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とある知事選挙の私見

選挙結果がわかった後に記事を書いてもどうかと思ったが、1、2年先の未来に当時の自分がどう思っていたか、比較するのもアリだなと思って書くことにした。

選挙結果について。

小池氏が当選されるのは大方の予想通りであろう。現職は有利、というか、現職というのはよほどのマイナス材料がない限りは負けないし、負ける確率が高いと判断した場合は任期満了で退き、立候補しないものだからだ。現職の政治家が急に支持を失うときは、カネか異性か失言か、今ならパワハラセクハラが公になった時だろう。

大方の予想が外れたのは2位の石上氏、3位の蓮舫氏だろう。知名度抜群で、大臣経験もあり、党首経験もある蓮舫氏がまさか3位になるとは思わなかった。出馬宣言をした時は小池氏といい勝負になるのかと思ったし、ご本人も所属政党もそう思っていたのではないか。共産党が立候補を取りやめ蓮舫の支持にまわることで基盤は確保し、あとは反小池氏票と無党派層の上乗せでどこまで現職の小池氏に迫れるか、というところではなかったか。

SNSでは蓮舫氏への公示前や直後は風当たりが強かった。これは裏を返せば、蓮舫氏が当選する可能性があると思ったからであろう。絶対勝てないのならばそんなに風当たりは強くない。

だが、選挙活動がすすむにつれ、SNS上で蓮舫氏に対する投稿は減っていく。その理由は石上氏の話題の方が増えてきたからだ。石上氏の支持が広がっていき、石上氏を支持する人と支持しない人の両意見が取り上げらえるようになり、SNSは石上氏中心にまわっていく。

ネットニュースでは石上氏に対する著名なインフルエンサーの投稿が表示されていくようになる。SNSでなく、ミドルメディアも石上氏を取り上げるようになった。石上氏の弱点であったであろう東京での知名度は選挙期間中にネット世代を中心に解消に向かった。この動向を見て堀江氏や著名人の中には石上氏の得票数が急激に増えていくだろうことを予測していたようだが、選挙結果はまさにその通りになった。

インターネット上で有名になっても票に結びつかないとかつてはいわれていたが、先の参議院選挙で海外に居てネット上で知名度をあげていたガーシー氏が当選したことからも、得票数を延ばすことは想像できた。だが、蓮舫氏を上回るほどの得票を得るとは思わなかった。

この石上氏のこの得票数は、他の立候補予定者の選挙活動に一石を投じるだろうし、これまでの選挙活動を変えることになるかもしれない。ネットでの選挙活動はさらに活発になっていくだろう。特に比例代表は、これまでのかつての著名な”テレビタレント”を担ぎ出す流れが変わっていくかもしれない。

数日以内に色々なメディアや専門家が今回の選挙分析をし、発表するだろう。私は専門家ではないので、多くの専門家の意見や分析を知りたいと思う。

テレビでの報道に関しては、私は東京に住んでいないので、テレビでどんな議論が交わされていたかは知らない。ただ立候補者が過去最多になった結果、テレビは特定の候補者が有利になるような報道がでできず、一部の候補者のみを取り上げることはできなかっただろう。政見放送は、供託金程度の金額で宣伝や自分の意見を表明する場となってしまったという意見も読んだ。(東京都の政見放送は見れないから詳しいことはわからない)公共放送のNHKでの政見放送の在り方は、おそらく次の国会で議論されることになるだろう。

私は石上氏の選挙戦略は、小泉元総理大臣、橋本元大阪市長(府知事)の劇場型政治+敵対勢力+対メディア戦略に、ひろゆき氏の”論破”と”切り抜き動画”いう手法を用いたネット活動+ショート動画をミックスさせたものであると考えている。対立する勢力を過激に煽り、インパクトを残す手法だ。それを小泉氏や橋本氏の劇場型政治を知らない、またひろゆき氏を支持する若者たちに支持されたのではないかと思っている。ちなみに私は石上氏の市長時代の功績や公約をほとんど知らないし、演説会場に行ったことがないので、功績や公約が支持された要因かどうかは不明だ。

というか、今回の選挙はメディアで公約がかつてないほど取り上げられなかった気がする。選挙が終ってから落選した候補の中の興味深い公約がテレビで取り上げられるのは皮肉だ。ニュースは掲示板などのインパクトのある出来事中心で、当選した小池氏の公約もよく知らない。

尚、石上氏は既存メディアのテレビや新聞、コメンテーター対して厳しい対応をとられているようで、そこは橋本氏が市長(府知事)時代に対立するメディアと論戦したのとはちょっと違う印象を持っている。どうすれば報じられるか、という目論見をもって発言しているのは似ている気がするが。

既存のメディアは都知事選が終ってしばらくすると石上氏の話題をしなくなるのではないか。そこがほぼ毎日テレビに取り上げられた現職の小泉氏と橋本氏との違いだ。流行り廃りの早いインターネットだけで首長の肩書のない状態でこの得票を維持できるほど支持を集められるかは未知数だし、安芸高田市長時代の恫喝などの裁判結果も影響するかもしれないし、また今後立候補すれば他の政治家や既存メディアやタレントコメンテーターでない、知識人が石上氏のやり方をスルーすることはないだろう。(他の候補者はあえてスルーする可能性はある。)

他の候補者の話に移る。

まずは蓮舫氏。得票数3位は無党派層や反小池氏の票を取り込めなかった証拠であるし、知名度がある反面アンチも多く既存の支持者から票を十分上乗せできなかったようだ。そして蓮舫氏の3位という敗北は、国政における自民党の批判票を立憲民主党が得られるわけではないということも判明した。立憲民主党が今後どう動いていくかも注目材料だ。

自民党は小池氏の当選をもって、政治とカネの問題の影響が小さくなったと判断するのは早計だろう。今回は単純に小池氏が支持されただけで、自民党を指示しているわけではない。現に同日行われた東京都議員の補選で自民党議席を減らした。もし自民党の支持、推薦がついていたら、小池氏の得票はどうなったかわからない。もっと石上氏、蓮舫氏などの得票が増えていたかもしれない。

小池氏は当初は4年前の公約が実現したかどうかという話になっていたようだが、選挙上手と強かさと手堅さが際立った。某テレビのコメンテーターは、得票率が5割未満だから新任されていないといっていたが、決選投票制ではないのだから、あれだけの差をつけての1位は信任だと思う。街頭演説でもテレビ討論でも挑発にのらなかった。

最後に。

今回ブログで初めて政治の記事を書いたのは、SNS上での誹謗中傷の応酬が取り上げすぎて辟易したからだ。インターネット上でなく実際の演説を妨害する行為も広がってきているようだ。正直、法に反しないならば問題ないという行動は、いかがなものかと思っている。表現の自由として、民主主義としてこのまま放置すればエスカレートしていくだろう。ただSNSに投稿するとタイムラインがこの選挙の話ばかりになり気分を害すだけだから、ブログで触れておくだけにしておく。

今回の都知事選と、数か月前を含めた小選挙区の補選の結果を受けて、民主主義、表現の自由、演説の在り方、被選挙権の在り方、テレビの選挙放送の在り方、公職選挙法の在り方は次の衆議院参議院選挙前に変わるのではないかと思っている。

そしてインターネット。政治に興味があることは悪いことではないし、誰に投票するかは有権者の自由だし、それを他人がどうこういうことではない。民主主義はアホでも天才でも、若者でも老人でも1人1票だ。安定を重視しようが、変化を望もうが個人の自由だ。

だが、私はとあるSNSの投稿が印象に残っている。

SNSやユーチュブなどで話すネタがなくなった時に、誰かに承認してもらいたい時、かまってもらいたい時に使われるコンテンツは政治への悪口だ。」

その投稿は政治への参加か、自分と考えが異なる他人への悪口に過ぎないか、見定めてほしい。

そしてインターネットで票を得ることが明白になった時、ネットに残るのは、政策発表と議論の場か、中身の伴わないイメージ戦略か、他候補の悪口か、インパクトを残すためだけの人を否定する強い言葉か。今後注視したい。