巧遅は拙速に如かず。急いては事を仕損じる。

仕事とメンタル不調に関する思考バイアスに自分で気づくための日記帳

雇用関係助成金の私見㉓ キャリアアップ助成金 賞与・退職金制度導入コース

過去にキャリアアップ助成金は記事にしないと書いたことがある。

その理由は【不支給要件が多数あって迂闊に手が出せない】からである。

どこかで不支給となる要件があるのではないか、と自分の解釈に自信が持てない。匿名ブログとはいっても、フェイクニュースを流すことになりかねない行為は避けたほうが無難。

ただ、ふと思いついた。

疑問が残るところは、そのように書いた記事ならば、フェイクニュースにならないのではないか?最初に断りを入れておけば良いのではないか?

それに、このブログはあくまで自分のアウトプット用。ノートに書いておけ、といわれればそれまでなのだが…まあ、そこは大目に見てほしい。

というわけで、今回は、キャリアアップ助成金の中でも私が最も解釈がよくわからないコースである【賞与・退職金制度導入コース】についての記事である。

尚、以下の記事は令和7年度に加筆修正した箇所があるため、令和6年度版と令和7年度版が混じっている。助成金は年度によって違う箇所が多いが、令和6年度はこう、令和7年度はこう、と説明すると文字数がいくらあっても足りなくなるので以下、どの年度のことかの説明は省略する。

申請する場合は公式を確認されたい。

そもそも読む資料は、ガイドブック”だけ”で良いか?

キャリアアップ助成金に限らず、疑問が残れば【支給要領】を読むのに限る。

というのも、不支給となる場合は【支給要領〇〇の規定により、不支給。】という支給要領に根拠がいるから。(尚、不支給通知書にそう書いているわけではない。不支給理由を直接職員に根拠を尋ねると、そういう答えが返ってくるからである。)

裁判での判決は、「〇〇法〇条により、懲役〇年」という。この法律が、支給要領である。

まず、助成金支給の根拠となる、法律、施行規則などの法令があり、それに基づく支給・不支給の基準が支給要領。とはいっても、支給要領は法令とはいえないのだが、あくまで支給・不支給の判断基準の根拠は支給要領。

そして、その支給要領の解釈やもっと具体的な話が、ガイドブック、Q&A、統一様式の裏面にある記載事項という理解を私はしている。

雇用保険料を原資とする以上、支給・不支給の根拠は各公務員によるいい加減な判断ではいけない、ということだろう。

「担当者ごとにいうこと違うじゃん?」というツッコミはあると思うが、まあ原則論として。

「「合理的な理由」という労働局側の判断によるところがあるではないか?」というツッコミもあると思うが、まあ原則論として。

要するに、会社側の立場として、自社が主張する根拠規定を抑えておかないと、難癖をつけて国に金銭を要求する人と同一視されかねないから、という理由である。

そして、さらにキャリアアップ助成金に関しては【趣旨に反する】場合は不支給となりうる可能性も考慮しておいたほうがいいだろう。

0101 趣旨
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者等の企業内でのキャリアアップ(職務経験や職業訓練等の能力開発機会を通じ、職業能力の向上が図られ、これによりその将来の職務上の地位や賃金をはじめとする処遇の改善が図られることをいう。以下同じ。)を支援するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成金を支給することにより、労働者の雇用の安定、処遇の改善を推進するものである。

と、前置きが長くなったが、言いたいことは次のこと。

今回の賞与・退職金制度導入コースの支給要領の記載はわずか3ページしかない。

ただ、この3ページを読んでも疑問点が多すぎるのである。

「おい、さっき支給要領がどうこうと、講釈垂れたじゃないか!」という文句に対して、何の反論もできない。だが、苦情は厚生労働省は言ってくれ。本当にわからないんだよぉ。

以下、疑問点を中心に記載する。尚、随時修正するので、改正年度が混じっている場合がある(修正時にホームページの最新版を見ているため)ので、内容の保証はできかねる。

前提:対象者は有期契約労働者等。正社員は無関係

キャリアアップ助成金で一番利用が多いのは正社員化コース。それ以外の4つのコースは、ざっくり【処遇改善支援】として一纏めにされている。

何が違うかというと、正社員化コースは有期雇用労働者等が正社員化した場合、つまり申請時点では正社員になった人が助成対象であるのに対し、【処遇改善支援】はあくまで、有期雇用労働者等が対象であり、有期雇用労働者等の処遇改善を助成する名目なので、正社員、正社員になった人は対象にはならない。

つまり、正社員用の賃金規程を作ろうが、正社員用の賞与・退職金制度を作ろうが、このコースには全く関係がない。まあ、正社員がいるのに、正社員用の賞与・退職金がなしで、有期契約労働者がある、というところがあるとは考えにくい。だが、世の中には助成金ありきで有期契約労働者しかいない会社が賞与退職金コースを申請する場合があるらしいのだよ、例えば労働者10名未満で。

怖い話だが、キャリアアップ助成金というのは、就業規則と労働条件通知書の作成能力さえあればお金が獲得できる、錬金術師のための助成金なのだよ。(著者の偏見です)

言葉の定義

言葉の定義を理解しないことには始まらない。だが、肝心の賞与、退職金の定義がよくわからないんだな、これが。

有期雇用労働者等

有期雇用労働者等は、有期雇用労働者および無期雇用労働者のことであり、この”等”は無期雇用労働者のことである。

なぜ有期・無期雇用労働者と書かないのかは知らない。また、無期雇用労働者は正規雇用労働者等”以外”のものである。さらに加えると、この有期雇用労働者には派遣法2条に規定する派遣労働者も含まれる。

では正規雇用労働者と無期雇用労働者の違いは…と、この雇用形態だけでも記事にできるほどややこしいので、説明はこのあたりでやめとく。少なくとも、自社で”正社員”と呼んでいる人達全員が、必ずしもこの助成金上の”正規雇用労働者”とイコールではない、と思ってもらえばよい。

あと、当然ではあるが雇用保険料で運営されている以上、対象者は雇用保険被保険者である。いつ時点で雇用保険被保険者になっている必要があるかは、助成金ごと、コースごとで異なっているので確認してほしい。

以下、支給要領から引用。

0212 有期雇用労働者
有期雇用労働者及び無期雇用労働者をいう。 

0203 有期雇用労働者
期間の定めのある労働契約を締結する労働者(0204の短時間労働者及び0205の派遣労働者のうち、期間の定めのある労働契約を締結する労働者を含む。)をいう。 

0206 無期雇用労働者

期間の定めのない労働契約を締結する労働者(0204の短時間労働者及び0205の派遣労働者のうち、期間の定めのない労働契約を締結する労働者を含む。)のうち、通常の労働者(0207の正規雇用労働者、0208の勤務地限定正社員、0209の職務限定正社員及び0210の短時間正社員。以下同じ。)以外の者通常の労働者に適用される労働条件が適用されていないことが確認できる者)をいう。

賞与

支給要領を引用。

0229 賞与

一般的に労働者の勤務成績に応じて定期又は臨時に支給される手当(いわゆるボーナス)をいう。

これだけでは意味がさっぱりだが、令和7年4月に令和7年度版Q&Aにて、賞与に関する追記を確認したので、引用したい。

(賞与)
支給要領に定める賞与の要件に該当する制度である場合、賞与以外の名目であったとしても支給対象となり得る場合があります
例えば、本人の業績や貢献度等によって、事務職には賞与を6か月に1回支給、営業職には歩合手当を3か月に1回支給しており、他の賃金待遇も変わりない場合、この歩合手当の計算方法が賞与制度と比較して同等の制度であると客観的に判断できる場合には、営業職についても賞与制度を備えているものと見做し、支給対象となり得ます。

………うむ、わからん。歩合給、出来高払でもいけるんじゃないか?とこの表現だと思ってしまう。

例えば、
・歩合給でも5万円以上なら賞与になるのか?
・下記④で触れたが、6か月分相当として5万円以上の支払実績があればよい?
・6か月分”相当”だから、6か月に1回、つまり年2回の支給、と読み取ればいいのか?

初っ端から躓いた。

歩合給でもいいように思える。必ずしも、6か月に1回でなくてもいいし、歩合手当という名目でも支給対象となりうるらしい。

ますます、わからん。

ちなみに、所得税計算における”賞与”、または、社会保険料計算における”賞与”とは一言も書いていない。

書いていないが、社会保険料の管轄も厚生労働省なので、書くまでもなく当然その意味です、ということの可能性もある。つまり、

このコースにおける”賞与”の定義自体が意味不明である。乱暴にいえば、毎月支払わずに、6か月で5万円以上支払って、”賞与”と定義すればOK、とも読み取れる。

なんやねん、それ。なにがしたいねん、これ。

退職金

賞与と違い、定義はもうちょっと細かい。退職金といっても、退職の際にお金を支払ったらよい、というわけではない。以下、引用。

0230 退職金

事業所を退職する労働者に対して、在職年数等に応じて支給される退職金(年金払いによるものを含む。)を積み立てるための制度であって、

積立金や掛金等(以下「積立金等」という。)の費用を全額事業主が負担することが就業規則又は労働協約に規定されており、

実際に積立金等の費用を全額事業主が負担するもの(事業主が拠出する掛金に上乗せして従業員が掛金を拠出する場合を含む。)をいう。 

上記の定義によれば、その前に、積立金や掛け金を負担しておかなければならない。そして、それを就業規則又は労働協約に規定していないといけない。労働条件通知書や労働契約書に「退職金 アリ」と規定しているだけではダメということである。

5002 ヘ ロ(ロ)の適用を受ける場合にあっては、支給決定後に積立金等が確認できる書類を提出することに同意している事業主であること。

支給要領では上記のとおり書いてあるが、申請書の添付書類の中には上記の「積立金等が確認できる書類」が含まれている。では、貸借対照表損益計算書のなかに「退職金」に関する負債や費用が計上されているか、ないかを確認するのか?といわれると、不明。外部積立なら兎も角、内部積立の場合、どう証明するのか不明。

あくまで支給決定後に、書類を提出することに同意すること、であって、申請書の添付することではない

疑問①週20時間未満の雇用保険被保険者でない人はこの全員に含めるのか、含めないのか?

そもそもその事業者の有期契約労働者全員をどうやって労働局は把握しているのだろうかとなると?やはり、雇用保険被保険者だけでよいのか?

疑問②例えば有期契約者1名しかいない会社だったら、制度導入で40万円なら儲かるからアリじゃね?と思う人。その人が辞めたらどうするのだろう?

例えば雇用保険被保険者が1名でも賞与5万円を支払えば、1回限りで元がすぐに取れる、と考えるのは早計。例えば支給申請時、支給決定時(この決定時というのがかなり厄介。支給決定がいつになるかは労働局が決めるのだからどうしようもない。)に0人になっていたら、不支給になるんじゃないかな?というのが私の考え。

0人になると不支給になる根拠は、雇用関係助成金の共通要領…。実は、キャリアアップ助成金の支給要領のこのコースの3ページだけ見ても不支給になりうるんだな、これが。

実際たまたま上記のタイミングだけ0人になった場合は…例えば、来月入社予定だった場合とかは、私にはわかりません!

疑問③支給した実績だけではなく、就業規則等に明記する必要あり。では実態と異なっていたら?

「賞与・退職金制度を導入しました、支払いました。だから助成金を申請します。」では勿論通らない。

キャリアアップ助成金のキモは、就業規則または労働協約の規定すること。

これがなおざりになっていたり、ほったらかしになったり、規定前のそれがいい加減だったりしたら、もうアウトになる。労働条件通知書も同様である。労働条件の内容は就業規則を渡せばよいという厚生労働省内の通達?があるが、キャリアアップ助成金はこの限りではないようだ。

なぜか?知らない。

では、例えば導入前の賞与・退職金の規定に支給する、という規定がある場合で、実際には有期雇用労働者には支給していなかった場合はどうなるのか?私にはわからない。

または、給与明細や労働条件通知書に書いてあるでしょう、では通用しない。あくまで就業規則または労働協約に規定していないといけない。常用10人以上の労働者がいる事業場では就業規則労働基準監督署に届出しないといけないので、届け出をしていないとアウトである。

なお、上記ではわざと給与明細と書いた。ガイドブックでは【賃金台帳”等”】と書いてあるのだから、この”等”には給与明細も該当するのではないかと思ったのだが、支給要領をみるに、この”等”は船員法における報酬支払簿をさすのだから、給与明細ではダメだと思う。以下支給要領を引用。

支給要領1007 添付書類

(チ) 対象労働者の労働基準法(昭和22年法律第49号)第108条に定める賃金台帳又は船員法第58条の2に定める報酬支払簿(以下「賃金台帳等」という。)

給与明細と賃金台帳の違い?賃金台帳は労働基準法における法定書類であり、保存義務があることからだろう。この違いの説明も脱線するし長くなるので、省略する。

疑問④既に一部のパート労働者に”寸志”という名目で支払っている場合は?

ガイドブックより引用する。

・既に一部の有期雇用労働者等に賞与を支給している(就業規則上も制度の規定あり)が、一部の有期雇用労働者等ではなく、すべての有期雇用労働者等に対して一律支給すると就業規則を変更した場合は、「対象を拡大した」と解され、賞与制度を「新たに設けた」とはいえず、支給対象外なります

・他方、就業規則等に規定がなく、慣例的に支給していた賞与制度を就業規則等において規定した場合は支給対象なり得ます。(退職金制度も同じ。)

・対象労働者に該当する場合、定年の適用を受けない有期雇用労働者については、原則として、年齢にかかわらず、退職金制度を適用している必要があります(ごく短期間の雇用契約である場合を除く。定年の適用を受ける無期雇用労働者については、当該雇用区分における定年年齢まで。)。

賞与に関しては、有期契約労働者の一部にでも支払っていたことがあったらダメ、というわけではなく、就業規則に規定したうえで一部でも支払っていたらダメということである。

就業規則がとても重要。

では、

この場合、就業規則に書いてなかった方が有利。では「”寸志”を支給する場合がある」という規定があった場合は?

退職金に関しては、有期雇用労働者は大抵定年がないので、雇っている限り退職金制度の適用を受ける。定年を超えて5年超の有期雇用契約で無期転換した場合は?

という疑問が今でも私の中では解消できていない。

疑問⑤いくら払えばいいか、いくら積み立てればよいか?

これも支給要領から引用

5002 支給対象事業主
次のイからヘまでの区分に応じ、それぞれ当該区分に掲げる事項のいずれにも該当する事業主であること。

就業規則又は労働協約の定めるところにより、その雇用する全ての有期雇用労働者等に関して、賞与若しくは退職金制度又はその両方を新たに設けた事業主であること。

ロ 賞与若しくは退職金制度又はその両方に基づき、対象労働者1人につき次に掲げる(イ)若しくは(ロ)又はその両方に該当する事業主であること。

(イ) 賞与については、6か月分相当として50,000円以上支給した事業主

(ロ) 退職金については、1か月分相当として3,000円以上を6か月分
又は6か月分相当として18,000円以上積立てした事業主

ハ 賞与若しくは退職金制度又はその両方を全ての有期雇用労働者等に適用させた事業主であること。

ニ 賞与若しくは退職金制度又はその両方を、初回の賞与の支給又は退職金の積立て後6か月以上運用している事業主であること。

金額が明記されている。そして「支給した」「積み立てした」という過去形である。これから支払う”予定”ではダメ、ということだろう。

退職金については、たしか中退共のパートの積み立て金が月2000円以上だから、最低基準はこれぐらいかもしれない。

では、退職金として前月の基本給の1か月分支払う、とし、そのように規定した場合、助成対象となるか?多分、積立額とか実際の支給額が上記の具体的金額未満になったらダメだと思うし、実際積み立てていなかったらダメだろう。(例えば上記の例でいくと基本給1か月分が退職金ならば時給1000円×(週40時間勤務)173時間=17万円ぐらいは積み立てていなくても、現預金の残高で即支払える金額だが、支給要領を見るに、積み立てておかないといけないようだから。)

疑問⑥申請できるのは1事業所あたり1回かぎり。では事業所を新設したら?

当然だが、賞与退職金制度”導入”コースなのであって、賞与退職金制度運用コースではないので1回限りになろう。

この事業所というのは雇用保険適用事業所を指す。だったら、適用事業所が増えた場合は?

退職金といっても対象とならないのは、事業主向けQ&Aで、iDeCo+は対象外と書いてあるので、それ以外の制度ならば対象となると思われる。iDeCo自体が労働者自身が積み立てる制度なので、それに会社が上乗せしてもダメということだろう。

ではいわゆる”生涯設計手当”を導入して、基本給として受け取る場合と年金扱いにする場合、年金に充てて基本給が下がったら対象になるのか?以下、支給要領を引用。

支給要領5002 支給対象事業主

ホ  賞与若しくは退職金制度又はその両方の適用を受ける全ての有期雇用労働者等について、初回の賞与の支給又は退職金の積立て前と比べて基本給及び定額で支給されている諸手当を減額していない事業主であること。

他のコースだと、「合理的な理由」がなく、という言葉がついているが、このコースについてはその「合理的な理由」という言葉がない。となると、基本給が下がってしまったらどんな理由があろうともアウトになる可能性があるが、生涯設計手当の場合は退職金制度として認められるというQ&Aの規定もあり、私には正解がわからない。

私見①賞与、退職金、両方、どれがいい?

私は断然、賞与だけ。退職金制度は助成金のあるなし関係なく、導入するつもりであった事業所以外は避けたほうが無難だと私は思っている。理由は以下のとおり。

・賞与は、業績不振により、将来無しになってもよいから。「賞与引当金」という昔あったものの必要性もなく、退職金に比べれば経理上の対処が簡単。退職金と違い、事務的な難易度が違う。

・退職金は、業績不振のため積立しないというのは、労働条件の不利益変更に該当するため、原則許されない。また、有期契約老労働者全員分を永続的に積み立てる必要性から事務負担、経理負担がかなり増す。また、退職金制度と一言にいっても、数数えきれない制度があるため、どれを選ぶかも必要。当然選ぶということは、その違いを理解することも必要。

経理処理、税務関連もそれにあわせないといけない。正社員用の退職金制度を”新たに”作るのでもかなりキツイ大仕事なのに、本当に有期契約労働者等のためにしますか?という話。

尚、賞与は1人当たり5万円以上支払った後に申請。(業績不振で賞与なしになったという例外の場合、申請できるかどうかは別途確認されたい。)しかも有期労働者等全員。(但し対象者6か月以上という制限を設けることなど例外アリ)。

助成金が賞与、退職金制度のどちらか一方の制度導入で、中小企業の場合は、1事業所あたり1回限りで40万円(固定。1人あたり40万円ではないので注意。)なので、有期雇用労働者等が8人超えたらマイナスになる助成金助成金は利益を上げる、というものではないが、このコースは助成金目当て、という考えならやめたほうがいい。

例えば週20時間勤務(時給1000円×20×52÷12=月収86,667円)とかの有期雇用も対象になるかと思うと、手間暇と今後の不利益変更不可という縛りを考えれば、導入するほどメリットのある助成金とは私は思わないのだが…。勿論、会社の状況にもよるので、絶対やめとけ、という気はない。

念のためにいっておくが、有期雇用労働者に退職金を支給しない方がいい、といっているわけではない。

それよりも正社員(限定正社員もアリ)になってもらうか、”功労金”という形で各労働者が退職する際に、個別判断で差をつけた金額で支給した方が良いと私は思う。この場合、当然助成金は貰えないが、1事業所1回限りの、支給されるかどうかの保証もされない助成金のために、将来を縛る固定化した制度を導入するのとどっちがいいかという話。

私見②賞与・退職金制度を両方導入したら、正社員化コースが不支給なのか?

上記の意見をYouTubeで耳にした。これの根拠となる規定を私は見つけられていないので、正しいのか間違いなのかは今のところわからないが、今のキャリアアップ助成金の正社員化コースは、正社員と有期労働者等との間で、「賃金制度や計算方法が就業規則等で違い」があることが明白でないとダメ。その違いは「賞与・退職金・基本給・通勤手当以外の手当」のどれか。基本給と手当で違いを付けるのは、同一労働同一賃金の問題や昨今の最低賃金の大幅増加の対応から難しい所があるので、賞与か退職金の方が差をつけやすいのは確か。

ちなみに、正社員化コースを”今”始めるならば1人あたり80万円以上(令和6年度の場合)の助成金の受給も可能。1人でこのコースの倍の金額…。どちらを優先すべきかは金額上明白で、賞与・退職金制度を両方導入するより1人正社員に転換させた方がよい、という話になる。

では本当に不支給になるかというと、私はその意見には疑いを持っている。勿論非正規に退職金を支給しない、というルールのほうが理解しやすいが、例えば退職金ならその支給の計算方法で差がついていることを就業規則等で明記すれば対応可能であると思っている。この考え方は、とある社労士から確認したものだが、勝手な引用はできないので、根拠を求める人は探してみてほしい。ちなみにYouTubeの投稿ではない。

尚、当然だが、支給不支給を決めるのは、各都道府県の労働局長である。

YouTubeの短い投稿やこの匿名ブログを見て、自社にとっての重要な判断をする人、支給不支給の判断をする人は殆どいないと思うが、一応念のため補足しておく。

最後に

以上である。これはあくまで賞与退職金制度導入コースのみの記事である。コース共通のキャリアアップ計画届などは省略した。その理由は…もう9000字を超えたからである。