しつこいようだが、SNSの投稿、SNSの投稿の切り抜き記事、ワイドショーのコメントの切り抜き、ヤフーニュースの切り抜き等(以下「SNS等」)を見て怒りを覚えた時の対処法についての記事の3日目。3連休の使い方として正しいのか、とは突っ込まないでほしい…。
以前からこのSNS等を見て怒りを覚える理由が自分の中で消化できないで、悶々としているからである。こんなのは無視すればいいことはわかっている。ただどうしてこんなに怒りを覚えるのか、そのメカニズムというのがわからない。
誹謗中傷がどうしておこるのか、という本は読んだことがある。結論としての、誹謗中傷は正義中毒におかされているからであろう、ということはわかっているつもりだ。だが、どうしてこんなにイラつく、喧嘩を吹っ掛けるような投稿が表示された時に怒りを覚え、ストレスを感じ、反論したい衝動にかられるのか。魔が差せば、自分も誹謗中傷の加害者になりかねない。他人事ではない。
精神科医、臨床心理士、宗教、哲学などの専門家が書いた本を読んでもどうも腑に落ちない。そんな時、とある本屋で一冊の本に出会った。
タイトルは「世の中の8割はどうでもいい」。著者はVtuberの「犯罪学のかなえ先生」である。多分、タイトルと著者名だけ見ると手に取ることはなかっただろう。著者がVtuber?動く絵、キャラクターじゃね…?誰が書いてるんだ、と。タイトルも流行の〇割系だし。
だが、本の中身を読んでみると、SNSとかYouTubeに関する心理的な影響についてかなりのページ数を割いて説明している。後にも書くが、「なるほど」と思う箇所がいくつもあった。
そしてふと思った。そうか、SNS等の関する疑問は、その発信者の考えを本で読むのもひとつの手だな、と。ちなみに私は著者のVtuberはこの本で初めて知った方である。
どこぞやの論破王、汚い言葉で他人や他人の職を見下し貶す某実業家、喧嘩腰でイメージ重視の政治家の本が売れ筋の本として並んでいたが、こいつらは閲覧数を稼ぐために”わざと”他人を挑発したり否定する言葉を使っていることを他の書物で知っていたのでこれらの人物の本は無視して、この存じ上げないこの方の本を購入することにした。
実際、読んでみたところ、私の中で腑に落ちた点が何か所もあった。タイトルを「SNSとの向き合い方。~誹謗中傷の加害者にならないために、炎上商法に引っかからないために~」とでもよいのでは?と思ったぐらいである。
以下、腑に落ちた箇所を抜き出して記憶にとどめておきたい。ネタバレになるので、以下改行する。
この本で書かれていること
さて、次の・で箇条書きした文章は、本から切り取った表現である。文章を数行にまとめる都合上、多少表現を変えている。
尚、本というのは著者以外の人間が切り抜いたところだけを読んでも著者の真意は伝わらない。そして前後の文脈を無視すれば誤解する。著者がこの本でいいたいことを理解するのは実際に本を読んでもらいたい。
なおタイトルやカッコ書きの部分などは、著者の記述ではない。
無関係の相手に対して怒りを覚える理由
・本来自分の問題じゃないものについても、(他人の問題を)自分の問題として抱えていくようになり、不安や悲しみ、怒りを湧き上がらせている。
ネット上での「勝者」であるインフルエンサーが大衆を見下す理由は、低収入の人間は社会にとって無駄なコストで、足を引っ張る「敗者」という認識だから
・多様性の尊重と画一的な合理化を推し進める社会の中、ネット民が突然意味もなく傷つけられることがあるということ。何もしていなくても、平穏に生きていたくても、感情を乱されているのがインターネットやSNS。
自分と考えがあわない人とは距離をとればいいのに、それができない理由
・相手に間違っていることを認めさせないと、相手が間違っていることを周囲に理解してもらないと、正しいはずの自分が間違っていると思われてしまう。自分とは異なる考えを持つ相手の支持が広がってしまう。それを阻止したい。
このような、ある種のゆがんだ使命感や正義感で、怒りに任せて粘着してしまう。
インフルエンサーに嘲笑のネタにされてイライラしている人に対する助言
・本当の愚者とは、主語を大きくし、物事を単純化して捉えて本質を見失う者。つまり知らないことをわかったかのように話しているだけ。
よくわからないことだから、主語を大きくして、物事を単純化して、面白おかしく伝えているだけで、それは識者ヅラしているかれらの無知のカモフラージュ。彼らにのっかかって茶化している人達も同じ。
経験したこともないのにネットかどこかで聞きかじってきたような知識を得意げになって大きな声で話しているだけ。
わかりやすくいうと「バカが何かいっている」と思えばいい。
・「こんな奴はバカだ」「成功する方法/失敗しない方法」
インフルエンサーが声高々に物事が単純化できて、世の中の問題が整理され解決するならば、多くの社会問題はとっくに解決しているはず。解決しないのは、そんな世の中は単純な問題ではないから。つまり、彼らに解決する力はないし、ただネタにしているだけ。
悪質なユーチューバーが流行する理由
・迷惑系、自警団系、暴露系ユーチューバーは、わかりやすい「悪」を提示して周囲に叩かせている。そして、いつしか私たちは正義の棍棒をふるう機会に慣れていき、わかりやすく単純化された「悪」に対して深く考えることもなくなると同時に、誰かを叩くことに疑問を持つ感覚も奪われていった気がする。
・正義や制裁の熱に浮かされることに慣れた私たちのために、問題をそれっぽく単純化して、切り分けて食べてさせてくれる人物に依存し、気持ちをスカッとさせてくれる餌を大きな口で待っている。
そのほかの記述
以上、この本のなかでSNS等に関する記載の中で気に入った表現をピックアップしてみた。他にもたくさん興味深い記述もあったが、全部載せるのは問題があるだろうし、そもそもこの本はSNS等の対応方だけの本ではない。
また著者はYouTube発信者の立場から実際に誹謗中傷や殺害予告までされているそう。その誹謗中傷に関する記載も多くあるが、その記述についてはやはり被害者として、恐怖と強い憤りの感情がでている。ここだけは他と論調が違う気がしたが、それは人間としては当然の感情だろう。
だが、私としてはそのSNS等に対するこのイライラした感情を理解するために役立つ記載のある本という感想を持った。
尚、この本のタイトル「世の中の8割はどうでもいい」という意味は、世の中の問題、つまり自分が気にしている問題うちだいたい8割ぐらいは「自分が解決するべき問題でない または 解決できない問題」だ、という著者の主張からきているようだ。
最後に
この本を読んでいる際に、まさにこの本に記載のある「主語を大きくし、物事を単純化した」投稿をした人物に対して、批判した投稿が山ほどXのタイムラインに流れてきた。投稿した理由はどうやら一人の教授のテレビでの発言に対しての批判だったようだが、一教授を「学者全般」に主語を大きくし、学者の研究=無駄な行為と単純化し、そこから学者=詐欺師と「悪」として提示していた。その投稿を見た人が批判しているのを見て、まさにこの本の言う通りだなあ、とおもった次第である。
そして、2回前に紹介したヤフーニュースで非表示にできる機能に、この人物の名前、「橋〇徹」を書き加えて見えないようにした。