前回のテーマ、「孤独」に関する話の続き。
前回は、「孤独」もまた、メンタル疾患にはよくないこと、だからといって「孤独」を恐れて、不快でストレス過多な「人間関係」を続けるのもまたよくないよね、という話であった。
今回は、科学的なテーマによる。以下は、「ストレス脳」という本からかなり引用している。私なりの解釈であり、要約であるから、実際の内容は、本を読んで確認してほしい。あくまで、私なりの解釈をジャーナリングという名のもとに整理したいがための記事である。
尚、私は医師ではないので、以下の話は、医学的に正確な情報だと保証できないことだと思ってほしい。また、医学的にこうだ、と主張する気もない。あくまで自分なりの「孤独」に対する科学的理解のための記事である。孤独は良くないよ、寂しいよ、という主観でおしまいではなく、科学的に医学的に理解したいがためのまとめである。
以下、ネタバレや、医学的に正確でない可能性がある内容を含むため、一旦改行する。
孤独の定義
さて「孤独」と書いたが、孤独というのはどんな状態の時に「孤独」に該当するのか?というと、自分が孤独と感じている時が、孤独なのである。
多くの人に囲まれていたからと言っても、孤独を感じるときもあるし、1人でいても孤独を感じないときである。
孤独というのは、一人一人の主観であり、一人ひとり程度が違う。1日1人でいたから孤独と感じる人もいれば、1週間ぐらいはなんともない人もいる。
だったら、「孤独」を感じないようにすればいいのではないか?と思うが、そうではない。人間の脳が「孤独」を感じるかどうかは、人がコントロールできない領域なのだ。
孤独は、たばこ1日に15本を吸うぐらい健康に悪い、それぐらい孤独は健康にリスクがあるという実証結果に基づく分析もあるぐらいだ。
孤独が先か、メンタル疾患が先か
では、孤独になったから、メンタル疾患になるのか?それとも、メンタル疾患になったから孤独になるのか?
メンタル疾患で休養している場合、休養とは1人でいることも多いから、大抵は孤独である。だから、メンタル疾患になった後に孤独になるのはある意味当然。
色々調査結果があるらしいが、結論から言えば、孤独が先である。孤独になったからメンタル疾患になるリスクが増えてるといったほうが正しい。
孤独の健康リスクは、メンタル疾患だけか?
孤独になるとメンタル疾患になる、という表現は適切ではない。というのも、メンタル疾患だけでなく、他の病気の原因にもなりうる。
孤独は、色々な病気になるリスクを高める、といったほうが正しい。
具体的には孤独により、脳内伝達物質の増減があるから
では、どうして「孤独」になると、病気になるリスクがあがるのか?「メンタル脳」という本では、以下の3つの脳内伝達物質が原因となると紹介されている。
1 アドレナリン
いわゆる、脳が危険信号を出し、「戦うか、逃げるか」という戦闘態勢にさせるのが、アドレナリンである。反対に、休息、安心している状態がノルアドレナリンである。交感神経と副交感神経といわれる場合があるが、その場合は交感神経がアドレナリンである。
アドレナリンが出っぱなし、というのは、要するにストレスが長期化している状態。また、血圧が上がりっぱなしの状態である。アドレナリンが出ること自体は問題ないが、アドレナリン優位が続き、休む時もない状態というのは健康に良くない。
では、なぜ、孤独な状態、つまりは人と接してない状態でアドレナリンがでるかという疑問がわいてくる。他人という敵がいないのならば、安心できるではないか?と思う。
ここが、人間の脳が過去の出来事、遺伝による影響を受けるところ。
かつて、人間はいつ敵に襲われるかわからない状態であった。1人でいることは危険が高まることを意味する。複数の仲間とともに敵に備えているよりも、1人のほうが危険である。よって、1人の場合、常に自分で危険を察知するセンサーが働く。つまりは、アドレナリン優位の状態が続いている、ということになるからである。
2 エンドルフィン
続いての脳内伝達物質が、エンドルフィン。鎮痛作用があり、強い幸福感を与えてくれる。
このエンドルフィンというのが、どうやら、「他の人と一緒にやる」時に放出されるようなのだ。コンサートやスポーツ観戦、映画鑑賞。面白くても、悲しくても、つまらなくても、そこに誰か他の人が横にいて、一緒に体験する行為自体で、エンドルフィンが放出されるらしい。
このエンドルフィンの興味深いポイントが、デジタル空間で他の人と一緒にみても放出されないこと。オンラインでつながっていたり、SNSでつながっていても、エンドルフィンは放出されない。
つまり、エンドルフィン放出のためには「対面で会わなければならない」
なぜオンライン、つまりは画面越しではダメなのかは、まだ研究途中らしいが、どうやら皮膚感覚に影響があるらしい。
余談だが、「推し活」でも、幸福感を感じている人がいるのは、直接コンサートやスタジアムに出向いて、周りと一緒に連帯してその空間を楽しんでいるからなのだろう。
では、YouTubeで「投げ銭」をしている人は、エンドルフィンがでないのか?といわれると、私にはわからない。
3 セロトニン
最後は、鬱病の本や動画を見たら、必ずと言っていいほどいわれる脳内伝達物質の「セロトニン」である。鬱病の原因はセロトニンの放出量がおかしくなるため、といわれていて、そのためには、薬をのんで調節したり、朝に日光を浴びることが推奨されていたりする。
現在では、セロトニンだけではない、複数の原因が重なっているという説が有力のようで、さらには、ウイルス説、ミトコンドリア説、遺伝要因など多々挙げられている。
それでも、セロトニンの放出量が原因ではない、と否定されているわけではない。セロトニンの対応だけでOK、という単純化はできないが、適切なセロトニン量が鬱病からの回復に一役買うのは確かだし、セロトニンの量が不適切になると、メンタル疾患を誘発する原因の一つであることは確かだろう。
さて、このセロトニン、どうやら「孤独」であることもその放出量を下げる原因となっているらしい。
厳密に言ったら、その所属する組織のヒエラルキーの上にいけばいくほど、セロトニンの放出が増え、ヒエラルキーの下に落ちると、セロトニンの放出量は減る、らしい。
また、組織から追い出される場合もセロトニンの放出量は減る。つまり、自分の属する組織の上位に居続けないといけない。
そこで、昨今のSNS依存がメンタル不調の原因になっている、という話に行き着く。その組織というのは、現実社会の組織だけではない。自分が見ている人間との比較でも影響する。だから、SNSでセレブ達や、成功者たちが煌びやかな生活を見せつけることで、そしてその生活と自分とを比較し、落ち込むことで、セロトニンの放出量は減り、メンタル疾患になりやすくなる、らしい。
ただ、これについては、まだ研究途上のようだ。その原因は、SNSを運営する企業がもっているデータが非公開であること。そのデータがないと推測の余地を得ないらしいが、未成年の女性がスマホ依存によりメンタル疾患になるのは、このせいだといわれている。
一方、女性と比較して男性のほうが、スマホによりメンタル疾患になる比率が少ない。その理由は、スマホでなにを利用するかが性別によって差があるためで、男性は主にゲームをしている割合が高いが、女性はSNSの利用率が男性より多いという統計データがあるから、そう推測されているようだ。
昔は「ゲームばっかりして」と怒られていたものだが、どうやらSNS、特に他人の承認欲求満載の投稿を見て自分の地位が下がったと思う人、ネガティブな刺激に強く反応してしまう人のほうが、ゲームをするよりも精神上よくないらしい。
では、SNSで自分の地位を確認するのを辞めれば?と思うが、そうはいかないのが人間の脳。脳が孤独を避けるため、どうしても自分の地位を確認するのをやめられないそうだ。
まとめ
要するに、孤独がメンタル疾患に良くないのは、アドレナリンが出続ける事、エンドルフィン、セロトニンの放出量が減るから、というのが医学的な根拠になる。
ただ、この「孤独」、人に囲まれるかどうかではない。集団の中にいても「孤独」を感じる場合があり、その時は、どんだけのコミュニティに参加していても「孤独」だ。
「孤独」を感じない相手、つまりは、人数の多寡ではなく、対面で一緒にやることのできる人、誰の地位が上か下かのマウント取り合戦をしなくていい人と交流することが大事、ということになるだろう。