けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

紙ベースのマニュアルが作成されない理由を列挙してみる。

新しい仕事、業務についた結果ふと思ったのだが、紙(パソコンやタブレット等のデジタルベースでも同じことだが、以降文字数削減のため「紙」と表現する。)によるマニュアルや引き継ぎ書が作成されておらず、部署の上司や先輩に逐次質問しないといけない部署にあたる確率が非常に高いことに気が付いた。
私自身マニュアルや引き継ぎ書を作っていないことを上司に若手の頃ひどく叱責されたこともあって、担当替えや転職で仕事から外れる際にはマニュアルや引き継ぎ書を丁寧で事細かく作成することが多かったのだが、なぜか自分が担当替えで入ってきたところには紙のマニュアルや引き継ぎ書がほとんどない。そのためやむを得ず周りの人に聞くしかない。ぶっちゃけ紙に書いてもらっていさえすれば誰でもできる仕事でさえマニュアル等がない。正直腹を立てているのだが、周りの人に喧嘩をうっても仕方がないので今回は「なぜ紙のマニュアルを作成しないのか」をテーマに理由を列挙てみたいと思う。

A 作成すること自体にデメリットがある場合

①紙に書いた会社の情報が外部に漏洩するのを防ぎたいから
②業務の変更が頻繁にありマニュアルがすぐに機能しなくなるから
③ケースバイケースの対応が多くマニュアルでは対応しきれないから
④紙ベースでマニュアル化すると膨大になるから。だからといって量を減らすと新人の場合誤解してしまうから
⑤作成されたマニュアル自体に質問が来るので、結局口頭でその都度説明した方が早いから
⑥マニュアル自体が何かあった時、内部監査の対象になるから

B 作成する側にデメリットがある場合

①仕事を教えると自分の仕事を新人にとられてしまう恐れがあるから
②マニュアルは業務の統一基準でもあるため勝手に作成することは越権行為だから
③ミスが発生した際マニュアル作成者に責任転嫁されるケースがあるから

C 作成しないことが慣例化している場合

①わざわざ自分の代から作成するのに腹がたつから
②既存メンバーがベテランばかりで常識の業務になっているから
③既存メンバーが新人ばかりでマニュアルを作成する知識と経験がないから
④自分で仕事を創っていく仕事だから
⑤マニュアルがない仕事が多く一部の業務だけマニュアル化するのも面倒だから

いざこう列挙してみると、Bー①かC-①、⑤が理由のためだと悪くとらえていたが、どうやらAに該当する場合が多いようだ。ちなみに私が遭遇したなかではB-③が理由の場合がありそのことは衝撃的だった。具体的に書くと、とあるAさんが仕事のミスをした際「私はマニュアル通りに仕事をしただけで、ミスはマニュアル自体が間違っていたことに原因がある」という訴えがあり、マニュアルを作成した先輩のBさんがミスの責任を問われたというケースがあった。検証の結果訴え通りマニュアル自体間違っていたのだが、それではなぜそのマニュアルが間違っていたかというとA-②業務の変更によりマニュアルが機能しなくなっていたためであった。Aさんも既存のマニュアルの内容に疑問をもったが、マニュアルを無視できずそのまま使っていたようだ。つまりミスを防ぐためのマニュアルがミスを引き起こしたわけである。そのあとマニュアル作成者は業務命令以外では一切マニュアルを作成しなくなった。
そりゃそうだ、自分のミスならともかく、わざわざ時間をかけてマニュアルを作った結果で責任を問われたら誰もマニュアルは作らない。口頭で確認されたほうが現状にあった回答ができる。そもそも、ミスなく、漏れなくマニュアルを作り更新し続けるというのも間違いがないよう確認するため時間も神経を使う業務である。

というわけで、紙のマニュアルがないというのは上記の理由などがあてはまるのではないかと思っている。マニュアルではこなせない仕事であり、マニュアル通りにやればだれでもできる仕事ではない、とよい意味でとらえていた方が余計なストレスを抱え込むこともあるまい。私自身は仕事のとっかかりとしてのマニュアルはあった方がよいとは思っているが、叱責されたわけでもないのに先輩に対しなぜマニュアルを作成しないのか、とはいわないようにしている。

尚、安全に関してはマニュアル必須だと思うので別物である。