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仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

雇用調整助成金 令和5年4月1日以降について思うこと(3/18)

※ご注意 以下の記事は令和5年3月18日に書かれたものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

このブログで何度も取り上げている「雇用調整助成金」の特例措置。その特例が令和5年3月31日で終了することが令和5年3月17日、厚生労働省のホームページで告知された。2月末の段階では「検討中の案」という表記があったが、それがなくなったのでこれで確定であろう。

さて、このブログの閲覧数は「雇用調整助成金」関連の記事に集中しているのだが、3月はその中の「クーリング期間」について書いた記事の閲覧数がかつてないほど伸びている。報道により「コロナ特例」が令和5年3月末で終了予定であることは周知されているが、特例が終了し通常に戻るということは一体どういうことか、また報道では「クーリング期間」については触れられていないからか、ネットで調べた結果、この素人ブログまでたどり着かれているのだろうと私は推測している。
さて、今回の記事はエビデンスなしの個人の感想の記事である。確定情報を探されている方はここでブラウザバックされたい。

 

まず初めに、改めてこれまで雇用調整助成金の今後についての予想をしてきたことについての説明をしたい。私がこのブログで「雇用調整助成金」のことを書き始めたのは、あくまで職場での説明用としてアウトプット用であったが、ブログでは今後の予想もあわせて書いてきた。その理由は、予算や法令の仕組み上なのかは知らないが、厚生労働省のホームページで発表される確定情報がとにかく遅いのである。しかも確定情報を知るにはホームページが更新されているかどうか随時閲覧しないといけない。これはいつ変更になったか本当にわかりづらい仕様である。だが一般人である私が発表を早めろと思っても早める手段はない。ならば、個人としては公表されている情報をもとに予想して準備しておくしかほかない、と思っていたわけである。ブログは自分の頭の中の整理とアウトプット用。それに職場内で説明する際に、今後についてなんら触れないというのはないだろう。今後の予想とその対応策、準備策は説明には必要だ。今時、わかっている事実というのはネットで調べれば無料でだいたいわかる。事実の説明をするだけで賃金をくれる優しい職場はそうそうない。

あとこの雇用調整助成金の特例以外の助成金を申請されたことがある方ならば同意してもらえると思うが、助成金というのはいきなり廃止されたり、制度が変更されたりする。年度替わりは特にそう。今年がそうだったから、来年もその助成金がそのままあると思うのは幻想。助成金を利用する限りは今後のことも注視しておくことは不可欠だと私は思っている。
尚、予想は外れるものである。マスコミのように取材能力や裏付けがとれない一般人なので、これは当たり前。ただ、繰り返しになるが将来を予想し準備しておくことは必要だと思う。確定情報が遅い以上、確定情報を見てからの対応では間に合わない可能性がある。下調べし想定もしないのは、競馬でレースが終わった後に馬券も買わずに予想が当たった、という人と同じようなもの。つまり、そんなことは誰でもいえる。ちなみに過去記事では外した予想も、記事の作成日を追記しているが、基本そのままにしている。

以上、予想の自己正当化は終了。ここからは今回の特例の終了について話していきたい。これは自分でも予想は書いていたが、大方の人も3月末で終了するのではないかと思っていたのではないか。なぜならここ半年、2か月間隔で通常版に戻してきて、少しずつ助成率が下がってきたのだから。ただ、「クーリング期間」が令和5年4月1日から発動する、つまり2/3の助成率になるどころか、申請すらできなくなると思っていた人は、どれくらいいただろうか。いや、そもそも「クーリング期間」というものを知っている人がどれくらいいるだろうか。私の知り合いは「クーリング期間」は撤廃されているから発動しない。発動は「通常」に戻ってから対象期間が始まってそこから1年たってからの令和6年4月1日だと主張していた人がいた。私はそれはちがうとは思ったが、反論できる根拠がなかった。それもあって自分で色々調べてその結果を以前記事にしたわけだが、今回のリーフレットを見て自分の解釈はほぼ当たっているのではないかと自画自賛している。(本当にあたっているかはリーフレット2ページで断言できない)ただし、私は告知から発動までの準備期間としてクーリング期間の発動を伸ばすことを”予想”していたし、絶対そうだとも言い切れなかったので、人の解釈を悪くいえない。尚、①1年以上申請していない事業所(言い換えれば令和4年度に休業申請していない事業所)、②まだ対象期間開始から1年未満の事業所は令和5年4月1日以降も「通常版」として申請できる。これがわかりずらいところである。特に①「対象期間」は、クーリング期間の前提である「対象期間」と「対象期間」の間に1年あけるという「クーリング期間」のルールを変更してきたのでややこしいところである。(3/17付のリーフレットで図面で本来の規定と今回の規定の説明があり、また同日の分科会の資料にも説明があるので詳しくはそちらの公式資料を参照されたい。)

とこう予想してみたところで、今でも実際申請を継続しているのはどれくらいあるのだろうかと思うところがある。「特に業況の厳しい事業所」には助成率最大90%、という特例を令和5年1月まで用意していたのだから、実際業績が厳しい事業所がそれなりにあるのは事実だろう。(厳しいところの事業所名が判明すると今後信用不安になりかねないので公表されないだろうから、詳しいことは私にはわからない。)そういうところに救済措置をつくるかもしれないとは推測していたが、今回の「クーリング期間」の適用の有無に業況が厳しいかどうか判断する売上高などの生産指標の基準はなさそうだ。要するに「雇用調整助成金」という助成金で休業を続けていた事業所を救済していましたが、令和5年3月31日をもってどんな理由の休業でも一旦締め切ります、ということだろう。(もしこの先1年間の間に何かあったら「特例」を創設するだけの話。尚、コロナと物価高のダブルで苦しんでいるところはどうするんだと思っていたが物価高はどうやら「雇用調整助成金」ではない方法で対応するらしいので、現時点では特例をまたすぐに作ることは想定していない、と私は思う。)

話は戻るが今でも休業している事業所はどういうところなのか私にはイメージできていない。厚生労働省のホームページもみると1年前の1週間の申請件数が約5万件で、今年が1万5千~2万件前後。1年前は、「まん延防止措置」が発令されていた都道府県が多かったと記憶している。つまり、行政から休業の要請、行動制限の要請があった時期。今はそれはないと思う(すべての事業を知っているわけではないので思うとしか言えない)その1年前と比較し約60~70%減っているが、裏を返せば1年前と比較し30~40%はまだ申請している、というデータがホームページに載っている。助成金額も前年比で30%ぐらいは残っている。支給申請の時期と実際に休業した時期はずれるので(たとえば3月上旬の申請件数は2か月前の休業でも数字で上がっているのではないかと思う。)今の実態はわからないが、まだこれだけ申請は残っている。以前の「雇用調整助成金」「通常版」の時の件数と金額を知らないので迂闊なことは言えないが、これが殆ど0に近い数字になるということはそれだけ分、多く事業所に影響を与える。どう影響するかは各事業所で異なるだろうし、私にはわからないが、以前の記事で”衝撃”とかいたのは、これだけ申請件数が今でもあるからである。

さて、令和5年4月1日以降、実際どうなるかというともっと詳しい資料がないとわからないが、リーフレットを見る限りガイドブック等は3月下旬になるとの記載があった。本当に遅い…。4月のシフトを決めていて休業を予定している場合は確定版を見ずにもう決めないといけないだろう。ホームページの見出しから「予定」とか「案」が消えている以上、リーフレットの内容が変わることはまずないだろうし、私がもし知り合いに質問されたら、対象期間が1年以上で最近まで休業していた場合は、4月以降は休業しても助成金はもらえないものと思ったほうがいいのでは?、と答えるだろう。尚、繰り返すが正しいかどうかの保障はできないし、後述するが助成金というのはそもそも申請したら100%貰えるものではない。

今後雇用調整助成金のことを記事にするかどうかは改正されたガイドブック等の中身をみて決めようと思っている。2ページ(表と裏で1枚)のリーフレットではわからないことは多いが、年度の切り替わりの時期は忙しい。
※4月15日追記 令和5年3月31日付けで令和5年4月1日以降のガイドブック等が更新された。驚きの1日前更新。尚、これを見て記事にする予定はない。年度変わりの直前にこの内容、この期間、到底素人の手には負えないと判断した。この記事に書かれていることについては間違ったことを書いていないだろうと”私は”思っているが、ガイドブックは到底読み切れないので保証はできない。ご注意いただきたい。ちなみに雇用調整助成金だけが前日に更新されたわけではなく、他の助成金の令和5年度版の案内もたしか1日前とかだったと思う…。予算の都合かもしれないが助成金というのはそういうものらしい。

尚、雇用調整助成金の特例は終わり、クーリング期間突入により、殆どの事業所は雇用調整助成金としばらくはご縁がなくなると思うが、助成金というのはそもそも沢山ある。コロナ特例の雇調金ほど支給金額のわりに簡単に申請できるものはそうそうないが、どうやら予算案の概要をみるに、政府は出向、新規雇い入れ、リスキリングという新たなスキルをつけることに対しての助成金に軸足が移っているようである。休業ではなく、出向するか、転職するか、別の仕事のスキルをつけることを薦めているようである。ただ、顧問社労士、またはしっかりとした人事系の事務職*1がいないところは申請するのも難しいだろうが…。

尚、ホームページに「不正受給の対応の厳格化」の赤く強調された文字は表示されたままである。申請できなくなるのに”受給”はなかろう、と一瞬思ったが、”これまでの”受給、支給した分のうちの”不正”に関する対応はまだするよ、つまり不正受給に関してはまだ終了ではないよ、という意味だと思い直した。

そしてついでに思い出したことがある。それは某動画サイトで、この助成金は100%受け取れます、的なことをサムネで表示させている動画があったことだ。サムネだけで動画の中身を見たわけではないのでその動画サイトが正しいかどうかを述べる気はないが、100%受給できる助成金補助金などこの世にはないと断言したい。100%受給できるというのはどうやら支給要件をすべてクリアすればいいだけと言っているようだが、それはテストで100点満点を取れば合格できる、と同じ意味だと思う。尚、助成金は1つの間違いでもその間違いが要件のひとつなら不支給になる場合があるので、言い換えれば1問間違えても不合格となる試験でもある。誰だって、どんな組織だってミスや見落としをすることはある。また人を雇い続ける以上、商売を続ける以上、時間に限りがある以上、国が定めた支給要件にどうしても該当しなくなる時だってある。本当に100%受給できることが保障されるのならば、それはなにがなんでも受給するために上記の”不正”に手を染める可能性があると疑った方がいいと私は思う。
なんでそんなことをいうかというと、本当にこういう100%受給できるという甘い誘いにひっかる経営者とか幹部がいるからである…。100%儲かります!という投資話に乗っかるのと同じレベルなのだが、本人にあなたは馬鹿ですといっているとのと同義なのでそれは言えまい。まあ経営者が損をするなら別にいい。問題は、実際受給できなかったら従業員とか弱い立場の者に責任や損失分を押し付ける人間がいるからである…。騙されやすい経営者かどうか見極める機会ととらえるのもありかもしれないが。
以上、騙されやすい経営者に仕えた経験者の愚痴。尚、当然ではあるが、専門家、しっかりした実務家を交えて助成金を申請したほうが労務の知識と経験もない人間だけで手続きするよりは助成金を受給する可能性が高くなるので、専門家の関与を否定するものではない。

では、実務家をどこで線引きするのか?と思われる方は
就業規則
・労働契約書(労働条件通知書)
・勤怠管理
・給料計算(人任せ機械任せにせず計算になるか理解しているか)
助成金上の解雇「等」

上記のことを自分や担当者が説明できるかどうかで判断されたらよいかと思う。

さらに”不正”について付け加えると、私はたとえ素人ブログであっても、不正になりかねないこと、”不正”にはならないかもしれないが、助成金が支給される目的から逸脱した”不適切”な活用に繋がってしまうようなやり方については書かないようにしてきたつもりである。過去の通常版の記事を書いたときに、一例として書こうとして、これは不適切な手法を紹介する形になるのではと思い、そういう一例は気づいた限り書いても消している。多分、申請したことがある人はこの特例の場合のある意味抜け穴ともいえる、結果的に会社の儲けに繋がる方法を思いついた人もいるであろう。ただ、その思いついたことを本当に実行するかどうかは、その立場の人の人間性、その事業所が社会にとってどうあろうとするかだと思っている。実際のところ不正がどうやって発覚しているのか私には皆目わからないが、国家機関、行政組織というものを甘く見てはいけない、と私は思っている。

あと、現在の厚生労働省のホームページの発表だけでは多分クーリング期間は周知されないだろう。自分が更新情報を見つけたのもたまたまで、総理大臣が外交しているのをテレビで見て予算審議が終ったのかなとふと思ってホームページを閲覧しただけである。今後告知が始めるのかもしれないが、もしかしたら5月以降に4月分の休業を申請しにハローワークに出向いた事業所の人の一部の方がハローワークで、4月分の休業が申請できないとは知らない!と騒ぐのではないかと予想している。または3月末での解雇により仕事を探す人が増えるかもしれない。良い風にとらえるとしたら、令和5年4月以降は転職を狙っている人、学び直しをしたい人、別職種であったとしても人を新たに雇いたい会社にとってはチャンスなのかもしれない。何度もいっているが、いまだに雇用調整助成金等を得て働かずに賃金を貰って休業を続けている人、事業所にとっては退職、解雇が迫ってくるだろうが…。(当然、行う事業内容によっては致し方がない事業所は別である。)

またもや長文となった。雇用調整助成金をテーマに数か月ぶりに私見を書いてみたが、やはり何度も修正している。なかなか誤字脱字なしの読みやすい文章を一発で仕上げるのは難しい。

*1:このブログでは何度でも言っているが、人事のプロとSNS等で名乗っている人は、広報活動、採用活動、または求職者にマウントを取りたい人である。あと採用だけの経験者は人事のプロではない。あと採用のプロと名乗るのはいかがと思う。というのも、営業開発等その他部門のこれまでの実績があって会社の知名度、信用度があがり、給料があがり、待遇があがり、その結果として求職者が集まっている。採用担当が偉そうにふるまえるのはその過去の功績があってこそである。自分の力だけでもないのに採用担当をしているだけでプロと名乗ることができるのか、その思考に苦笑するしかない。なんの実績のないスタートアップ企業で人が集まるのならば、それは経営者の魅力であって採用担当者だけの力ではない。あと採用のノウハウというのは、これまでリク〇ートが作り出した採用の構造を知っている人であって、これを人事のプロとはいわない。リク〇ートが作り上げた制度に詳しい人でしかない