けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

明日上司に報告できる雇用調整助成金情報 12月版(12/4) 

今回は、1か月前に記事にした明日出社して上司にどうなんだ?と聞かれた時の回答用の確定版。あっているかどうかの保証はできませんので、ご参考までに。尚、1か月前の予定の時と変化があった個所は、赤字で下線を引いています。

 

kesera22.hatenablog.com

 

Q おい、ワールドカップで金曜日に聞くのすっかり忘れていたが、以前聞いた12月以降の雇用調整助成金、確定版がでたらしいな。どうだった?
A (そのまま忘れておけばいいのに…。)はい、11月2日発表の予定どおりです。12月から助成率は通常制度に戻ります。そして、特に業況が厳しい会社には来年1月末まで経過処置が設けられています。

Q 具体的な計算は?
A これも予定通りです。中小企業、簡易版用紙の場合、これまでは、休業手当の合計額×助成率80%(解雇なし90%)、上限(8355円×休業延日数)でしたが、12月から休業手当の合計額×2/3、上限は同じに変わりました。解雇がない場合や、雇用人数を維持した場合の助成率の上乗せはなしです。

Q 特に業況が厳しいところとは? 
A 売上などが3か月平均で30%減のところは、来年1月末まで経過処置があります。ただ、11月までの業況特例と似ていますが、助成率と上限が変わっており、上限が9000円に下がり、助成率は解雇なしの場合は中小企業の場合90%ですが、解雇等がなければ、中小企業の助成率は通常と同じ2/3になってます。あと、雇用維持要件のひとつ、4/5以上の人数の確保はなくなっているようです。

Q 2/3って66%?、67%?66.6666…%?
A 小規模専用用紙を見ると、66.6666..%のようです。〇×2/3で、1円未満の小数点は切り上げるという計算式です。仮に休業手当総額が1,000,000円だとすると、助成額は666,667円です。(上限計算が別途あり。)通常版の用紙の場合だと、基準賃金額*1*2×2/3×休業延日数になっていますね。

Q ほかに発表されたのは?
A 申請用紙の簡易版は、来年3月末まで継続されるようです。ただ、12月以降にはじめて雇用調整助成金を利用する場合は、簡易版はなく、通常版の用紙で申請するそうです。簡単にいうと、コロナによる休業ということで、11月30日分までについて一度でも申請したことがある場合は「経過措置」扱いに、12月1日以降初めて申請する予定の場合は、「一部の特例」がありますが、それ以外は「通常」に戻るという形です。内容がガラッとかわるようですので、分けて考えたほうがよさそうですね。

Q 給料の計算が月をまたぐような場合、(例:11月21日から12月20日分)はどうなる?11月と12月でわけるのか?11月、12月どちらかの助成率でまとめて計算するのか?
A 11月扱いです。11月と12月で分ける必要はないようです。具体的には判定基礎期間の初日が12月1日以降から適用ですので、例えば11月21日から12月20日までの期間は、11月30日までの規定が適用されます。

 

Q …来年4月以降は、どうなるのか?
A 来年4月以降は未定のようです。これまでも数か月単位での発表でしたし、来年になってから発表されるのではないですかね?

※補足 経過措置と12月以降新規で全く回答が異なりますので、ここから、経過措置と新規で質問をわけます。

①経過措置用

Q 売上比較を再確認するとは? 
A 一年以上、助成金を受給しているところは、生産量(売上)を再確認するようです。少なくとも、コロナ下前の水準より”10%”下がっていなければ、助成対象外かと。初日がある月で比較するのが原則のようですが、例外もあるようです。

Q ほかの特例の要件緩和・撤廃はどうなる?
A 経過措置の間は、先ほどの売上比較以外は、助成率、上限以外はこれまでの特例と変わらないですね。あと、支給限度日数が復活するようです。

Q 支給限度日数の復活とは?
A 12月1日以降の申請から、支給日数をカウントするようです。小規模用の用紙に日数計算の式が加わったようです。参考値らしく、あと、小規模用紙の裏面をみると、残日数は後から送られてくる通知書に記載されると書いてあります。ただ、1年100日ですので、12月から令和4年3月末までの4か月で、平日の日数を考えると100日使いきるのはよほどのことがない限り心配ないかと。

Q じゃあ、なんで復活したんだ?
A 理由がわからないのですが、復活させた以上、なんらかの意図はあるのでしょう。週1日休で全休の事業所用の対策でしょうか?あと、行政側の都合なのかもしれません。来年4月以降に影響がでる可能性があるかもしれませんし、ここはもうちょっと調べてみる必要がありそうです。

Q 緊急雇用安定助成金はどうなる?
A 雇用調整助成金とほとんど同じのようですね。

②12月1日以降にコロナを理由とした休業で初めて申請する場合

Q 通常版とは?
A もともとあった雇用調整助成金に戻るということかと。HPにガイドブックが掲載されていました。(今度はリンクが見つけやすくなったな…。)11月30日付で更新されたようです。コロナ特例であったものは、ガイドブックに「経過措置期間」とかいてあります。見たところ、今回の12月1日~3月31日迄のことは赤字で書いているようですね。あと、計算式が入っている用紙はWordじゃなくて、Excelに変わっているようです。

Q ほかの特例の要件緩和・撤廃はどうなる?
A 計画届不要、残業相殺停止、一斉以外の短時間休業の緩和。以上3点です。これら以外の緩和措置はありません

Q 緊急雇用安定助成金はどうなる?
A 令和3年12月1日~令和4年3月31日用にガイドブックが用意されました。雇用調整助成金と違うところは、雇用量要件がないところと、新型コロナウイルスが原因でない休業は雇用調整助成金と違い、対象外となるところです。*3他は、雇用調整助成金の通常とそう変わらないようです。そのため、雇用された期間が6か月未満の労働者は対象外*4になるようですね。

*1:令和3年度労働保険確定保険料申告書の賃金総額÷令和3年度の1か月平均の被保険者数÷令和3年度の年間所定労働日数=平均賃金

*2:平均賃金×休業協定書に定める休業手当支払率(60%~100%)=基準賃金額

*3:雇用調整助成金の場合は完全な通常版で対応が可能

*4:雇用調整助成金の場合は雇用保険被保険者期間が6か月未満

雇用調整助成金 12月以降の確定版を見て思うこと

前回までの記事にて、雇用調整助成金の令和4年12月以降の変更内容をまとめてきた。(下書きが後ろにいってしまったけども)
ただ、確定した内容については、厚生労働省か顧問の社会保険労務士に質問された方が素人ブログより確実。私が書きたいのは私見であって、これまでの情報はいわば私見を述べるための前提、前置きともいえる。
尚、これから以下の記事は、私見のみで、情報もエビデンスが一切ない話。
なので、情報を求めている方はバックを推奨。

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雇用調整助成金 令和4年12月~令和5年3月末について。(12/3)

雇用調整助成金は令和4年12月1日から予定通り色々なパターンにわかれました。前回の記事で書いたのですが、そのまま書き連ねたものを読み返すと非常にわかりづらい。そこで今回は、枝分けしてそれぞれ短い文章でまとめてみることにしました。

前提

まず、判定基礎期間(給料の計算期間)の初日が11月中にある場合はこれまで通り。
具体例と挙げると、11月21日~12月20日締末日払の1か月分の休業についてはこれまで通りで、次の12月21日~1月20日分から変わるということになります。要するに〇月から変更、という表現は、給料計算期間が月をまたぐ事業所は給料計算期間の最初の日がある月で考えるということになります。暦月でわざわざ分ける必要はありません。(3月31日の年度末に関しては除きます。制度変更があるかもしれませんので、ご注意下さい。)

12月1日以降に初日がある判定基礎期間から、以下のとおり対応がわかれます。

まず「特例事業主」とそうでない「新規」の事業主にわかれます。
「特例事業主」とは「令和2年1月24日から令和4年11月30日までの間に対象期間の初日がある、新型コロナウイルス感染症が原因で事業が縮小した事業所」です。
「新規」の会社はこれとは逆。つまり「令和2年1月24日から令和4年11月30日の間に対象期間の初日がない事業所」です。
もっと簡単に言い換えると、これまで”コロナ特例”の雇用調整助成金の申請をしたことが”ある”事業所は「特例事業主」で、”申請したことが”ない”事業所は「新規」です。
そして特例事業主は、1月末までは”特に業況が厳しい”事業主か、そうでないかでわかれます。”特に業況が厳しい事業所は、簡単にいうと直近3か月平均で売上等が同月比30%以上減少している事業所です。尚、判定基礎期間の初日が2月1日以降の分から、”特に業況が厳しい事業主”の特例はなくなりますので、わずか2か月の時限措置です。

新規の場合は、休業の理由が新型コロナウイルス感染症の影響なのか、そうでないかでわかれます。

コロナ特例の申請をしたことがある事業所で、”特に業況が厳しい事業所”に該当しない事業所

①助成率

大企業の場合1/2、中小企業の場合2/3になります。解雇等がない場合の上乗せ助成率はありません。尚1日の上限は、10月1日から通常通りの8,355円に戻っております。

②生産指標の再確認

12月1日の初日以降の最初の判定基礎期間の際に、すでに初回の申請から1年以上経過している事業所、つまり通常の対象期間である1年を超えた場合は、一度生産指標の確認が入ります。比較月は、初日がある月、令和4年12月と、3年前までの同じ月で比較して10%以上減少しているかどうか。(比較月については細かい規定があるので、確認してください)。*1わかりやすくいうと、今でもコロナ禍以前より売上等が10%以上減少していることが要件として加わりました。対象期間が通常の1年から延長を繰り返し、最大3年にもなっていることの対処だと思われます。
ここはややこしいので、以下の別記事にまとめました。

kesera22.hatenablog.com

 

③支給限度日数の復活

これまでは、支給限度日数のカウントは特例でしないことになっていましたが、12月1日以降は復活です。12月1日から来年3月31日までの間で100日です。様式もその日数がわかるよう表示が増えていますね。(あくまで参考値扱いのようですが)3年150日に関しては、経過措置期間中はカウントしないようですね。詳しくは、脚注の支給要領でご確認下さい。*2*3*4

④それ以外

ほとんど、現状の特例のままのようです。様式も要件も同じのようです。

⑤所感

11月2日発表の予定どおりかと。ただし、生産指標の再確認は気をつけないといけません。11月や12月の売上が、これまでの反動でコロナ前よりも多い売上を達成した場合は対象外になってしまいます。あと、支給限度日数が復活しましたが、その理由は不明。なんらかの意図があるから復活させた、と邪推していますが…。

コロナ特例の申請をしたことがある事業所で、”特に業況が厳しい事業所”に該当する事業所

①要件 

3か月平均で30%以上の減少です。この基準は、”業況特例”と同じの模様。令和4年12月と令和5年1月に判定基礎期間の初日がある2か月間のことです。減少しているかどうかは、2回だけのことですが、2回とも確認です。

②助成率 

解雇等がない場合は、大企業は2/3、中小企業は9/10です。業況特例の場合は、中小企業は100%助成でしたが、90%に下がりました。尚、上乗せ要件は、解雇等があるかどうかのみで、もうひとつの雇用維持の要件*5はなくなった模様です。但し、解雇等があった場合の助成率は通常と同じになります。つまり、大企業は1/2、中小企業は2/3です。

③上限額 

1日9000円です。これも、業況特例の10月からの1日12000円から下がりました。

④それ以外 

1と同様、これまでの業況特例と変わりがない模様。

⑤所感

業況特例とどれだけ変えているのかと思っていましたが、上記以外では特に違いが見当たりません。分化会の資料で言及されていた”回復が遅れている事業所”に配慮した感じがします。

 

今まで新型コロナウイルスを理由に雇用調整助成金を申請したことがなく、令和4年12月1日以降に初めて新型コロナウイルスを理由に雇用調整助成金を申請する事業所

①要件 

前段で書いたとおり、令和2年1月24日から令和4年11月30日の間に申請をしたことはないが、12月1日以降にコロナの影響で休業を余儀なくされた事業所です。

②特例 

計画届不要、残業相殺不要、短時間休業の一斉取得の緩和の3つ。以上。殆ど通常版に近いですが、この3つが通常版とは違います。

③それ以外 

②の特例以外は、すべて原則通りです。つまり、簡易版の様式も助成金額の計算方法も、オンラインでの教育訓練も、もともの対象外であった事業所が申請できる特例も、すべてなくなりました。対象労働者は雇用保険被保険者期間6か月以上必要になるので、全労働者でなく、雇用保険にその事業所で加入したばかりの人は対象外とかあります。別記事で特例を列挙しましたが、助成率以外の金銭面以外の特例も結構ありますので、これまで申請してきた用のガイドブック(緊急対応期間、経過措置期間と表紙に書いてあるもの)をみて申請すると高確率で間違えると思います。通常版のガイドブックはHP内のリンク「雇用調整助成金の紹介ページ」をクリックしたページにあります。

④所感

正直、これまでの約3年コロナ休業を申請していなかった事業所で、12月1日以降に”新規”でコロナを理由に休業する事業所がどれだけあるのだろうかと思っています。想像するに、濃厚接触者関連や、従業員の感染者が多数発生したことによる事業所の臨時休業ぐらいでしょうか?ただし、この理由だと生産比較、雇用量比較で対象外になる可能性があります。なんせ新規の場合は、売上等が前年比較。前年に最悪の売上をたたき出した事業所は対象外となってしまう。簡易版の申請もできませんが、ここに該当する事業所は、コロナ特例とこれまで縁がなかった事業所なのでそれほど影響がないでしょう。もし影響があるとしたら、代行している社会保険労務士、複数の事業所を管理している人事担当ぐらいかなと。ただ、計画届と残業相殺不要により、事務作業が煩雑な労働者ごとの1日ごとの休業等の一覧表が省略されたのは大きい。事務手続上は通常版よりは緩和されると思います。また、緊急雇用安定助成金もコロナが理由だと申請できます。ただし、その事業所に6か月以上働いたことがわかる労働者限定。これは雇調金と歩調を合わしてきたものでしょう。
例えばの話、コロナの濃厚接触者として休業した労働者が2人いて、1人は6か月以上そこで働いていて、もう1人は6か月未満の場合、6か月以上の人にしか休業手当の助成がでないというのはなかなかえぐい話と思います…。

今まで新型コロナウイルスを理由に雇用調整助成金を申請したことがなく、令和4年12月1日以降に、新型コロナウイルス以外の理由で雇用調整助成金を申請する事業所

完全な通常版での申請です。簡易版ではありません。つまり計画届もいります。残業相殺もあります。短時間休業の緩和もありません。また、緊急雇用安定助成金はコロナ以外の理由の場合は申請できませんので、緊急雇用安定助成金は受給できません。分類したはいいものの、今これにあてはまる事業所がどれくらいあるのかは、私にはちょっとわかりません。

*1:支給要領1114aイ(ハ)によると …
①生産量要件「10%以上減少」の比較については、原則、基準判定基礎期間の初日が属する月の実績と、前年同月との比較により行うものとする。
②生産指標について前年同期と比較することが適当ではないと認められる場合は、「基準判定基礎期間の初日が属する月(以下 「判定月」という。)、又は判定月の前月、若しくは判定月の前々月のいずれかの月の値が、令和元年から令和4年までのいずれかの年の同期1か月分との比較による。
③ただし、比較に用いる月に売上がないなど、これにより難い場合は「判定月」又は判定月の前月若しくは判定月の前々月のいずれかの月の値が、事業の開始期または、立ち上げ期等によりその他の月(ただし、判定月の前月から直近 1 年間の指標とする。)を用いることが適切だと認められる1か月(ただし、比較する月は、雇用保険適用事業所設置後であって労働者を雇用している月に限る。)

*2:支給要領1114aハ 支給限度日数の特例によると…
経過措置期間中、特例事業主が実施した休業等の日数には、0403a のただし書きの規定を適用しない。経過措置期間中、特例事業主が実施する 1114a の休業等に係る支給限度日数の確認に対する 0809aイの適用については、0809a イ(ロ)中「当該対象期間の初日から起算して過去3年以内に開始された対象期間内の支給日数の合計を 150 日から差し引いた残りの日数(100日を超える場合にあっては 100 日)」とあるのは、「100 日に令和2年1月 24 日から令和4年 11 月 30 日までの期間中に判定基礎期間の初日がある休業等(当該休業等について助成金が支給されるものに限る。)の実施日数を加えた日数」とする。

*3:支給要領0403aイ 休業等に係る助成金は、各事業所ごとに、それぞれの対象期間内において、助成金の支給の対象となった判定基礎期間における助成金の対象となる休業等の延日数を当該事業所の当該判定基礎期間に含まれる暦月の末日における対象労働者数で除して得た日数の累積日数が100日に達するまで支給するものとする。
ただし0301aイ(イ)の一般事業主であって、過去に助成金の支給を受けたことがある事業主(現に支給を受けようとする当該助成金に係る対象期間の初日から起算して過去3年以内に対象期間が開始され、その支給日数が本文の規定に基づき算定された助成金(以下「基準助成金」という。)の支給の対象となる休業等を実施した事業主をいう。)については、その現に受けようとする助成金の支給日数の上限は、本文の規定にかかわらず、150日から、基準助成金の対象期間の初日以降の支給日数の合計を減じた日数(100日を超える場合にあっては、100日)に達するまでとするものとする

*4:0809a 支給限度日数の確認
イ 0403aイの支給限度日数の取り扱いは、次の(イ)から(ハ)のとおりとする。(0403a イ関係)
(イ) 1判定基礎期間において、助成金の対象となる休業等の延日数を当該判定基礎期間に含まれる暦月の末日における対象労働者数で除して得た数(小数点第2位以下切捨て)を支給日数とする。
(ロ) 対象期間内の1判定基礎期間において、当該対象期間の初日から起算して過去3年以内に開始された対象期間内の支給日数の合計を150日から差し引いた残りの日数(100日を超える場合にあっては、100日)から、当該対象期間内の当該判定基礎期間の末日までの支給日数の合計を差し引いた日数を残日数とする。
(ハ) 1判定基礎期間において、(イ)及び(ロ)の方法により算定した残日数が負となる場合は、当該判定基礎期間の支給日数を差し引く前の残日数に当該判定基礎期間に含まれる暦月の末日における対象労働者数を乗じて得た日数分(端数がある場合は端数切り捨て)を支給するとともに、当該判定基礎期間が含まれる対象期間において以後の助成金は支給しない。

*5:判定基礎期間の末日において、特例事業主に雇用されている労働者(雇用保険未加入者を含む)及び派遣労働者として当該事業主の事業所に役務の提供を行っている者(以下「事業所労働者」という。)の数が、令和2年1月 24 日(ただし支給要領1108aハのなお書き、1108aハ(ハ)又は(ニ)に該当する場合は令和3年1月8日)から判定基礎期間の末日まで(以下、「比較期間」という。)の各月末の事業所労働者数の平均の5分の4以上であること。ただし、業界特有の理由等により、例年特定の季節において事業所労働者の数の増減がやむえない事情等である場合には、要件を満たすものとすることができる。

雇用調整助成金が「経過措置期間」に移行するそうです。 雑記(12/1)

厚生労働省のホームページを見ました。そうか~偽サイトがあるのか~。
ここは、偽サイトじゃなくて、単なる素人匿名ブログ(日記)ですよ。でも、偽サイトのリンクを貼ったら大変なので、今後は、やめとくことにします。

さて、12月1日に厚生労働省のホームページにて、令和4年12月1日以降の雇用調整助成金について、更新されているのを確認しました。
リーフレット自体は日付が11月30日に変わり、「予定」がとれただけのようですが、ガイドブックや支給要領はだいぶ様変わりしたようです。
これまで申請してきて対象期間が1年以上の事業所は、令和5年3月31日まで延長されたようですが、これまでの「緊急対応期間」は令和4年11月30日にて終了し、12月1日から来年3月末までは「経過措置期間」(要領1114a)に移行した模様です。
ざっとみましたが、支給要領1114aの内容自体は、これまでのコロナ特例を1つに再構成した感じです。リーフレット通り、助成率、上限、支給日数が原則の数値に戻ったようですが、それ以外は変化はあまり見られない模様。後、生産量の再度の比較もリーフレット通り追加。これは令和1年から令和3年と12月以降(要領を見るに11月、10月でもOKかな?)の初回との同月比10%減が原則の模様。でも、例えば1月比較になった場合、令和1年1月は存在しないけれども、どうなるんだろう?
後、特に業況が厳しい事業所は別扱いですが、これまでの上乗せ規定の雇用維持の2つのルールのうち、令和3年1月末からの各末日の労働者の平均の4/5以上の雇用量を維持する要件、というのははなくなった模様です。解雇”等”のみです。シンプルでわかりやすい。まあ、この法律用語の”等”が、一般人にとっては厄介なんですけどね…。

また、12月1日以降に初回の申請をする事業所は、支給要領1115aで規定。見たところ、11月2日に発表されていた、計画届不要、残業相殺停止、一斉短時間休業の3つ以外の特例の記載はない模様。おそらくすべて通常版に戻るのではないかと。
緊急雇用安定助成金の新規の場合のマニュアルも新設。雇用期間が6か月未満の人は対象外に。対象外の事業所も登場。これらは、雇用調整助成金の通常の規定と歩調をあわせたのかな?なんか、12月以降の新規の事業所はもう、ほとんど通常の雇用調整助成金に戻りましたなあ。

ガイドブックについては、通常版も含めてこれまでとかなり変わった模様。緑字と赤字で、かなりカラフル。これは、印刷するときカラーにしないと、区別つかないな…。

さらに、前回の記事で11月30日に分科会が開催されたようですが、11月30日に資料等もホームページにUP。雇用調整助成金以外の助成金の話も掲載されていましたね。補正予算も成立し、助成金については今後は、休業から、出向・労働移動・リスキニングに軸足を変えていき、政府として対応すべき相手は、コロナより物価高、ということですかね。

雇用調整助成金 労働政策審議会のリンク貼っておきます。

雇用調整助成金を含めた色々な政策について、11月30日(水)夜に審議会が開催されます。
そして、11月30日か、12月1日頃には、ここの”資料”がUPされ、雇用調整助成金のHPが更新されるかと思われます。参考までに。

www.mhlw.go.jp

緊急雇用安定助成金 雇用調整助成金との違い (11/23)

緊急雇用安定助成金も12月1日から雇用調整助成金同様、助成率・上限額が変更になる予定だそうで。(11/2のリーフレットより)
そういえば、雇用調整助成金(以下、雇調金)については長々と書いていましたけれども、緊急雇用安定助成金(以下、緊安金)については書いていなかったなあ、と今日気づきました。この助成金の2つ、仕組み的にはほとんど同じなのであえて緊安金だけを取り上げているホームページも殆どないでしょうが、対象者が雇用保険被保険者かどうかだけの違いではないことは確か。そこで今回は、緊安金の支給要領から雇調金と違っている規定を書いてみることにしました。

1/16追記 12月末 緊急雇用安定助成金が令和5年3月末で終了予定と厚生労働省のHPで発表されております。 

前段

 雇用調整助成金は、雇用保険法雇用保険法施行規則の規定に基づいていますが、緊安金は職発0310第2号に基づきます。ちなみに「職発0310第2号」*1で検索しても検索の上位にはでてきませんでしたので、この通達の中身は不明。

休業の中身 支給要領0101

 緊急雇用安定助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業を限定としています。雇調金はそもそもコロナの影響による休業に限定されていませんので、コロナの特例が終われば通常に戻るということになりそうですが、緊安金はコロナ対応が終われば終了*2。ちなみに緊安金は税金からでています。保険料を払っていない人が対象ですので雇用保険料からではありません。

対象事業主 支給要領0301

雇調金の場合は雇用保険適用事業所であることが必要ですが、緊安金の場合は雇用保険適用事業所でない場合もありうるので、労災の事業所も追加しています。労災加入の事業所=労働者がいる、ということだからでしょう。あと個人経営の農業の場合も規定があります。また、緊安金は生産指標の比較はありますが、雇用量要件の規定がありません。週20時間未満の労働者の数が増加するというのは、事業拡大というのではなく色々なパターンがありそうだからでしょうか。

対象労働者 支給要領0303

 わかりやすいくいうと、原則、雇調金は雇用保険被保険者が対象で、緊安金は雇用保険被保険者以外の労働者が対象。尚、支給要領0303で対象外の人について細かく規定されています。日雇労働者や、退職・解雇予定の人が除外されるのは雇調金と同じですが、雇調金より対象外の規定が多いです。しかも、改正を重ねて対象外の人が増えています。対象外の規定は以下の通り。多分ここが一番ややこしいのではないかと。

イ雇用関係の確認ができない者

請負とか業務委託とか役員とか労働者でない人のことを言っているのでしょうが、表現上雇用関係が「ない者」ではありません「確認ができない者」です。労働者であることがわからない人は対象外と読み取れます。推測ですが「確認できない」というのは、労働者ということは労働基準法等で作成が義務付けられている書類はあるよね?ということかと。ちなみに、雇調金にはこの規定はありません。雇用保険加入時に労働者であることを確認しているということかと。(代わりに、被保険者期間6か月未満という規定があります。)

ロ法人の取締役等

 従業員から取締役になる時に雇用保険被保険者から外れます。(例外あり)
雇用関係でなく委任関係になるためです。では、雇用保険被保険者でない役員が休業した場合は緊安金の対象…とはならないです。なぜなら労働者でないので。この規定は役員は対象外だと念押ししているのかと思います。尚、雇用保険に加入できる役員もいますがその場合は雇調金の対象になりうるでしょう。あと、FAQを見るに個人事業主の同居親族とかも原則対象外です。なぜなら労働者ではないので(繰り返し)。雇調金も緊安金も、労働者の休業に関する助成金です。

ハ二ホ 省略(雇調金と同様であるため)
へト役員が、関係する他社で雇用された場合

この規定は雇用調整助成金と同じような規定ではありますが、コロナ前にはなかったと思われる要件ですので解説。(私、令和2年春ごろの支給要領がパソコンに保存しているんです。)
要領の文章は長いですが要はロの補足として、対象外である役員を別のグループ会社で労働者として雇用して(へ)、または、2つの会社でお互いに役員を交換しあって、交換先の会社で”労働者”として雇用して(ト)、緊安金(雇調金も同様)を受け取ろうとする場合は対象外となるという規定です。この規定は当初はなかったはずなので、この方法を使っていたところで問題でもあったんでしょうねえ。会社の役員が別の会社で雇用されていること自体は違法でないと思いますが、勝手知ったるグループ会社や知り合いの会社間で調整したうえでの雇用関係を作るのは対象外とするということでしょう。尚、この規定に出てくる業務取扱要領20351(1)を検索すると、どうやら労働者性があるかどうか判断する基準のようです。労働者であるかどうかは、この労働者性があるかないかと置き換えても過言ではないかと。

助成金の計算方法 支給要領0402

計算方法は、原則と小規模の特例。特例は雇調金と同じ。原則は、雇調金と違い、結論としての助成金総額は、特例でもかわらないであろうこと。(全事業所の計算をしたわけでないので、一致しない場合はあるかもしれません)。支払われた休業手当総額が計算のベースであること。労働保険申告書の労災のところの数値を使うのは適切とはいえないからでしょうか。要するに、労働保険申告書ベースの1日当たり平均賃金は正社員の賃金に近く、パートの職員と比べて高い。労働保険料申告書ベースで助成金を支払うと、パートの賃金を超えた金額になりうるでしょう。この差額が会社の懐に入るとなると、どんどん休業してしまう、ということに。

確認書類 支給要領0304

雇調金と微妙に違います。例えば、労働者本人の氏名/年齢/住所が確認できる書類が規定にあります。雇調金の場合、雇用保険被保険者の人は雇用保険被保険者番号があり、加入/喪失手続きが義務付けられており、おそらくデータ管理をされているため一人につき一つの事業所でしか加入できないはず(原則)ですが、緊安金の場合は、雇調金のように申請書に番号を記入する欄がありません。よって、その労働者が実在するかどうか確認するためでしょうね。マイナンバーは使わない、もしくは使えない?

賃金の確認 支給要領0805

最後の2行*3が特殊。雇調金と違います。前半は、助成金の申請により休業と就業の1週間の所定労働時間がわかるので、雇用保険の加入要件である週20時間以上の労働日(休業する時間)がある場合は、そもそも緊安金で申請する以前に、雇用保険の加入手続きをするものだということかと。(学生等例外除く)後半は労働関係法令違反についてですが、これは最低賃金法違反とかが入るのだと私は思ってます。他もあるかもしれませんが、事案処理という言葉がおっかないのであまり触れないでおこうと思います。

特例

緊安金自体が特例みたいなものなのに、さらに特例があるのがコロナ対応の予測できなさを物語っている気がします。特例自体は雇調金と変わらないので省略。尚、最低賃金に関しての休業規模要件の特例も令和4年3月31日で終了しているようなのでこれも省略。

まとめ

ややこしいのは対象労働者が誰かと、シフト制の場合の休業日、休業時間の指定でしょうか。知り合いに、労災保険に加入している者は全員”緊安金”の対象労働者だという主張をする人がいましたが、どこを読んでもそのような規定は見つかりません。それに労災というのは、雇用保険と違い誰が労災に加入してるというような届け出の必要はない。労災の保険料の計算のベースにその人の給料を入れたからといって加入したといえるだろうのか?…正直、知り合いの主張があっているかどうかは私にはわかりません。
雇調金と違うのは、助成金の計算方法/確認用の書類/休業だけで教育訓練と出向がないこと。理由は恐らく週20時間未満の労働者にする教育訓練とは?通常の業務に関連したものは対象ではないですし。それに週20時間未満の労働者を出向させないだろう、ということかと。

以上。3000字超え。
雇調金と緊安金、名前の変換ミスしまくりで何度も書き直しました。"きんあんきん"と入力しても当然変換されない。

*1:職発…職業安定局長名通達のこと

*2:要領が変更になった場合は別

*3:申請書類等で雇用保険の加入要件を満たしていると疑われる場合や各労働関係法令違反が疑われる場合は関係機関等と連携して事案処理を行うこと。

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