けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

マイナ保険証問題についての私見

最近マイナ保険証のニュースが多く報道されている。
マイナ保険証と本人の情報の紐づけに失敗しているケースがあること、本人確認が取れず10割負担になってしまったケースがあることなどである。

私はマイナンバーカードを被保険者証にしておらず、今のところ被保険者証にする気もないため、細かい中身について知らない。よって、昨日の段階では賛成でも反対でもなかった。

だが、本日某責任者の1人である大臣が一民間人の記事を評価するツイート(もしくは引用ツイート)をしていたのに気づき読んでみたが、そこで示された情報により一気に不信感が強くなった。一度アウトプットしてみたくこの記事を書いてみることにした。

 

尚、マイナ保険証、マイナンバーカードを存続させるための手段としてのマイナ保険証、マイナンバー、マイナンバーカード、紐づけする金融機関の口座、マイナンバーで所持する個人情報、それぞれで問題があると思う。今回の記事は単純に”マイナ保険証”についてのみの意見である。あと、今回問題となっている紐づけの失敗が、システムエラーなのか、それともヒューマンエラーなのかというのも話からそれてしまうので、以後システムエラーという表現で統一する。(話がごっちゃにならないようにするためのことだが、それだけマイナンバー関連の問題は多数ありかつ複雑にあることがわかってしまう…)

まず、マイナ保険証と本人確認の紐づけが失敗し、本人の確認が取れないケースについて。

紹介された記事では、問題が起こっている紐づけの失敗というのは全体の1%に満たない程度であって、それぐらいのエラーは従来の被保険証であっても発生しているし、そもそもシステムで完全にエラーが発生しないということはない、という指摘について。

それについて反論する気は毛頭ない。100%ミスが起こらないシステムなんで存在しないことは誰でもわかっている。システムエラー、通信エラーは何年も前から始めている巨大民間企業でも起きている。

だが問題はそこではない。話をそらしてはいけない。エラー自体で騒ぐことはないという記事であったが、騒がれていることを中心にして根本的な問題のすり替えをしているのにすぎない。

こういう論調をする人間は大抵、クレジットカード、スマホ(アプリ含む)、パソコン(主に検索機能からのし上がった大企業)であなたの個人情報を把握されて利用されているのに、行政が個人情報を取得するのに反対する理由は?とか論点のすり替えをするのだ。だから、システムエラーとか漏洩とかの一般論に対する話をするつもりはない。

マイナ保険証の問題の根底は、従来の通常の被保険者証を強制的に廃止し、マイナ保険証に強制的に移行させられることだ。

別に被保険者証を廃止しなくても他の措置で代用可能ならば、これほど混乱も不安も怒りも長くは生じない。強制的に被保険証を廃止されて使えなくなることに対し不安と怒りが生じているのであって、不安が払しょくされるまで廃止しないという回答自体、そもそも強制的に廃止しなければここまでの不安は生じていないし、他の代替措置があれば解消できる。強制的に廃止することに目を背けて、システムのエラーの一般論で話をすすめても一向に話がかみ合うことはない。

次に、システムエラーが起きた時の責任者たちの態度について。

1 まずいい訳から始まったこと。民間会社ではそんな発言は絶対にされない。住所の問題、漢字の問題、拙速な対応、色々あろうが、それはやる前から想定できることだ。いい訳から入ること自体がありえない。

2 各大臣がそれぞれ他の会社や省庁に責任や説明を転嫁したこと。もっとありえない。「調査中です」ではなく「保険者に聞いて」というのはトップとて到底ありえない。保険者は今まで自前で作っていた被保険証を国に強制的に移行させられた。そのうえ問題発生の責任を擦り付けられた。多分、この国のトップは今後大きな問題が発生しても同じような回答をするだろう。何度もいうが、システムエラー自体の問題ではない。話の論点をそらしてはいけない。システムエラーがでたら当初は混乱するが、それ自体に対してこんなに怒りや不安が長引いたりはしない。システムエラーを繰り返す某メガバンクでもこれほど長期間は続かない。

これでマイナンバーに問題が発生した際のこの国の行政機関のトップの対応というのが垣間見えた。この人たちは今後問題が発生しても責任を他に転嫁することが明白になった。エラーは必ず起こる。これはある程度はしかないとしても、マイナ保険証の場合は問題が起こるたびに誰かに責任を転嫁することがわかった。責任をとる気がないから、信用を無くしたのである。

最後に、現存の被保険者証の廃止を「国民の不安が解消するまで」という国民が主観的にいだく「不安」ということに焦点をあてていることが根本的にずれている。

不安が全くないシステムなどありえない。エラーが起きればだれでも”発生時”は混乱する。エラーが起こった時、どこが責任をもって原因を把握しどう対処するか、その説明ができる体制を構築することが肝要ではないか。そもそも「マイナ保険証」の管轄はどこか?一時的な本部長ではなかろう。システム屋が専門的なことをいって、一般国民にはわからない説明をされても困るし、どこかの某実業家のように反対すれば「こいつアホ」といかいってすむ問題ではない。何度もいうがマイナ保険証は強制的なものである。そこをはき違えてはいけない。

次の話題。原点に戻り「マイナ保険証」による既存の被保険者証の廃止自体について述べたい。

そもそも誰もが思っていることではあるが、なぜ既存の被保険者証を廃止する必要があるのか。そして、被保険者証のデータをマイナンバーに登録する必要性はどこにあるのか?行政サービスの迅速化や効率化は”マイナンバー”を使うのであって、マイナ保険証である必要性はない。そもそも、市役所等に出向き行政サービスを受けるのは人にもよるが、そうそうあるものではない。携帯しておく必要性はそれほどない。

そもそも「被保険者証」の一番の役割とは何か?「被保険者証」を提示することで負担割合を1割から3割に減らすことができ、急に発生する多額の医療費を抑えることだろう。

それがシステムエラーで10割負担になるのならば「被保険者証」の役割を果たせていない。「被保険者証」は保険者が変わるタイミングでは発行されず10割負担になる場合もあるのだからというのは論点のすり替えでしかない。それに保険者が変わるタイミングというのは被保険者自身が把握できる事柄であるし、未提示ならば10割負担というのも自分の責任である。だが、システム不具合で10割負担になるのは自分では予測ができない。これでは「マイナ保険者証」はデメリットでしかない。メリットがまったくない。10割負担にならないように、前の被保険者証で対応するのならば、廃止する意味は全くないし、正直ギャグでいっているのか、官僚たちは本当はマイナ保険証を辞めたいから、あんなアホな答弁を用意しているのではないか。

次に「被保険者証」のデータをマイナンバーを通して紐づけする点。医療情報をデータ化することで、医療施設が変わっても過去のデータを把握することができ、紹介状やカルテを手配しなくても被保険者の健康のデータが把握することができるため、効率的で最適な処置が期待できる、という将来的なメリットを厚生労働省は提示しているらしい。このマイナ保険証の将来像を描いていることが恥ずかしながら今日初めて知った。私はこの厚生労働省のイメージ図で怒りがわいた。人の医療履歴などの個人情報を、自治体で働く人、医療従事者や介護従事者ならだれでも見ることができるのがメリットというのか?多分厚生労働省の役人はわざとアホなことをいって「マイナ保険証」をなしにしたいから、あんなアホなイメージ図を作ったのだろう。

私は自分の過去の医療データをマイナンバーカードに載せるというのは大反対である。人にはいいたくない「医療情報」というのがある、という視点が抜けている。紹介された記事の著者はその視点を持っているようでここは修正されると思っているようだがどうやらまだ推測のようだ。その情報は必要あるのか。拒否する権利はあるのか。この辺り、そもそも決まっているのか、予想なのかというところは私は知らないので、上記の記事を見た憶測でしかないのだが、私のような「メンタル疾患」患者はその情報を誰にでも見れるようにするのは断固反対だ。名前、年齢、性別とかの基本情報で後は個人の自由選択でよかろう。災害が起きた時にマイナ保険証のデータでこれまでの薬が発行できる、とか、そういったケースがどれぐらいの確率であるのか?病院間の連携がとれないほどの災害が起きた時に、マイナ保険証の通信データだけは活用できる状態と思ってなのか?

「メンタル疾患」に限らず、世の中には他の人に知られると「差別される」病気、「生活するのに支障がある」病気というのが現実に存在するということを厚生労働省、デジタル庁が理解しているか、上記分析記事を見て甚だ疑問が生じた。

重ね重ねいうが「医療情報」を”強制される”マイナ保険証に載せる必要性はないし、大反対だ。

私はデジタル関連のものはかなり利用している方だし、行政のデジタル化については賛成しているが、医療に関していえば、料金も〇〇ペイとかクレジットカードを利用せず、現金で支払っている。その理由は〇〇ペイやクレジットカード会社に自分の薬や病院のデータをとられるのが嫌だからだ。それをその会社の従業員に知られるのが嫌だからだ。某大臣はクレジットカードが情報をもっているのに何故反対するのか?とほざいているらしいが、現に情報をとられたくないので使用していない人間がここにいる。

こういうとまた、「保険者」からデータが情報漏洩があるリスクがゼロではないと話を逸らす輩があるが、それをもってマイナ保険証からデータが情報漏洩がおきても同じことだとおもっていることが、この記事を責任者である某大臣がリツートしたことでよくわかった。これは某実業家が「反対するヤツは無視して強引に進めればいい」といっていたのと同じ考えである。言葉づかいが汚いかどうかの違いだけであることが今日よくわかった。

個人的にはこういうことに対して賛成か反対する場合は、実際の条文や運用を把握してから判断したいところであるが、国が勝手に強制することに対していちいち法律を勉強し理解しない(この場合は為政者にとって都合のいい理解である)と反対意見を述べられないというのはおかしな話である。それなら法律家による統治であり民主主義ではない。よって今日時点の結論は以下のとおり。

日本人はミスを許さないのか、と話の腰を折っている某コメンテータは、実際自分の個人データを流出されても、クレジットカードで勝手に自分のお金が大量に盗られても私は何も文句はいいません、返せともいいません、と宣言してもらいたいものである。

7/6 追記 今日の某新聞にて、もともと政府はマイナ保険証は現行の保険証との選択制の予定であったのを、デジタル大臣(庁)の意向で被保険者証の廃止に変更させたとの記事を読んだので追記する。この記事が本当であれば答えは簡単、もともとの案通り「選択制」にすればいいだけである。繰り返すが、保険者のせいとか漢字のせいとか人為的なミスとかに話を逸らすべきではない。これほど複雑なシステムを急募で雇った臨時職員で対応させても絶対にまたエラーを起こす。総点検の名のもとにさらに自治体と負担増、つまり税金による支出を増やすべきではない。総点検自体も急がず支出が増えない程度にやればよい。

結論:マイナ保険証は被保険者の選択性にすること。できないのなら選挙で態度を示すしかない。