要件。詳細は裏面を参照ください。)
*従前(コロナ前)は、対象期間終了後1年経過が必要
※従前(コロナ前)…というのは、本来のクーリング期間は前の”対象期間”から1年空けなければいけないのですが、コロナ特例の「対象期間」が事業所によっては令和2年1月下旬から最長で約3年以上続いたこともあり、「対象期間」から「1年間」ではなく、休業最終日の判定基礎期間の末日から1年間空ける形になったのではないかと推測しています。
リーフレット2ページ目は、この「クーリング期間」についての説明が大半です。
要するに、最近まで休業していて、かつ対象期間の初日から1年以上経過している事業所は、雇用調整助成金の受給が最大1年できなくなる「クーリング期間」が令和5年4月1日から発動します。色々なケースがあるようですが、それを省略してわかりやすくいうと、雇用調整助成金を直近まで長らく受給していた事業所は、令和5年4月1日から”最大”1年間受給できません、ということです。コロナ特例が終り通常版に戻るということは、令和5年4月1日以降の休業は通常版で申請する、という単純なものではありません。簡単にいうと長らく最近まで利用していた事業所は令和5年4月1日から最大1年間は休業しても1円も助成されません。衝撃です。
2ページ目の図はその「クーリング期間」の説明です。要するに、令和5年4月1日から「クーリング期間」に突入するわけですが、もともと「クーリング期間」というのは、前の対象期間が終ったあと1年間は空ける=助成金を受給できない、というルール。ただこの前の「対象期間」というのが今回の特例では事業所ごとに1年間ではなくなって令和5年3月31日までになっているため、ここしばらく休業していない事業所も「対象期間」の終了日が令和5年3月31日となり、ここから1年クーリング期間で申請できなくなる仕組みです。それを避けるため、前の「対象期間」から1年空ける、というのではなく、前の休業申請、つまり休業して助成金を受給した判定基礎期間の末日から1年間空けるということにしましょう、ということになったのだと読み取りました。リーフレット1ページをつかって、4つのパターンで例示しています。
①~③の図は、前提として対象期間が1年以上経過している事業所の場合です。
①令和4年3月31日以降休業していない事業所は、令和5年3月31日時点で既に1年経過しているので、この場合は「クーリング期間」の1年が経過しているということで、令和5年4月1日から「通常」措置に移行できるようです。「まん延防止措置」が令和4年3月下旬には終了しているので、そこから休業していない事業所もあるかもしれません。ただ、実際のところここ1年間休業していない事業所の場合は、令和5年4月1日からも休業の予定はあまりなさそうな気がしますが…。
②は令和4年9月末が休業の最後の月である場合を例に挙げています。この場合は申請できない「クーリング期間」は1年後となる令和5年9月末までとなります。令和5年2月末が最後の場合は令和6年2月末までがクーリング期間です。
③は令和5年3月末のコロナ特例の最後まで休業している事業所。ここはわかりやすく、令和5年4月1日から令和6年3月31日の1年間は雇用調整助成金は利用できません。
④は対象期間が1年未満である事業所の場合。ここは通常版でもそうであるように1年間は受給できます。但し、その1年間の途中の令和5年4月1日から「通常」に戻るためややこしそうです。対象期間の初日が令和4年4月2日以降の事業所の場合は、まだ1年たっていないので本来の対象期間である1年の間は受給できることになります。ただし、この表を見る限り、令和4年4月1日以降分は「通常」制度に移行し、どうやらそのタイミングでまた生産指標、雇用量要件の確認が入るようです。ただ、正直このR5/4/1の取り扱い方とかはこの表だけではよくわかりません。令和5年4月1日で一旦区切るという意味なのか、それとも4月からの判定基礎期間の時に確認する、という意味なのかガイドブックや支給要領等の詳しい情報を見ないとわかりません。
続いて、2ページの2つの注釈についてみていきます。小さい字ですが、この2つの注釈はかなり重要なことが書いてあります。
(注1)対象期間の末日(R5/3/31)が判定基礎期間中にある場合は、R5/3/31が判定基礎期間の末日となります。
これは給料計算が末日締でない事業所への注意喚起だと思います。具体的にいえば、これまでは給料計算期間=判定基礎期間で申請できて、例えば20日締切で給料計算をしている事業所の場合、3月21日からは4月20日まで申請できる、というわけではなく、令和5年3月21日~令和5年3月31日で判定基礎期間が終了する、という意味だと思われます。(申請する際は2月21日~3月31日分で申請できるかもしれません。)(注1)は対象期間が1年以上の場合の例示③ですので、令和5年4月1日からクーリング期間発動で4月1日以降分の休業は受付不可…ということかと。
(注2)令和4年12月以降で100日まで受給可能
支給限度日数1年100日についての説明です。この支給限度日数1年100日は、過去の記事でも書いているのですが、起点がいつからなのか、要するに、支給限度日数はいつから数え始めるのか資料で見当たらなかったのですが、それがこの(注2)で判明。対象期間が令和4年11月30日より前に始まっていた場合、令和4年12月1日から日数のカウントが始まります。対象期間の初日からでも、令和5年4月1日からでもありません。ややこしいのですが、支給限度日数は”通常”は対象期間の初日から数え始めるけど、「緊急対応期間中」は支給限度日数は数えず、令和4年12月1日から始めるようです。やはり、「経過措置期間」開始の令和4年12月1日から支給限度日数を数え始めたのにはちゃんと意味がありました。例えば令和4年12月1日から支給申請を開始していて週5日の労働日を毎日全員休業にしていたところは、令和5年4月下旬には1年100日に限度日数に到達する、ということもありえます。(令和4年12月から令和5年3月までの月曜日から金曜日までの日数が87日、という計算から。)ただこれは対象期間が1年未満の場合の対応のようですから、すべての事業所に該当するわけではなさそうです。
そして、2ページ目の最後に「不正受給」について触れています。受給はクーリング期間に入るけれども、不正の回収はこれからも続く、ということかと。
以上、たった2ページのリーフレットですが、内容はかなり強烈です。私はかなり衝撃を受けました。事前告知2週間前でこの内容かよ…と。確定情報がわかってからクーリング発動まで、2週間かよ…と。手前味噌ですが、だから先んじて調べて予想していたんですよ(ドヤ顔)
私の感想です。
「政府は雇用調整助成金を令和5年度の休業分は殆ど支給するつもりがないんだな…」
さて、「クーリング期間」および「対象期間」についての詳しい説明は以下の別記事にてまとめているのでご覧ください。(尚、前回の発表時である令和4年11月30日時点の公表資料をもとにした記事なので、最新のものと異なるところがありますのでご注意下さい。)
また、リーフレットの①から⑥の用語などは別記事をご参照下さい。(去年の記事なので変わっている部分もあるかもしれません。)