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仕事、転職に関するエトセトラ

雇用調整助成金 クーリング期間 個人的な解釈(2/19)

※令和5年3月17日追記

以下の記事は、令和5年2月19日に書かれたものであり、3月17日に公表されたリーフレットのものとは異なります。特にクーリング期間の1年間の開始が異なりますのでご注意下さい。
雇用調整助成金の令和5年4月1日以降の取り扱いについては、この記事で焦点を当てている「クーリング期間」も含めて、令和5年3月17日に厚生労働省のホームページで公開されましたので、正しい情報はそちらでご確認下さい。

久しぶりに「雇用調整助成金」についての記事です。

雇用調整助成金が令和5年4月1日以降どうなるかは、2月末ぐらいには発表されるのではないかな、と思っています。なので、確定情報と時期的に誤解されるといけないので予想はやめときます。

さて、今回は、その発表の際の焦点のひとつになるであろう「クーリング」期間について、改めてピックアップしてみることにしました。
この用語は本当に自分でもよくわからなかったので改めて勉強してみました。ついては、そのアウトプットを兼ねて、一旦制度について資料から文言をピックアップしたうえで、私の解釈を書いてみようかなと思っています。

以下注意書きです。
今回の記事は令和4年11月30日付の支給要領やガイドブック等をもとにしております。今後、この支給要領やガイドブックの内容は改正、変更される可能性が高く、その改正箇所によっては、今回の記事は全くの的外れになるかもしれませんので、ご注意下さい。また、あくまで一個人の見解であり、内容の保証はできませんのでご了承下さい。

はじめに

新型コロナウイルスによる休業で、対象期間の初日(休業日の最初の日とは限らないです。)が令和2年1月24日から令和年4月1日までの間にある事業所を想定して記述しております。なので例えば対象期間の初日が令和4年4月2日以降の場合はあてはならないケースもありますのでご注意下さい。

ガイドブックによる解釈

ガイドブックには現在「経過措置期間(簡易版)」用と「通常」用の2つがあります。

「経過措置期間」のガイドブック(簡易版)の2ページに「クーリング期間を撤廃」と書いてあります。この表により「経過措置期間中はクーリング期間がない」と読み取れます。

ではそもそも「クーリング期間」とは何でしょう?。調べてみると、どうも「経過措置期間(簡易版)」のガイドブックには記載がない。そこで「通常」版のガイドブックをみてみると、5ページに下記のとおりの説明があります。

・1つの対象期間の満了後、引き続き本助成金を受給する場合、その満了の日の翌日から起算して1年間以上空けないと、新たな対象期間を設定することができません。この新たな対象期間を設定できない期間を「クーリング期間」といいます。

では、「対象期間」とは何でしょう?これも同じページに下記のとおり説明があります。

・本助成金は、1年の期間内に実施した雇用調整(休業・教育訓練・出向)について支給対象となります。この期間を「対象期間」といいます。

「経過措置期間」のガイドブックにも「対象期間」については下記のとおり説明があります。

・本助成金は、1年の期間内に実施した休業について支給対象となりますが、この1年の期間を「対象期間」といいます。休業を行う場合は、本助成金を受給しようとする事業主が指定することができます(例えば、休業の初日から1年間や暦月(1日から月末まで)で12ヶ月分など)。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い事業活動の縮小を余儀なくされた事業主(以下、特例事業主と言う。)で、休業した対象期間の初日が令和2年1月24日から令和4年3月31日までの間にある場合は、本助成金の対象期間は令和5年3月31日までとなります。

つまり「対象期間」とは助成金の支給対象となる期間で、「1年以内」が原則。ですが、コロナによる影響の場合は「対象期間」は1年でなく、令和5年3月31日までになる、というわけです。(令和4年11月30日時点のガイドブックによる)

そして「経過措置期間」が終ったあとは、「経過措置期間」版でなく「通常」版のガイドブックに基づくことになるわけで、その「通常」のガイドブックでは「クーリング期間」について、前の対象期間から1年間以上空けないと対象期間を設定できない、つまり雇用調整助成金の受給は1年間空けないとできませんよ、といっているわけです。

まとめると、「対象期間」が終了するのは令和5年3月31日なので、その翌日である令和5年4月1日から令和6年3月31日までの1年間は「クーリング期間」に入るため雇用調整助成金が受給できなくなる、と解釈できるわけです。

ちょっと待て、最初に「経過措置期間」のガイドブック2ページに「クーリング期間を撤廃」と書いてあると言っていたではないか?だからこの「クーリング期間」は撤廃されたのではないか?という反論があるかと思います。ごもっともです。
では「クーリング期間を撤廃」とは一体どういう意味でしょうか?2ページの表を今一度見てみます。「経過措置期間中」、つまり、令和5年3月31日までの期間は「クーリング期間を撤廃する」と書いてあります。ということは、この表をもって令和5年4月1日以降もーリング期間を撤廃する、と読み取ることはできないのではないでしょうか?令和5年4月1日から「クーリング期間」は復活し即発動する、とも読み取れるわけです。

支給要領による解釈

ガイドブックというのは、あくまでその名の通りガイドであって、助成金が支給される根拠は「支給要領」に基づきます。まず、前提となる「特例」事業主のおさらいです。「特例」事業主は以下のとおり定義されています。

1106a

新型コロナウイルス感染症の影響に伴い事業活動の縮小を余儀なくされた事業主であって対象期間の初日が令和2年1月 24 日から令和4年 11 月 30 日までの期間中にあるもの(以下 1106a から 1109a 及び 1111a から 1115a において「特例事業主」という。

次に「クーリング期間」は以下のとおり規定されています。

0302a ロ

・一般事業主は、過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある場合、指定した対象期間の初日が当該事業主の直前の対象期間(一般事業主の支給対象事業主としての対象期間に限る。)の満了の日の翌日から起算して一年を超えていなければならない。

では、「クーリング期間の撤廃」は支給要領でどう規定されているかというと、現在の「経過措置期間中」は以下のとおりの規定です。

1114aホ クーリング期間の特例
経過措置期間中、特例事業主については、0302a のロの規定は適用しないこととする。

ちなみに令和4年11月30日までの緊急対応期間中の規定は以下のとおりでした。

1106aホ クーリング期間の特例
・特例事業主については、0302a のロの規定は適用しないこととする。

12月1日以降、「経過措置期間中」という言葉が最初に追加されているところが注目箇所です。11月30日までは、特例事業主に関してはクーリング期間はない、とも読み取れます。しかし、12月1日以降は「経過措置期間中」はクーリング期間が適用されない。裏返すと、経過措置期間が終了した後は、クーリング期間が適用される、とも読み取れます。

0302aロの規定は適用しないこととする、というのがどういう意味か?ここが一番のポイントです。そもそもこの0302aという規定は新しく対象期間の初日を設定して、雇用調整助成金を受給しようとする場合は、その前の対象期間満了した後1年空いていないといけない、という規定。

これを”適用しない”ということは、前の対象期間から1年あいてなくても、特例事業主だった場合は申請してもいいよ、という規定だと推測しています。具体的にいうとコロナ前に雇用調整助成金の通常版の申請をしていて、その終了からまだ1年空いていなくても特例事業主だったら申請できるよ、という意味だと思います。

※具体例:
対象期間:平成31年1月1日~令和元年12月31日
クーリング期間:令和2年1月1日~令和2年12月31日
クーリング期間の特例…令和2年1月24日~令和2年12月31日の間は本来は「クーリング期間」であるが、この期間については「クーリング期間」を撤廃する。つまり、特例として申請できる。

そして、特例事業主として申請している対象期間が終った後、次の対象期間を設定した時、その時も前の対象期間で特例事業主だったから1年空けなくてもいい、という意味ではないと思います。つまり、令和5年3月31日で対象期間が終了した場合、次の対象期間はここから1年は空けないといけない、ということになります。

ところで、0302aロには少し気がかりなところがあります。
それは、赤字で書いた0302aのカッコ書きです。1年空ける前の対象期間は、「一般事業主」としての期間に限るわけで、そして今回のコロナ特例の対象事業主は「特例事業主」なのだから一般事業主ではない。だから「クーリング期間」は適用されないのではないか?つまり、1年空けなければならならない直前の対象期間に、コロナ特例の期間は該当しないのではないのではないか?
ただ、この一般事業主については0301aで規定があって、一般事業主”以外”の事業主は(ロ)以降に規定があります。そしてそれらの規定の中に今回の新型コロナウイルス感染症に関する事業主のことは規定されていないので、やはり「特例」事業主という表現ですが、0302aの「一般事業主」にも当てはまるのではないか、と読み取れます。

長くなりましたが、支給要領を読んでも結論はガイドブックと同じでクーリング期間が適用されないのはあくまで経過措置期間である令和5年3月31日まで、つまり令和5年4月1日以降、クーリング期間は発動される、と読み取れます。

要約

長々と説明しましたがガイドブック、支給要領を見ても、経過措置期間終了とともに対象期間が終わり、1年間のクーリング期間に突入する規定であると私は解釈しました。
くどいようですが、これはあくまで11月30日付けのガイドブック、支給要領に基づきます。ガイドブックや支給要領が今後変更されないとは断言されていません。これまでも、何度も「コロナ特例」は延長されてきました。そのたびに、この日付と中身が変わっています。なので例えば「クーリング期間は令和〇年〇月〇日まで適用されない」というような規定が加わると上記の話は覆されます。「経過措置期間」が伸びる可能性もあるし、別の期間が始まる可能性もあります。さらに付け加えると、令和5年4月1日以降のことについてはこうでです、と断言している規定は見つかりませんでした。なので、あくまで令和5年3月31日までの解釈です。

まとめ

現在の規定だと、令和5年4月1日から1年間のクーリング期間に入る、と私は解釈していますが、この規定が改正、変更される可能性はこれまでの経緯から十分ありえます。そして規定が改正されるか、令和5年4月1日以降がどうなるかは、今後の発表を待たないとわかりません。

2/22追記 2月27日(月)9時から職業安定分科会が開かれるようです。その議題の中に「雇用調整助成金の助成内容(案)について」というのがあがっています。内容は2/23時点ではわかりませんが、この日には4月以降の助成内容の案がわかる可能性が高いです。

2/28 厚生労働省のHPの更新を受けて別の記事を作成しました。kesera22.hatenablog.com