とあるSNSに関する本で興味深い分析が紹介されていたので、メモ。本から抜粋した箇所がほとんどだが、自分のいいたいことを足した形になっている。
その本でうすうす気づいていたことをその本で明確に根拠をもって以下の指摘があった。
メディアやSNSの発信者は、自分に対する支持を集めるために、集団への怒りを掻き立て、人々の対立と分断をわざと生み出しているらしい。
つまり自分への支持を獲得するために、閲覧者の「怒り」を”わざと”発生させているという指摘である。そのためには、表現する際に、”わざと”以下の区分をしているそうだ。
カテゴリー思考
気に食わない人びとにたいして、何らかのレッテルを貼り、彼ら彼女らが自分達とは異なった異常な存在だと想定させること。
具体例としては「右翼」「左翼」など。
最近では「チー牛」「フェミ」とかなども該当する。
単純化
相手側の主張を”単純化”して、細かいところではあるが重要な部分を省く行為。それによって、相手側の言動を隙だらけの論破しやすい主張や、合理性を欠いた感情的な主張、もしくは社会を根底から揺るがしかねない”極論”へと意図的に”転換”させる。
この過程を経ることで、「冷静で合理的な」自分の主張との差異を際立せる。
怒りの増幅
カテゴリー思考や単純化をなぜするか?それは相手側への憤りを増幅されているためには必要な過程であるから。
メディアや投稿者はさまざまなレトリックを駆使しながら、カテゴリー思考と単純化を用いて、閲覧者の攻撃対象への怒りを増幅させようとする。
これにより、閲覧者は、そこで明らかにされる”ひどい”主張に憤る。
そして、ターゲットにされた側にとっては、変なレッテルを貼られ、言ってもいないことを言っているとされるため、その首謀者たる投稿者よりも、自分たちに憤っている人がいることに対して憤る形になる。
結果
これにより、投稿者の作為により、閲覧者とレッテルを貼られた人の双方が互いに怒りを増幅させる。そして、投稿者はその姿を見て悦に浸る。または、閲覧者から悪事を見抜いたヒーロー、正義の味方として支持を集める。
ではその投稿者はその投稿により何を解決したか?
何も解決していないし、具体的で建設的な問題の解決のために何もしていない。ただ、SNSに投稿し、対立を煽っているだけである。だが、その行為が閲覧数稼ぎに繋がる。収入に繋がる。支持者を増やすことに繋がる。投稿者の利益のために、他人を対立に巻き込む。他人や事件、被害者のことなど一時的な話のネタでしかない。被害者救済などする気もない。自分のためである。
これが、SNS等で用いられる、インフルエンサーおよびミドルメディアが用いる閲覧数稼ぎ、PV稼ぎの手法であり、「激怒産業」である。これにより「偽りの分断化」が広まっていく。
もともとの本は、アメリカにおける共和党(トランプ)と民主党支持者との間の対立と分断の指摘ではあるが、日本における名前の知られたインフルエンサーやユーチューバー、ヤフーニュースに掲載されるネットメディアやスポーツ新聞、週刊誌の著名人の発言の切り抜きもまさにこれに該当する。
だからネットメディアはXでの投稿か、ワイドショーでのコメンテーターの発言の中から、わざと”怒り”を引き起こさせるネタを見つけて、PV稼ぎに走っているわけである。