巧遅は拙速に如かず

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雇用調整助成金の今後を、政府発表資料から予想してみる(12/11)

12月1日からの雇用調整助成金について、さんざん記事にしていましたが、11月30日に職業安定分科会のHPの資料の中で10月28日に閣議決定された内容が公表されています。具体的には「物価高と経済再生実現のための総合経済対策」という1枚のPDFです。そこを見ながら、今後の予想をしてみようかな、と。尚、PDF資料をはてなブログに添付する方法を私は知らないので、原本は厚生労働省のHPを参照してください。

全部書くと長いので、抜粋からさらに抜粋します。

デジタル分野等の新たなスキルの獲得成長分野への円滑な労働移動の2つを今後はメインに据える。具体的には、企業間・産業間の労働移動の円滑化とリスキニングをあげ、いくつか対応策を打ち出す。また、雇用のセーフティネットの再整備にも取り組む。

雇用調整助成金については、構造的な賃上げにつながるリスキニングと労働移動の円滑化を実現化するために段階的に縮減し、業況が厳しい企業に配慮しつつ、通常制度に移行する。そして、雇用状況が悪化する場合にも十分な対応をとるために、雇用保険財政の安定化を図ることとしています。

さて、ここからは私見が入ります。抜粋資料の構成の順番が逆になります。

まずは、雇用調整助成金

・雇用情勢が悪化する場合に備えて、雇用保険財政とセーフティネットの再整備をする。
雇用調整助成金は、労働移動の円滑化とリスキニングの実現化のために、通常制度に戻す。

解説:雇用調整助成金を用いた、つまり休業を活用して失業を最大限予防する時期は終わったということ。さらに2つの目標実現のために通常制度に戻すということは、言い換えれば、11月末までの特例制度は、成長産業への労働者を移動させること、賃上げに繋がるようなリスキニングの実現には、足かせになっているということ。そりゃそうだ、休業は、労働しなくても、保険と税金で収入が得られていたわけなんだから。そして、財政とセーフティネットの再整備をするということは、休業していた労働者が失業した場合の準備をするとも読み取れ、通常に戻したことで失業者が一時的に増えてた場合に備えて財政を安定化しておく、つまり、たとえ失業率が悪くなったとしても通常制度に移行するつもりだよ、と読み取りましたが、いかがでしょうか?

そして2大方針の実現の具体策として、政府としては、12月から以下の助成金等について拡充します、とのこと。(6は、助成金ではないため、助成金等)

  1. 労働移動支援助成金
  2. 中途採用等支援助成金
  3. キャリアアップ助成金
  4. 産業雇用安定助成金
  5. 特定求職者雇用開発助成金
  6. 成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業
  7. 人材開発支援助成金

上記、助成金等についての説明も資料で公表されています。さらっと中身を見ましたが、ざっくりいうと、離職者を雇用する場合と、仕事の教育訓練を実現した場合の助成金の支給または助成金額の増額の模様。つまり、労働移動(言い換えれば転職)、リスキニング(言い換えれば賃金アップにつながるスキルの獲得)を誘導するための助成金額アップです。雇用調整助成金の金額があまりにも大きいので、助成金等が複数並んでも金額がかすんで見えますが、(申請も恐らく難しい。)政府が行う方針とそれを促す助成金制度の中心は、休業による失業防止から、無職での求職活動期間を短くし、そして賃上げにつながるスキルアップ転職へと変わっていくということかと。

まあ、資料の中に6月末までに指針を取りまとめるという表現があるので、具体的な対策はまだまだこれから、という風にも思えますが。

まあ、昨日の増税に関する首相の会見で、すべてがかすんで見えますが…。