もう時間がだいぶたったのでX上での2つの問題について私見を書きたい。
興味がない人もいるだろうから、一旦区切る。
1つは、男性全般の臭いに苦言を呈する投稿をSNSでされたフリーアナウンサーが契約解除になった件だ。ざっくり説明すると、投稿は男性の夏場や不衛生な時の臭いが苦手であることと、臭いを消すために1日数回シャワーを浴びることや、汗拭きシート、スプレーの使用を”多くの女性が実施しているのと同じように””男性全般に求めた”と読み取れる”投稿であった。
これについて男性差別とか職業差別などの非難を浴び、所属事務所は契約を解除するまでに至った、という話だ。
この投稿の論点は3つある。1つは所属事務所が契約を解除したことについてのその処分の重さについて、1つは臭いについて苦言を呈する対象を男性に限定し女性を対象に含めなかったについて、最後は1日数回のシャワーという、労働環境において現実的ではない対応を男性全般に求めた”ように読み取れる”投稿をしたことだ。
まずは所属事務所との間の契約が解除されたことが重いかどうかについて。まず、どうやら所属事務所とは雇用契約ではなく業務委託契約である、らしいことを念頭に置く必要がある。雇用契約ならばそう簡単に解雇はできないが、業務委託なら話は別である。雇用契約とは意味合いが違うし、業務を委託できないという意味と解雇とを混同してはいけない。
業務委託契約の契約の解除は、契約でどう取り決めたかにもよる。その内容を知らない赤の他人がその契約を根拠に契約を解除した是非について、口を出す問題ではない。
ただ、今は、SNSでオリンピックの選手に対する誹謗中傷を止めようという機運が高まっているタイミングであった。それをアナウンサーという立場の人が男性を誹謗している、と捉えかねない投稿をするのは軽率すぎる。
仮に契約解除しなかった場合は、アナウンサーという肩書をもっていれば、誹謗中傷の対象にならないのか、身内は優遇するのか、とこれまた苦情がきたであろう。
また仕事上、ハラスメントの講師をされていたようだが、男性全般を誹謗する言動をする人に対し講師の業務を依頼するのかというと微妙だし、仮にこの投稿の炎上中にどこかでアナウンスやハラスメントの仕事をしていて、仮にこの投稿を見て怒った人がその場にいたら安全面での危険性も十分考えられうる。さらに投稿者がSNSから姿を消すだけの対処だと、他の所属アナウンサーに飛び火する可能性もある。企業としてどう対応するべきかは非常に難しい。
もうひとつは男性の臭いに限定したことだ。結果的にこれが非常にまずかったようだ。ようだ、と書いたのは今までは男性に対してだったら、ある程度何を言ってもよい、というような風潮だと思っていたからだ。私も男なので、そんなもんだと思っていた。煙草を吸う人が減ったので昔ほど臭くはないとは思うだろうが。
また、投稿では女性と同じように対応してほしいという表現だったので、女性と同レベルの汗対策、臭い対策を求めている投稿に私は読み取ったが、文章構成上、男性の臭いが苦手と書いてから臭い対策を求めているので、女性は除外している、とも読み取れる。
私はXでの投稿については「道を歩いている時にチー牛顔の男が歩いていたので、彼氏に殴ってもらっって追っ払ってもらった」とか「独身男がレジに前に並んでいたので、旦那が説教して家族連れの後に退かした」とか「チー牛を殴った、退かした彼氏や旦那はカッコいい」とかいう、差別というより迫害と排除としかいえない投稿の方が大問題である。(彼氏や旦那が殴ったり説教したのが事実かどうかはわからないが、その投稿をすること自体が自分の嫌いな顔の男性を排除したい、という意思を表明する投稿であることは変わりない)
誰かがコメントしていた。「これが”女性”限定だったら、”特定の人種”限定だったら、どうなっているか?どれだけ優秀なアナウンサーだったとしても即日、契約解除、テレビだったら次の放送から出演していないだろう。これが今回は男性限定でも適用された」と指摘を見て、なるほどと思った。SNSへの誹謗中傷や名誉を棄損する行為への対応が”男性全般”に対しても広がったのだな、と感じた瞬間であった。
先に書いた、チー牛という差別用語を野放しにしておかないためにもこの男性差別に対しての警鐘という意味では、他のXでの投稿にも大きな影響と抑止に繋がる可能性もある。
最後に、1日数回のシャワーなど、職業柄、この猛暑のなか、汗だくになりながらもシャワーを浴びることもできる職場ではない男性の臭いに対しても苦言を呈しているように”読み取れる”投稿をしたことだ。これは、かなり軽率な投稿だ。シャワーは例えだと後になって説明されたようだが、結局、汗だくになりながら業務をされている男性を差別する表現になってしまった。”そのような意図”があったのかなかったのかは本人以外にはわからないが、投稿者が仕事を選別しているかのようにもなりえるため、やはり対象者と対策の説明は完全に失敗している。
投稿者は1日何度でもシャワーを浴びられる、汗をコントロールできるような、個室があって、冷房がガンガン効いた部屋で仕事をされているのだろう。そしてそういう仕事場がスタンダートだと思っている。また職業上、汗とか現場で臭いを自覚してもどうにもできない人を見下している、または眼中にない…と”推測できる”投稿をしてしまった。
しかも反論に対する反論で、自身の最初の発言が差別発言だとは思っていない”と推測される”投稿をしてしまった。この投稿に怒りを覚える人がいたとしても、私はその怒りを否定しないし、自身の快・不快を優先するが、誰かを差別することに無頓着なようで、これは到底フォローできない、言葉を使う職業人として今業務を委託できない、と経営者が判断しても仕方がないとも思う。
フォローする人がいるのは、そもそも他人の”臭い”で嫌な思いをしたことがある人は多いだからだし、その臭いに対して不快だといってはダメなのか?と思っているからだろう。そう思うのは自由。だがSNSに投稿する必要性はどこにあるのか?
また家族でもない人に個人から発せられる”臭い”を原因を特定せずに面と向かって指摘する人はまずいない。煙草臭いとかならまだわかる。それだけ”臭い”というのはデリケート。大人が他人にただ”臭い”と面と向かって言うだろうか?最悪暴力沙汰になると思うが。
世の中の殆どの人は知らない相手に対し、臭いとはいわないし、いえない。そんなデリケートなことすらわからずにSNSで、しかも男性は臭い、という投稿をする行為をどうして投稿者はしたのか?エチケットの啓蒙?何様のつもりだろう。(賛同するのは、面と向かって臭いと言えないからこその、愚痴、悩みが共有できる人であろう。)
ただ確実にいえることはある。Xという短文しか載せられないSNSで、この投稿をしてしまったのは完全な誤りだ。(炎上狙いの知名度獲得狙いの場合は除く)そして、スメルハラスメントといえば、このことを想定されることとなるため、スメルハラスメントはよっぽどの人を除いては下火になるだろう。
もう一つは、芸能人通しのXで投稿でのやりとりである。どうやら、投稿主は死んでください、といったような趣旨の発言をされたようだ。(実際その投稿を見たわけでない伝聞なので、ようだ、と書いている。)
人に対して死んでくれ、という投稿をSNSでするのは論外であろう。というか、文字で他人に向かって使う言葉ではない。お笑い芸人であるのだから、それぐらいのツッコミはあるだろうというフォローをしている人もいるが、このやりとりは、ボケとツッコミという漫才の場で披露されたのではなくSNS上である。殺害予告でなく、自決勧告。誹謗中傷の最悪の部類に入る。他人に死ね、と文字で書くことは昔の2ちゃんねるでさえ避けていて文字を”氏ね”とした表現だし、訴えられてもおかしくない表現をしてしまった。
この件も結果的に、投稿者の芸能活動休業という形になった。上記のアナウンサーの方と違い、自身の誤りを即認め、SNSで投稿を削除し、謝罪もしているので、休業までの処分は酷という意見もあるだろう。だが、死んでくれと言われた本人でない他人が対応に口をだすべきものではない。需要があればまた復帰するだろう。耳目を集めたいがための逆張りの芸能人やインフルエンサーの発言は無視でよい。
これも上記の投稿と同じではあるが、著名人へのSNSでの誹謗中傷をやめようという機運があった時のSNSでの投稿である。話が拡散したあとに、謝ったし許したので不問という対処をすれば、芸能人だったらSNSで芸能人に誹謗中傷してもOK、ということになるし、後で謝罪すればOKとも読み取られる。
アンチコメントを書くのだったらと想定していたら誤って送信してしまった、という理由も問題で、その理由なら仕方ないね、という対応になったら、芸能人に誹謗中傷した人はみなそういう言い訳をするだろうし、その言い訳を芸能人は許容せざるをえなくなるだろう。このいい訳と今後の著名人への誹謗中傷への対処への影響から、休業という対応をするのは仕方がない。
それにSNSが広がる前から、大臣はひとつの失言でクビが飛んだし、クビを飛ばすようにマスコミは報道していたのだから、マスコミは身内に甘いぐらいだ。
ただ、後になってから、第三者の芸能人やマスコミが投稿者の過去の言動について今更になって言い出すのはどうかとは思っている。
最後に。
正直にいえば、知らない人の投稿に反応しない、「どうでもうよい」という対応をする方が良いとは今でも思っている。ただ今回取り上げたのは、特定の個人でない男性全般というに対しても誹謗中傷や差別を適用させたこと、芸能人と芸能人の間の誹謗中傷でも対応してきたことから、これは今後SNSでは誹謗中傷が大体的に取り締まりが強化されるという予感がしたからだ。
今のSNSは誹謗中傷が広がりすぎている。表現、言論の自由と言う名の誹謗中傷、名誉棄損が蔓延る。私は運営者が投稿内容によっては強制的に消すなどの制限をかけたほうがいいと思っている。別にXは公的機関ではないのだし、特定のSNSしか表現する自由がないわけではなかろう。
テレビでとあるコメンテーターが発言していた。「スポーツを観戦していて、白熱していたら、ミスや敗北に対してテレビの前で文句をいってしまう場合もあるだろうが、SNSという誰でも見れるツールにリアルタイムでその感情を投稿しないほうがよい。」と。
SNSへの投稿は、一旦間をおいて、冷静になってから。拙速よりも巧遅の方がよいだろう。私もフリーアナウンサーの方はお名前も存じ上げなかった。推測ではあるが、フォロワーも普段はそれほどはおられないのでは?それがたった一言の投稿が広がり、炎上するというXの仕様。投稿内容の問題もあるが、1つの投稿があっという間に広がっていまうというSNSの使われ方のほうが怖い。
ということで、炎上してからある程度時間がたってから、SNSではなく、ブログで記事を書いた次第である。
さて、この記事を作成している最中に、アナウンサーの方が出演する動画がアップされたようで、話題になっている。私は投稿者に恨みをもっているわけでもないし、動画の中身を見る気はないし、まとめサイトやミドルメディアの発言の一部の切り抜きをもって論ずる気もない。発言内容からもう炎上による視聴者獲得を目指している?動画という疑いもあるようだし、これ以上コメントしない。