けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

アルムナイ採用という制度についての私見

一度退社した会社に再度入社する制度、というのがあります。アルムナイ採用というそうです。
この制度、中途採用の手法としてはかなり有効な制度だと私は思っています。以下、退職理由や立場で分類してみます。

①育児、介護、伴侶の転勤など家庭の事情

中途採用の手法としてかなり有効です。これまでの経験があることは勿論、退職理由も会社に不満があったのが直接の原因でないですし、本当か嘘かわからない盛りまくった職務経歴書と、口が上手いだけの可能性もある短時間の面接をもって新しい人を雇うよりも、実際の働きぶりを知っている人で、かつて評価していた人を雇った方がはずれる可能性が低いです。(人も仕事も変わっていくので”絶対”はないですが。)

また、求職者が「入社前と思っていたのと違う」と感じて早期退職に繋がるミスマッチも少ないです。求職者側も、もう一度採用されるということは過去の仕事ぶりを評価してもらっているという確認ができますし、再び雇ってもらったという恩義もできますので、辞める前よりもモチベーションが高い状態で仕事をされる可能性が高いからです。

スキルアップ、経験を積むためなどのポジティブな理由

求職者から申し込んできた場合は勿論ありです。求職者は外の経験を積んだうえで自社がいいと判断したわけですから。

③人間関係や給料面というネガティブな理由

これもありだと思います。他の職場を経験したうえで、やはり自社の方が良かったという判断のうえですし、上記の評価と恩義と他社での経験も加わったうえで、給料面も理解したうえでの入社希望です。
私の過去の経験でも、このケースの出戻りの人は結構仕事ができる人が多く、主戦力になるというイメージがあります。人間関係が理由というのも一部の人間との関係で退社した場合で対立した人物が退社したため出戻りするという場合はありだと思います。周りと対立ばかりするトラブルメーカーは論外ですが、1対1の対立というのはどちらが悪いかというのは簡単にはいえず、対立した結果会社に残るのは、むしろ出来の悪い方が多い。辞めるほうの人間は他の会社でもやっていけるだけの能力がある人だからです。

④経営層の恋人または愛人、パワハラ・セクハラの加害者

恋人や愛人などは既存の労働者にとって会社の私物化・公私混同以外としかとらえようがなく、パワハラセクハラの加害者の場合はパワハラセクハラを容認するのかという会社への不信を招き、既存の社員の退職が逆に増えてしまう可能性があります。雇うことで戦力ダウンする本末転倒な結果を招きます。明らかにマイナスです。尚、中小企業で経営者の配偶者を”取締役”にするという場合は別です。

⑤横領など金銭トラブルを起こした人

項目に挙げなくても懲戒解雇対象の人を再度雇うことはないでしょう…。ちなみに、合併した会社に偶然雇用されていて、調べてみるとその合併先でも横領に手を染めていたというケースがあったらしいです。横領など一度一線を越えてしまうと再犯の可能性は高いらしいです。

⑥退社前の仕事ぶりに問題があった人(評価がかなり低い人)

これも再雇用するというケースは殆どないと思いますが、もし仮に人手不足等が理由で能力に目をつぶって再雇用しようと思うのならば、それは絶対にやめたほうがいいです。既存の労働者がなぜあんな奴を再雇用するのかと不満を抱き、採用担当に対しての不信感の増大、モチベーション低下を招きます。若くして辞めた場合は成長している可能性がありますが、それは同じで賭けでしかありません。このケースは再雇用より、初めての人を雇った方がいいかと。

⑦病気で退職した人

私自身の経験に置き換えて説明した方がわかりやすいかと。私がかつてメンタル疾患治療中の時は治して復職する目標をたてていましたが、今となっては一度も病院へ見舞いにくることもない、気遣いもされない、解雇通知は郵送のみ、メンタル疾患になった途端に使い捨てにされ、路頭に迷うという屈辱を与えてくれた会社に戻ることなど絶対にないです。

弱者男性になったからといって、その原因を作った会社に金銭を恵んでもらってまで生き延びようとも思っていない。もし再入社するなら会社をつぶしてやるか、自分を追い込んだ奴らにこの苦労を味合わせてやりたい。そんな復讐心をもって残りの人生を送りたくないし、会社もそんな復讐心を持った人間を雇うほど馬鹿ではないでしょう。

まあこれは私の話。私と違い良好な関係で退職していて完治している人で、今でも連絡を取り合っている人情味のある会社ならばありかもしれません。

 

ここまでのまとめ

問題となるのは再雇用時の役職、給料でしょうか。求職者が応募する形をとる場合、比較するのは会社にそのまま残り続けているその人物の同期や後輩との比較でしょう。応募者も既存の労働者もある程度納得できるような適当なポストと給料があればよいでしょうが、そうでなければどちらかに不満がでて、無駄な対立を招き結果として雇うんじゃなかったというケースになるかもしれません。

会社の本当の狙い コロナ禍での退職した人分の補充を出戻りで埋める

アルムナイ採用を去年や今年に入ってから開始している会社の狙いのほとんどは、コロナ禍で退職した(させた)人達が多くてその分人手不足に陥っている事業が多いのではないでしょうか。飲食、旅行、旅客運送etc。

この理由は上記と一線を画します。退職した理由は業界の都合、会社の都合、本人の都合、色々な理由があるでしょうし、これは労働者の現在の仕事によっても判断がわかれるところです。

退職に追い込んだ会社だったら将来コロナ以外の理由でも業績不振になればまた労働者を路頭に放り出すでしょう。

労働者側が見限ったならば、戻ったとしても会社が困難な時は逃げ出す人というレッテルは貼られるでしょう。

勿論、円満退職した場合もあるでしょうから、どんな理由であるにせよ、”一回別れた人”とよりを戻すかどうかは自分達で判断すればいいと思います。