けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

あなたが消えて喜ぶ者に対して、丁寧な対応をとる必要などない。

言葉使いが丁寧な方は品があるし、そちらの方がいいに決まっている。礼節を重んじる人間に対しては自分も同じように対応したい。

だが、たまになら、嫌われてもいい相手なら、反社会勢力以外なら、たまにキツイ言い方をした方がいい時があると中年になって気づいた。

というのも、人を見下すような振る舞いをする相手なら「あいつはキレる」と思わせておいた方がいい時があるからである。

わざと脅しをかけて、いいがかりをつけるような形で相手からの譲歩を引き出すことを交渉術と思っているような相手ならば、感情を前面にだした方がいい場合もある。

それはなぜか?そういう相手は丁寧に接しても、相手は丁寧な対応とはとらえず、見下していい相手、自分の無理な意見が通る相手と認識するからである。簡潔に言うと、舐めていい相手かどうか見定めているわけである。だから、そういう相手には、キツイ言葉で言い返してみると時に思わぬ反応があったりする。舐めた対応が変わってくる場合がある。

たまにこちらの顔色を窺ってくるような素振りにかわる輩もいるから笑える。キツイ言葉で相手が警戒するからである。要するに自分の弱さを隠すために攻撃されないために攻撃しているのであって、それが通用しないとなると卑屈になるわけである。その姿は実に滑稽だし、そういうレベルの相手に気を使って損をしたと認識できるはずである。

例えば土地の境界線を越えて行っても何も言わなければ、その境界線を越えることに相手はそのうち躊躇しなくなる。そして境界線を越えることが当たり前になって、ついには境界線を変えてしまう輩もいる。世の中にはそういう人間がどこにいっても必ずいる。相手の誤りを指摘しないといけない。そういう人間とは戦わなければならない。相手の顔色をうかがうようなことばかりしていると自分の土地はどんどんなくなってしまう。

勿論、誹謗中傷や差別に繋がるような発言をしてはいけないし、それを推奨しているわけではない。相手は選ぶ必要がある。舐めた人間限定だし、世の中には避けたほうがいい相手もいる。またキツイ言葉を言質にされて相手のエスカレートした要求をのまざるを得ない事態になる時もある。だから感情に任せて我を忘れてはいけないし、その行動はリスクがあることは覚悟しないといけない。しかし、それは経験してみないとその超えてはいけない線が引けない。リスクは一定程度は背負わないと自分がこの世界から消されてしまう。

戦わなければ、リスクをとらなければ、行動しなければ、相手の言いなりになっても何も得られない。争う必要はない。やられたらやり返す相手だと思わせなければならない。

会社で高い役職に就いている人間の中には品性が伴わない人間がいる。それは他人を蹴落として、他人を陥れてその地位に就いたからだ。高いスキルやマネジメント能力があったとしたら逆に気を付けなければいけない。足を引っ張られ、排除されるからである。

また世の中にはそんなキツイ言い方をしないで済むレベルに達している人もいるが、それはそんな話仕方をせずとも、これまでの成果と振る舞いで戦わずして相手に畏れをいただかせるレベルに達しているだけだ。譲歩しているわけではない。そのレベルの人は一握りだ。

お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな。

雇用関係助成金の私見㉒ あまり触れる気のない助成金について

さて令和6年度の改正が出揃ってきたので、記事を書き始めている。

その前に言っておきたいのだが、私は「キャリアアップ助成金」「業務改善助成金」「両立支援助成金」については触れないつもりである。以下、その理由について。

「キャリアアップ助成金

令和5年度の補正予算にて正社員化コースの金額が大幅拡充になった。なんと2回払いにして1人あたり120万円である。正直、理解しがたい。

「キャリアアップ助成金」については何度か記事にしているだが、アクセス件数は殆どない。インターネットを見る方は目先の金に目がくらんでいない証拠だと私は思っている。会社の人事制度にこの制度が該当しなければ、そうそう利用しない助成金だからである。

昔はともかく、令和4年10月以降かなり要件が厳しくなったのはあいかわず。この厳しい要件に会社の制度をあわせるのか、というところも吟味する材料。不支給になってもよいとか、たまたまそういう機会がある会社以外はおススメしない。これについては、YouTube動画の煽りよりも、Xでつぶやいている社労士の方々とかの意見を見てみると参考になると思う。助成金を営業の中心としている社労士以外はおススメしていないと思う。助成金が高額になると成功報酬の社労士にとってはおいしいからね。

偏見だが、高額な助成金ほど、公金チューチューを狙う怪しい輩が寄ってくるので警戒した方がよいと思った方がいいと思っている。お金が集まるところに怪しい、甘い誘いが寄ってくるのは別に助成金に限ったことではない。某通訳に近づいたブックメーカーのように。勿論、コロナ禍の休業要請に基づく最初の頃のコロナ特例の雇用調整助成金など会社や労働者にとっては生き残るために必要な場合もあるので絶対ではないが、あれも約3年間全休を続けているようだとどうなのか?という意味では同じである。

「年金の壁」パッケージについては、厚生労働省が厚生年金保険料獲得のために複数の案を検討していることが報道されていて、その案の中には労働者全員厚生年金加入という案もあるそうだ。急にそんなことはしないと思うが、少子高齢化対応のためにさらなる手を打ってくることはどの会社も想定の範囲内だと思う。今焦ってこのわけのわからない制度にする必要性は殆どの会社ではないだろう。

よって記事にする(調べる)必要性は現時点では感じられないので、会社の幹部が利用したいと言い出さない限りは、また改正でもない限りはこの助成金については触れないつもり。

なお、私はパート、アルバイト、派遣労働者として自社に来た方で、この人はうちの会社に残ってほしい、そのためには正社員として雇い入れたいと思う人に出会ったので、非正規雇用を正社員化するという趣旨自体は賛成だし、実際それの活用の一助になるためにこの助成金を調べた経緯がある。調べた当時は申請しようと思えばできたという記憶がある。ただ、令和4年10月の改正は本当にちょっと…。まあ、それだけ不適切な利用が多かったのだろうが、そのとばっちりでこの助成金にあわせて就業規則の文言や手当、賞与、退職金をいじるというのはちょっと違うと思っている。会社と労働者のための就業規則であってキャリアアップ助成金のための就業規則ではない。自社の現状に合わないならば就業規則・賃金規程を変にいじって後で他の労働者や労働基準監督署から違反している、といわれるのは本末転倒だと思っている。

ちなみに”短時間正社員””地域限定正社員”などの多様な正社員の申請の難易度は最高ランクだと思う。”正社員”も柔軟な対応になったなあと思ったら大間違いである。(あくまで助成金上の話)

「業務改善助成金

これもYouTube動画ではおススメしているかのようなサムネがでてくる。だが、本当に対象になるかをよくよく検討されたい。助成金のそもそもの構成がどうなっているかを理解したい。賃金の上昇と助成金を支給する目的にあった設備投資が加わる。最低賃金が大幅に上がるタイミングでの負担増に苦しむ会社の負担を軽減する助成金を作っていますよ~という政府のアピールのための助成金だと私は思っている。賃金上昇させるための政策誘導。設備投資の負担軽減のための助成金というわけでなく、賃金上昇の補填を設備投資に充てているといった方が正解のような気がする。車とかパソコンの購入補助金のようなことを言っている人を見かけたが、この助成金も見るたびに中身が良く変わる印象がある。申請時点で本当に自社が対象なのか、購入する車やパソコンが対象なのか、調べてみてほしい。

私はこの助成金最低賃金上昇のタイミングにあわせて、使えるところが使うものだと思っている。だからこの春のタイミングでは触れない。

「両立支援等助成金

どうも介護休業とかの助成金額アップしたと聞いて調べていたが、どこかの都道府県で不適切利用に対し注意喚起をしているらしいことを聞いた。【不正受給】に繋がるのなら、素人が迂闊なことは記事にしないほうがいいと思っている。

余談(最後に)

そういえば、上記の3つは雇用環境・均等室が担当のようだ。(都道府県によっては別部署のところもある。)雇用環境・均等室を目の敵にしているわけではない。もしかしたら、ここが国として今、最推しだからこそ助成金額が高いのかもしれない。

雇用調整助成金の私見④ X(旧Twitter)を見て

何回か記事にあげた雇用調整助成金私見。一応大きな変更点は網羅したかと思う。

さて今日はちょっと外れた話。今回の記事作成にあたり、Xで検索をかけてみて調べていた。

…Xはエゴサするものではない。相変わらず、某芸能人を雇用調整助成金の不正受給をしたと非難しているなあ、犯罪者と決めつけるのは法的に問題があるのでは?と思いつつ、とある意見が目に入った。

それは休業した場合に助成金を支給するのではなく、赤字だとしても仕事をさせている事業主に対して労働者の賃金を補填すべきではないか、という意見だった。

気持ちはわかる。私もコロナ禍中に休業手当をもらったことは一度もないし、ましては仕事を休んでいる時に賃金を100%保障してもらえるという夢のような待遇を受けてみたかった。労働者の誰が好きこのんでコロナに感染するリスクを負って、休業手当より少ない金額で働きたいか。私だけではなく、コロナ禍の中で働いていた人にも国は報いてほしい、という感情は痛いほどわかる。

ただもし、それを実行したらどうだろうか。

仕事をしている人の賃金を国が補償するのは資本主義ではなく、共産主義なのではないか。赤字の会社だからと言って補填していたら誰も黒字にしない。決算をいじる。法人税がなくなる。それは雇用調整助成金以外だとしても現実的ではない。勿論実質的な賃金負担のような補助金助成金はあるが(お金に色がつかないので)賃金の補填、補償という名目では実際に支払われない。

仕事をしている人の賃金に対し雇用調整助成金を実際申請し、仮に受給でもしていたら【不正受給】である。

そういえば聞いた話がある。コロナ禍で失業中の人を見かねた経営者がその人を雇い、すぐに全休にして休業手当を満額支払い、100%保障させていた、という話である。これが本当だったら不正受給になるか?勿論私は警察でも法律家でもないので判定はできない。だが、それはどうかと思う。実際日給15,000円を貰える人はどれくらいいるだろうか?ざっと計算して150,000円×22日=月給330,000円である。その金額を貰える人は日本全国でどれだけいるだろうか?

そういうことが本当にあったから、能登半島地震の特例ができても日給15,000円にも助成率100%にもならないのではないか。あくまで上限の基準額は失業手当の最高額がベース。仕事をしていないのは失業中の人と同じなのだから、助成金の方が受け取る金額が増えるというのはちょっとおかしい。それを約2年以上(コロナ特例は約3年間だが上限15000円、助成率100%だったのは2年ちょっと)もらえるのもおかしい。失業保険ならば、自己都合ならばそれが3か月間ぐらい(被保険者の期間や会社都合などで期間は変わる)である。

こんな制度があればあえて無理して労働しない。労働者は会社に休業するよう迫る。働かずして金銭を得られるのならば、ほとんどの人は働かない方を選ぶ。遊んで暮らせる。

そういうことがあるから、コロナ特例後は今回のような提出書類が増え、教育訓練をしないと助成率が大幅に下がるようにしてしまったのではないか。

何回か助成金に関して記事をあげているが、正直ほとんどの助成金は不要と思っている。その金額分、雇用保険料や税金を下げるべきだと思っている。ただ私の考えが絶対正しいと思うほど己惚れていない。あくまでこの助成金は予算審議を経て国の予算として決まっている。雇用保険料の使い道も法令に基づく。その審議をして決定しているのは国民が選んだ国会議員である。民主主義をとる以上、それに従うよりほかはない。だとしたら自分ができることは何か?その制度を利用して最大限助成金補助金、税金控除を駆使して自社の利益に貢献するのが民間企業ができることである。

次回は、人材開発支援助成金の記事を挙げるつもりである。人材開発支援助成金は1年前、2年前と比較して今年度はそれほど変わっていないが、変わらなかった分ガイドブックがわかりやすくなり理解はすすんだので、1年ぶりに同じようなものを記事にしたいと思う。

不安・怒りと向き合う

不惑の年になって早数年、やっと最近、なんとなく体感的に実感できるようになってきた。

まず【不安】への対処。この「不安」は必ずと言っていいほど、未来のこと、先のことに対する自己防衛が知らず知らずのうちに働いていることがわかる。

「怒られたくない」「失敗したくない」「悪い評価をされたくない」などという防衛反応が働いていることに気づく。今現時点で起きていることではなく、これから起こる未来に対する自己防衛。そしてその自己防衛は過去の怒られた経験、失敗した経験、または成功が続いていることからくる。

そしてその未来予想は大抵当たらないことにも気づいた。怒られること、失敗することは予期していない時に、自分が気づかない時に発生することに気づいた。だから大抵「不安」になっても仕方がないのだ。そして、怒られたから、失敗したからといって、自分に損失が発生することも殆どない。失敗はリカバリーできることの方が多い。(勿論何十億円の博打の損失をリカバリーするのは無理)

失敗した時にパニックになってその失敗した事実を隠そうと画策するのが一番いけない。いい訳したり、他人に責任を押し付けたり、その場から逃げ去ったりしてしまうのが一番いけない。

ではパニックにできる限りならないためにはどうしたらよいか。それは失敗の経験をすることだ。交通事故がまさにそう。無事故でずっといるほうがいざ事故を起こした時に頭が真っ白になって、ひき逃げをしたりしてしまうそうだ。被害にあった方には気分の悪い例えだが、人身事故でない物損事故やヒヤリハットを過去に経験していた方が大きな事故に対処できる確率が高い。交通事故は予期せぬ時、ふとした不注意、油断、焦っている時に発生するのが常である。

だから不安になるのは失敗を恐れるからだが、その不安を減らすためにはむしろある程度失敗した方がいい。その結果の責任を負った経験を積んだほうがいいのである。

続いて【怒り】への対処。

怒りも大抵は自己防衛。自分が傷つけられたから怒る。自分のプライドが傷つくから怒る。自分が蔑ろにされたから怒る。自分の邪魔をされたから怒る。自分に責任を擦り付けられそうになったから怒る。自分がこうあるべきと思うことが実施されないから怒る。

でもそれはきっと他人がこうあるべき、自分に対してこうすべき、という意識があるから怒る。だから〇〇すべき、という感情を手放せば怒りは減る。

ではどうすればその感情を手放せるか?それは他人に期待しないことである。他人に評価されようと思わないことである。

ただ自分の身を守るためには怒る必要がある。言われるがままだと責任を擦り付けられる。毅然とした態度をとる必要がある。自分を蔑ろにする人間は自分を見くびっている場合が多いだからたまに怒ると自分を警戒してくる。自分の怒りのラインを探ってくる。だから演技をするように相手の様子を探るように怒る。相手によい評価をしてもらおうと思わない。自分に不利益を与える相手に評価される必要などないのだから。

ただいつもいつも誰彼構わず怒ると、善意ある他人にも避けられる。協力をしてもらえない。全方位で喧嘩をしかけないことである。数秒で忘れるようなことは些細なことだから怒らないようにする。または直接は怒らずに他人に愚痴ってガス抜きをする。そうすると他人からの噂話で相手の耳に入って警戒される。直接言うと、相手も感情的になってしまう。怒りは一時の感情的な言動ではなくコントロールしてこそ、その価値が発揮される。

雇用調整助成金の私見③ 令和6年4月以降の変更③ 教育訓練②

雇用調整助成金」令和6年4月改正版の記事3回目。教育訓練の2回目。

今回は教育訓練を実施した場合の助成率などの数字についてみていく。わかりやすくリーフレットが載っているのでそちらの数字を参照したい。

助成金の計算式

①初日から支給日数30日を超えるまでの判定基礎期間

実際に支払った休業手当×2/3(大企業の場合は1/2)

ただし上記休業手当の1人あたり上限は、基本手当(失業保険の手当のこと)日額上限(令和5年8月1日時点で8,490円)になる。

以前は前年度の労働保険料申告書の数字をベースに1人あたりの平均単価を算出していたが、令和6年1月1日以降からは実際に支払った休業手当額がベースとなっている。つまり実際の支払額がベースなので雇用調整助成金で利益が計上できる構造ではなくなっている。

支給日数が30日を超えた次の判定基礎期間の助成率

①教育訓練を1日もせずに休業した場合

実際に支払った休業手当×1/2(大企業は1/4)

つまり67%→50%(大企業は50%→25%)と大幅に減る。

②教育訓練実施率が1/10以上の場合

実際に支払った休業手当×2/3(大企業の場合は1/2)

つまり教育訓練実施率(※2)が1/10以上あればもとのままである。さらに実施率が1/5以上になると教育訓練の1人1日あたりの加算額が1200円から1800円に増える。

言葉の定義

(※1)支給日数

1つの判定基礎期間の休業等の”延”日数を対象労働者で除した数

と定義されている。具体的に計算すると例えば判定基礎期間は給料締切日で計算する形なので、休業等を対象労働者数10人で5日、対象労働者は20人とすると以下のとおりとなる。

10×5÷20=2.5日

これがわかりずらい。まず休業等の日数を数える必要がある。休業ではなく休業等である。そして対象労働者数を計算する必要がある。対象労働者が少ない所はいいが、人数の多いところ、月の途中で入退社が多い、つまり出入りの多いところの人数はどうかなど調べる必要がある。尚、この数字は多ければ多いほどいい、とはいいきれない。下記で述べるが、支給限度日数という助成される日数の上限があるからである。かといって少なすぎると休業等規模要件(休業等延日数÷対象労働者にかかる所定労働延日数)という下限に引っかかる。難儀である。

(※2)教育訓練実施率

休業等の延日数のうち、教育訓練を実施した日数の割合

と定義されている。簡単にいえば、休業等の日数が全員20日あるならば、全員の2日教育訓練をすればクリア、となるわけである。問題は休業の日数、教育訓練の日数が労働者でバラバラの場合、短時間の休業と教育訓練を実施した場合の計算方である。またこちらも上限下限の問題があるが、ギリギリの日数で計画を立てて助成率が下がるとか休業等規模要件で不支給とならないよう気をつけないといけない。

イメージ

さて簡単に書いたがイメージは掴めただろうか。ザックリいえば雇用調整の休業等を実施する場合は2か月目から教育訓練を実施することを計画してね、ということだろう。計算式はややこしいが休業等開始の3か月目に入る前までに教育訓練をする準備をすればいい、ということ。なぜ2か月目でないかというと、月の所定労働日数は最低週1日の休日が必要なので27日が最大。よって30日を超えるのは早くて2か月目の間になるから、30日を超えた次の判定基礎期間は3か月目になるからである。(休業開始日から30日後、90日後からではない)

課題

助成金の計算式はExcelで自動計算されるようになっている。要するにこれに数字をいれればいい、というわけで計算式のない助成金も多い中で親切設計ともいえる。しかし私はこの計算式の意味がまだ掴めていない。仮の数字をいれても、だ。上記の助成率の数字が変わるせいだろうが、ぜんぜんピンとこない。教育訓練の支払い率は原則100%だが100以外の数字も入力できるし(例外に対応するため)

だがこのピンとこないのは、コロナ特例のシンプルさに私が慣れたからでもある。今の様式は残業相殺とか特例の時になくなっていたものが復活したりしているせいでもある。コロナ特例の前と比べて計算方などがかなり変化したからでもある。でもある意味ピンとこないことで助成金額を最初から資金繰りに組み込もうとする危ない考えを避けられる、ともいえる。

私見(最後に)

また、支給日数30日を超えてからというが、支給日数の上限は1年100日、3年150日である。コロナ特例の令和4年11月末までの支給はこの日数に含めないということだが、仮に令和4年12月~令和5年3月末までほぼ休業していたところはすぐに支給日数3年150日に到達するだろう。だとすると教育訓練を計画するにしてもすぐに支給限度日数に到着してしまう場合もある。つまり教育訓練を開始してすぐに支給限度日数到達により終了ということも十分ありうる。能登半島地震の特例は別扱いなので、この助成金を使用する予定を組むものではないといえる。100日の間に3か月平均で売上10%以上も下がり、労働者を休業せざるをえない状況に追い込まれているのならば、その状態が100日を超えて続くことが確実ならば経営者は事業所の撤退などを、労働者は転職を視野に入れるべきなのだろう。

あとクーリング期間が終った通常の雇用調整助成金はどれくらいの利用があるのだろうか?能登半島地震の被災地はともかく、通常の場合、コロナ特例のイメージでまた利用を、と考えていたのなら難易度が跳ね上がって計画断念というところがあるかもしれない。利用件数は恐らく公表されないし、雇用調整助成金自体の予算案の金額も公表されてなかったはず。一応調べて記事にしたが、この助成金の需要は特例以外そんなにないかもしれない。ただ、ビッ〇モーター、ダイ〇ツ、小〇製薬の関連で影響がある取引会社もあるかもしれない。

雇用調整助成金の私見② 令和6年4月以降の変更② 教育訓練①

雇用調整助成金」令和6年4月改正版の記事2回目。

雇用調整助成金」は令和6年3月末で「コロナ特例」を利用していた事業所のクーリング期間が終了した。よって通常版の計画申請が全事業所どこでも可能になったともいえる。そもそも雇用調整助成金が【特例】がでるような異常時以外にそんなに利用されるか?と思うが、それにあわせてなのか、この間に「雇用調整助成金」の制度上の問題点が整理・修正されている。

今回は「教育訓練」に関する改定の1回目。

始めに断っておくが、4月になって初めて読んだので間違っている可能性がある。間違いに気づいたら随時修正するつもりである。そんなレベルなので当然内容の保証はできない。

はじめに:休業の課題と教育訓練

まず令和6年4月1日以降の判定基礎期間から【教育訓練】が強化された。どう強化されたかというと雇用調整助成金は、コロナ特例の間、大抵の会社は【休業】を続けていたが、これを長く続けることで、労働者の労働意欲と職務経験の低下がしてしまった。具体的には労働者は働かなくてもお金を貰え、経営者も給料を雇用保険料で補填できたわけで自分の懐は殆ど痛まないから本来退職するような人、転職するような人を働かせなくてもよかった。というモラルハザードを生み出した。

その問題の解決策としてというのが仕事がない間、単なる【休業】でなく【教育訓練】に誘導する方向になった。支給日数30日*1を超えてからは単なる【休業】ではなく【教育訓練】を行わないと助成率が大幅に下がる。この下がり方については別記事で作成する予定だが、今回はその強化された【教育訓練】の中身についての記事である。

ホームページに公開されている分科会の資料を読めばわかるが、コロナ禍の教育訓練の問題は、経営者は何をさせればよいのかよくわからなかった点がある。また訓練の内容も具体性に乏しく助成金が下りるかどうかもわからない。そこで令和6年4月からは、その訓練の中身についてもっと細かく決めたといったところだろう。推測だが。

さて、今回の記事では【訓練】に関する助成金である「人材開発支援助成金」との違いを確認したい。正直、私は雇用調整助成金で教育訓練をするくらいなら人材開発支援助成金で訓練をした方がいいのではないかと思っているからである。勿論教育訓練をさせる趣旨も動機も違うので、内容に違いがでてくる。

尚、人材開発支援助成金は多数のコースがあり、「建設労働者技能実習コース」「自発的訓練」は特に違いが多すぎる。そのコース全部と比較すると話がややこしくなるので、そこで一番最古からある制度(といっても令和4年度に統合し名称は変わったのだが)「人材育成支援コース」とで比較することとする。以下、「人材開発支援助成金」という表現は「人材育成支援コース」のOff-JTのみの「人材育成訓練」のこととして読んでもらいたい。

一応補足しておくが、雇用調整助成金OJT訓練は対象外である。

申請する側してみれば制度の趣旨は違えども似たようなのなので比較することは役立つ。それに同日同時間でなければ両方の申請は可能なコースもあるのだから。(教育休暇付与コースとかは両立できないと思う)

言葉の定義

まずはそれぞれの助成金における【教育訓練】の定義を見てみる。

雇用調整助成金(ガイドブック)

教育訓練

職業に関する知識、技能または技術を習得させ、または向上させることを目的とする教育、訓練、講習等であって、所定労働日の所定労働時間内に実施されるものをいいます。

また、「職業に関する」とは、現在就いている職業に直接関係するものに限らず、現在就いている職業に関連する周辺の技能、知識に関するものも含まれる他、事業活動の縮小等に伴い配置転換をする場合などに必要な訓練も含まれます

なお、通常の事業活動として遂行されることが適当なもの、趣味・教養を身につけることを目的とするもの、再就職や自営のためのもの等は本助成金の支給対象となりません。

教育訓練については、
普段実施できないような訓練を実施することにより通常業務を見直す機会ができる等労働者の働く意欲の向上につながること
② 訓練内容を工夫することで、景気回復後の事業展開に備えることができること 等から、将来的によりメリットの大きい形で雇用維持を行うことができます。

人材開発支援助成金(人材育成コース)(支給要領より)

趣旨

能開法第11条に規定する事業内職業能力開発計画及び当該計画に基づく職業訓練実施計画等に基づき職業訓練又は教育訓練(以下「訓練等」という。)の実施その他職業能力開発に係る支援を行う事業主及び事業主団体等に対して助成を行う

教育訓練

職業訓練以外の訓練であって、申請事業主以外の者が設置する施設により行われるものをいう。

では職業訓練とは何ぞや?というと

事業主が行う業務の遂行の過程内における実務を通じた実践的な技能及びこれに関する知識の習得に係る訓練

若しくはそれ以外の訓練であって事業主が自ら企画し運営するもの

又は能開法第15条の7第3項に規定する公共職業能力開発施設により行われる職業訓練若しくは認定職業訓練をいう

というわけで、定義が微妙に違う。【教育訓練】だけで比較すると、人材開発支援助成金は範囲が狭くなるので、【訓練等】による比較を行う。

訓練時間と移動時間の違い

まず「人材開発支援助成金」については、1訓練あたり最低10時間以上というルールがあるが、「雇用調整助成金」については1日の時間で判定する。トータルの訓練時間に最低時間という考えがない。これはそもそも雇用調整助成金を使うのはあくまで売上高の大幅減少で仕事がない時に訓練をするという状況であるから、同じにはならない。

1日あたり2時間以上の訓練

雇用調整助成金の教育訓練は1日あたり2時間以上が必要らしい。前は1日単位、半日単位だった気がするが。一方「人材開発支援助成金」に1日あたり何時間以上というルールはない。ただ所定労働時間以内しか助成金はでないという点は同じ。1日で長時間やっても所定労働時間までが助成金としての上限。よって自動車学校とかの50分1コマだけ受けて受講した日は雇用調整助成金の場合は対象外だろう。

移動時間

雇用調整助成金:教育訓練の実施日当日かつ所定労働時間内にあって、通常の就労場所とは別の場所で教育訓練が行われる場合の当該教育訓練に係る移動時間に限り、移動時間及び休憩時間を除く教育訓練自体の時間数が4時間以上の場合は1時間、4時間未満の場合は 30 分を限度に教育訓練の時間数に含めることができる。

人材開発支援助成金:移動時間は助成対象時間に含まれない。

よって、移動時間に関しては雇用調整助成金の方が条件が良い。

訓練中の休憩時間

雇用調整助成金:移動時間及び休憩時間を除く教育訓練自体の時間数が4時間以上の場合は1時間、4時間未満の場合は30分を限度に教育訓練の時間数に含めることができる。

「人材開発支援助成金」:1日あたり30分以下の小休止(昼休憩を除く)に限り、1日あたり60分を限度に認められるので(例外あり)、上限は同じでも考え方に相違がある。

対象となる教育訓練

雇用調整助成金は、以下の項目を満たすものでなければならない。次のaからcのいずれも満たすものであり、dは例示である。

尚、「事業所内」と「事業所外」の用語の定義が2つの助成金で異なる。「雇用調整助成金」は文字通り訓練場所が事業所”内”か事業所”外”かで区別するが、「人材開発支援助成金」は事業所が企画する場合が”事業内”で、訓練機関が予め用意している訓練は、例え事業所内で訓練したとしても”事業所外”である。

  1. a 職業に関する知識、技能又は技術の習得又は向上を目的とするものであること。
  2. b 通常の事業活動、生産活動と区別して行われているものであること。
  3. c 当該教育訓練の科目、職種等の内容についての知識、技能、実務経験又は経歴を有する指導員又は講師により行われるものであること。

人材開発支援助成金とほぼ同じ。ただし人材育成訓練の場合で事業所内訓練の場合は、経験や経歴〇年の要件があり、事業所外訓練の場合は指導者の経験年数などは問われない。

d 具体的事例

例示だけの項目を作ったのは令和6年からだと思う。よってとても重要である。

(a) 事業所内

  1. 事業所内で経験等を有する者が講師役となり、休業の対象となっており生産活動を休止している工場のラインを活用して、安全に作業が行えているかの確認、生産性を向上するための講習(業務プロセスの改善等)等を実施するもの(通常の事業活動、生産活動と区別して行われており、教育訓練により生産されたものを販売等することにより利益を得るものではないものに限る)
  2. 事業所内に外部講師を招き、講習等を実施するもの(業務の棚卸しや改善方策の検討の仕方)、マネジメント研修、ビジネススキル研修(プレゼンテーション、問題解決手法)等)        
  3. 事業所内の会議室で、双方向のやりとりができるオンライン講座を受講させるもの(常態として講師が受講者の受講状況を視認でき、講中質疑応答ができるものに限る)

これは雇用調整助成金独自のものと言える。上2つは「人材開発助成金」では助成対象外訓練になりうるからである。

3つめは「人材開発支援助成金」では「同時双方向型の通信訓練」という定義になり対象となる。コロナ禍においてこのオンライン講座が増えたがそれが整理されて追加されたのだろう。

一方、注意点がある。まず通信制、Eラーニングは「雇用調整助成金」は対象外。どの時間にやるか不明確なものは排除されている。また事業所内の会議室等、というところもポイント。自宅で受けるのはダメ、オンラインのやりとりが事務所の自席でしかできないネット環境が整備されていないところは「通常の事業活動と区別できない」という理由で対象外だろう。

カッコ書きのことは要するに、単なる動画を見ているだけ、講師とリアルタイムでコンタクトがとれない場合は対象外ということ。YouTubeや配信された動画を見ても、DVDを購入して視聴しても対象外。

(b) 事業所外

・官公庁や地域において産業や中小企業を支援する機関等が実施する講習等(講演が実施されない関係者の意見交換会やイベント等を除く)  
  1. DX、AI、GXなど新しい技術等を業務に活用するためのもの    
  2. 新分野展開や販路開拓を行うためのもの    
  3. 生産性向上、業務改善を図るためのもの
  4. 法令の改正内容等に係る知識を習得するためのもの(労働法令、税など)
  5. ワークルールなど労働者が働くために必要な知識を習得するためのもの(単に事業所内の規則を説明するものは除く)

人材開発支援助成金の場合は職務に必要な専門知識となるならば対象になりうるが、その労働者の職務に必要な専門的な知識でない、労働者全般に必要なもの知識なら対象外。尚DX、GX、新分野展開の場合は「人材開発支援助成金」の「事業展開等リスキリングコース」(期間限定)で対応可能ではないかと思う。

 ・教育訓練等を行っている機関が実施する講習・訓練等  

例:業務で必要となる免許・資格等の取得や更新のためのもの    (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が行う在職者訓練、生産性向上訓練、認定職業訓練、二種免許の取得

→国、都道府県、独立行政法人などがお墨付きを与えた訓練、免許、資格は対象。多分これが一番対象外となるリスクが少ないと思う。だって行政機関主催だもの。

A 教育訓練の目的から対象外とすべきもの。

むしろ対象外と明記されたこっちを知る方がが重要。人材開発支援助成金でも対象外とされているものが殆ど。違うところだけコメントする。

(a) 職業に関する知識、技能又は技術の習得又は向上を目的としていないもの。

(例:意識改革研修、モラル向上研修、寺社での座禅、趣味・教養を目的とするもの(日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習、話し方講座) 等)

(b) 職業又は職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるもの(法令の遵守のために必要な知識の習得を目的とするものは除く。)。

(例:接遇・マナー講習 等)

→これも人材開発支援助成金の「共通スキル要件」に似ているが、カッコ書きの法令遵守のところだけは異なる。これに該当するという線引きが本当にわからない。

例えば労働基準法を超越するような発言をしてXで話題の某人事部員のような人に労働基準法を学ばせた場合に対象になるのか。労働法関連を軽視する人事部員なんて会社として異常だしそんな人間に労働基準法を学ばせたお金を雇用保険料で補填するのか…。いやむしろそんな人間に国が法令遵守コンプライアンス)を徹底させたいからなのか。

(c) 実施目的が訓練に直接関連しない内容のもの。

(例:イベント、懇親会 等)

イベント参加料になぜ助成金を支払わなければならないか?という当たり前のことをいっている。

b 通常の生産・事業活動と区別がつかないもの。 

例:・自社の商品知識研修、・QCサークル
・新任の担当者に対して業務の範囲や進め方など業務を遂行する上で社内で通常必要となる知識等の説明
・教育訓練により生産されたものを販売等することにより利益を得るもの 等

→そもそも自社の商品を覚えることは仕事であり、新任への仕事の引継ぎも仕事であり、売上があがるものは仕事である。

c 教育訓練の実施状況が確認できないもの。  (例:指導員や講師が不在のまま行われるもの(自習やビデオ等の視聴))
d 0303aイの要件等から対象外となるもの。 (例:新規採用者を対象とする入社時研修等)

0303aイを読まないと誤解を招く表現だなあ…。0303aが対象労働者の規定でそのうちイ~チに規定されている者は対象から除かれている。

0303aイ…休業等の日の属する判定基礎期間の初日の前日又は出向を開始する日の前日まで同一の事業主に引き続き被保険者として雇用された期間が6か月未満である者。

ザックリいうと、入社して6か月未満の雇用保険被保険者(労働者。助成金の対象となるのは原則雇用保険に加入している者)は雇用調整助成金の対象とならない労働者。だからその対象外の人間に訓練をしても助成対象外、と念押ししている。新規採用者はコロナ特例の間は令和4年11月ぐらいまで認められたが、もともと入社6か月未満(被保険者期間6か月未満)は対象外。

人材開発支援助成金の場合は「認定実習併用訓練」などでは対象となりうる。もともとの趣旨が異なるのと、雇用調整助成金は不正防止*2のための制限だろう。

e 法令で講習の受講が義務づけられているもの。なお、労働者が資格の取得・更新するための法定講習等である場合を除く。   (例:労働安全衛生法関係の教育)

なお書き、カッコ書きのところがかなり重要。かつての雇用調整助成金はなお書きのところがなかったと記憶している。つまり法定講習は全部対象外だったのが、労働者が資格取得や継続のために法定講習を受ける場合は対象となる。人材開発支援助成金に揃えたイメージである。これにより、例えばフォークリフトの講習とかも4月からは対象になってくるのではないかと推測している。

f 教育訓練実施時間中に業務が行われるもの(教育訓練の時間と区別可能な形で行われる場合を除く。)

これまたカッコ書きの方が重要。訓練期間の途中に仕事の電話とか来客が急に来た、という場合のアンサーだろう。だが気を付けないと不正受給になりかねないので、仕事を本格的にする場合はその日は申請しない方が無難。当然ながら業務中、つまり仕事があるのならば雇用調整助成金は不要。

以下のいずれかに該当するもの。

・(a)当該教育訓練の科目、職種等の内容についての知識、技能、実務経験又は経歴を有する指導員又は講師により行われないもの。

講師要件。対象となる訓練と反対のことを言っている。テキトーな講師や何者かわからない人が講師だとダメだといっている。

(b) 再就職の準備を目的とするもの。

これをわざわざ書いているのが笑える。転職活動用の勉強に、転職元の会社や国がなぜお金を払うのかという話だろう。再就職で資格を取りたいならば雇用保険の労働者本人の給付金制度があるのだからそれを使えばいい話。それに制度は同じではないが再就職用の助成金もある。

(c) 過去に行った教育訓練を、同一の労働者に実施するもの。

これは人材開発支援助成金と明確に異なる。人材開発助成金は過去に同じことをやっても認められる。

(d) 海外で実施するもの。

海外での実施は実地調査が困難だからだそう。

(e) 入管法別表第1の2の技能実習の活動を行う者(技能実習生)に実施するもの。

人材開発支援助成金の場合認めらえる場合がある。「技能実習生」の場合、OffーJT訓練かつ入国理由次第で認めらえるケースがあるからである。ここが人材開発支援助成金雇用調整助成金で一番違うかもしれない。技能実習生は制度や立ち位置が法改正で変わるので留意。

Q05-02事業所内で研修を行い、講師が自社の従業員である場合、その者は助成金の対象になりますか。

A事業所内で行う教育訓練において、自社の従業員が講師として研修を行う場合は、その者は通常の勤務となるため、助成金の対象とはなりません。

→最後にQ&Aから引用。自社の従業員が講師をするのがダメだと言っているわけではなく、自社の従業員が講師の場合、その講師の従業員だけは仕事中と判断する、と言っている。

最後に(言い訳)

実は11日から書き始めたのだが膨大な分量になった。いつまでたっても終わらないし、間違いがないか確認していたらおつまでたっても記事作成が終らない。生煮え状態でアップするが、他の資料と見比べる時間的余裕がなく未確認のところもある。そこはご了承を。

*1:(この日数の数え方はガイドブックなどを見て確認してほしい。休業開始2か月目という意味ではない。)

*2:入社してすぐに休業してお金を貰う→仕事がないのに入社することで、働かずにしてお金を貰うことが可能。助成率を100%とかそれに近い率にすると、そういう輩が登場するようだ。

雇用調整助成金の私見① 令和6年4月以降の変更① 提出書類

久しぶりに雇用調整助成金の記事。令和6年4月以降から変更があった模様。一番の変更点は「教育訓練」の実施状況により助成率が変わったことは令和6年度の雇用関係助成金の改正の記事にも書いたが、それ以外でもかなりの変更があった模様。

さて今回はその変更の中で提出書類が追加されたということで、ここに焦点を当ててみたい。その理由はというと、明らかに「コロナ特例」の時の「不正受給」を考慮したとしか思えない追加書類であるからである。尚、以下の事柄は「能登半島地震特例」には適用されないようなので注意されたい。

源泉所得税の直近の納付を確認できる書類(写)
(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の領収日印があるものなど、納付を確認できる書類)

給料を支払った証拠書類をより高度により多く集める意図がある。源泉所得税の支払とともに支払った給料と報酬の総額もわかる。給料と報酬の総額がわかって何になるの?と思う人は正直に書いた方がいい。この書類を偽って作成提出した場合は助成金の不正受給のみならず、所得税法違反にもなりうる。普通の人は税務当局の調査能力を舐めない方がいい。

対象労働者全員分の源泉徴収簿(毎月の源泉徴収の記録等が分かり年末調整のためにも使用できる書類であれば、「賃金台帳」等により代替可能)

全員分の毎月の給料の裏どりをする気満々である。労働者が本当にいるかどうかもわかるだろう。単に「賃金台帳」ではなく、源泉徴収簿に反映される、つまり裏付け書類として一致できる賃金台帳でないとダメなのだろうと推測する。推測だが不正受給をしているところのなかには「賃金台帳」の記載金額と源泉徴収簿の記載が一致しなかったケースがあるのだろう。

尚、上記2つの書類については初回申請時のみの提出で良いらしい。  

給与振込を確認できる書類(写)(現金払いの場合は会社名・金額・労働者の住所及び電話 番号・受領日が明示され、労働者が直筆で氏名を記載した領収証) 

これでもかというぐらいであるが、給料を実際振り込んだかというお金の流れを確認できるところまでを求めている。おそらく不正をする輩が給料明細や賃金台帳を改ざんしているのだろう。また現金払いの場合は労働者の署名つき領収証。これもおそらく労働者に休業手当を含む賃金を労働者に渡していなかった不正事業主がいた、ということ。

他の助成金から察するに単なる領収証は金銭の流れを示す証拠書類として労働局は信用していないのだろう。本人署名は押印を求めない代わりなのかなと思ったが、労働者本人の住所や電話番号つきの本人署名を求めている。不正調査の際、事業所を通さず労働者本人に直接接触を図ることができるようにする気満々である。そして署名させて字の鑑定までもする、かどうかは知らない。

Q5.休業日に自主的な出社をしている従業員がいますが、この日も助成対象になりますか?

A.休業日に自主的な出社をした従業員の休業については、実態として休業しているものと認めることは困難であることから、助成対象となりません。その分を除いて支給申請をしてください。 

→上記はガイドブックにある41ページにある「よくある問い合わせ」の一つである。これも恐らく不正調査を反映したものというのが私の証拠なき妄想。

具体的な妄想:

不正調査の人「休業日に出勤した記録がありますが?」

会社の担当者「従業員が勝手に出社したのであって会社は休業を指示しています。」

そんな言い訳が通用するかどうかは知らないが(おそらく通用しない)もうガイドブックでその日は助成対象でないと明確に書いてあるのだから、今後はその言い訳は100%通じない、ということだろう。各都道府県の労働局のホームページに掲載されている雇用関係助成金の不正の理由として「実際に休業していないのにも関わらず休業と偽った…」という理由が多々あるので、まあここれまで実際休業してない証拠は押さえていて、今回のQ&Aは本当に休業だったのに出勤してきた場合は休業日じゃないのだよ、という改めて念押ししているのかもしれない。

他の変更点は別途記事にする予定。