巧遅は拙速に如かず

仕事、自己啓発、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

今秋の最低賃金の引き上げと助成金

令和7年度の最低賃金の引き上げの答申があったそうで。都道府県によって差はあるものの、前年比で1時間60円アップ、前年比6%以上の賃上げになるところもあるそうで。

www.mhlw.go.jpそこで、ピンときた。令和7年4月改正の「キャリアアップ助成金」の「賃金規定等改定コース」の令和7年4月改正で、6%以上の賃上げというランクが新たに追加されていたことに。

6%なんて中途半端な、と最初は思った。違う、そうじゃなかった。6%以上最低賃金が上がる都道府県が発生するであろうことを想定して、あらかじめコースを改正しておいたんだ!

何だって~!

…まあ、冗談はさておき、今は都道府県ごとの話し合いに移っていて、最低賃金に関する会議が続いているようだが、例年ならば8月末ぐらいには大体出そろう可能性は高い。使用者側の反対が多いらしいので、上記資料の金額の円単位までは現時点では確定ではなかろうが、答申にあるとおり六十円台最低賃金が大きくあがることはまあ確実だろう。(尚、6%も上がらない都道府県もある。東京都は5.42%である)

そして、「キャリアアップ助成金」の「賃金規定等改定コース」の上昇率アップは、例年通りならば、その最低賃金の効力発生日の前日までにあげないといけない。

補足:厳密にいうと、発効日以降は最低賃金引き上げに伴う増額分は上昇率の計算に含めない

効力発生日はだいたい毎年10月1日のところが多いが、10月1日と決まっているわけではない。あくまでその日が多い。ちなみに東京都は今年は早ければ令和7年10月3日、と8月7日の報道資料にあるので今年は10月1日ではなさそう。去年は1月遅れの都道府県もあったと記憶している。

まあ、最低賃金近くでパート労働者を雇っている人数が多い会社は準備しておいたほうが良かろう。1時間あたり60円の値上げかあ、勤続年数とか職務内容とかで差をつけている会社はみな同じになってしまわないよう、管理が大変そうだなあ、月給制でも引っかかる会社もあるだろうなあ…。

尚、厚生労働省のホームページを見ると、他の助成金も紹介している。例年通り、賃上げと設備投資(生産性向上)がセットの業務改善助成金は紹介されているが、今回は、人材確保等支援助成金と、働き方改革推進支援助成金も名前が記載されている。あとの2つのどのコースが該当するのかは私はまだ確認していないが、これらも検討しておいたほうが良かろう。併給調整(2つ以上の助成金をいっしょに受給できないこと)がある助成金もあるので注意。

 

※以下は去年8月25日の記事のリンクである。令和6年度版と令和7年4月版との違いを私はまだ確認していないで、ブログを修正していない。2ページぐらいのリーフレット以外の変更は知らない。ただし、令和6年度版の記事のリンクを貼ってお茶を濁す。3万字近く書いて疲れた記憶があるし、ほかの2つの助成金は記事にしたことがないので、記事にするならばそっちが先だろう。

kesera22.hatenablog.com

※令和7年3月20日時点の記事。この時は、賃金改定はまだ慌てる時間じゃないといっているが、もう慌てる時期である。

ちなみに、最低賃金上昇に伴う賃金アップにより、週20時間労働、30時間労働でも年収の壁を突破する(社会保険加入義務が発生する)場合があるかもしれない。年収の壁対策(社会保険適用時処遇改善コースと短時間労働者労働時間延長支援コース)の2つのコース(どちらかを選ぶ仕様)を支給申請し、受給する、もしくは受給予定なら、支給要領をみるに併給調整がかかる場合がありそうなので、各労働局などに確認されることをお勧めする。

このブログを読んだだけで判断しないようにお願いする。

 

※参考 キャリアアップ助成金 支給要領0503

ロ 本助成金における併給調整
(イ) 本助成金のうち、3001の賃金規定等改定コースの支給を受けた事業主に対しては、同一の対象労働者の同一の支給対象期間に行った処遇改善について、6001の社会保険適用時処遇改善コース及び7001の短時間労働者労働時間延長支援コースの支給はしない。

(ロ) 本助成金のうち、6001の社会保険適用時処遇改善コース又は7001の短時間労働者労働時間延長支援コースの支給を受けた事業主に対しては、同一の対象労働者の同一の支給対象期間に行った処遇改善について、3001の賃金規定等改定コースの支給はしない。