けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

「電話が嫌い」なのは、世迷言に付き合わされるからなのではないか?

最近「電話嫌い」がクローズアップされている。

著名な経営者による「電話嫌い」と社会人新人「電話を受けかけの嫌い」。

経営者は電話を受けることにより、自分が今集中して行っていることを強制的に遮断されることの弊害を訴えていて、若者は「知識・経験不足」による不十分な回答を嫌い、電話をかけることにより相手の時間を奪うことへの罪悪感からくる。両者は、同じ電話嫌いでも、立場によりその悩みは異なる。

では電話はそもそも無用であるか?という話であるが、私は仕事においての電話はもはや無用であると考える。

メールでよい。手紙でよい。FAXでよい。行政がなくすのはFAXが先ではなく、電話が先ではないかと思ったりする。行政を名乗る特殊詐欺の電話も多いのだし。

さて、今週私の身におこった4つの出来事で話をしたい。

1つは、仕事中において、いきなり質問を始める電話を受けた時。

電話口の人が何の話をしているのか尋ねても、〇〇?と回答。〇〇自体が聞き取れない。〇〇とは何か?と何度聞いても紙に書いてあるアレとしか回答がない。しまいには「わかる人に代わってくれ」を何度も言ってくる。〇〇が”アレ”よ、アレ”みたいな感じで、〇〇自体が何のことかわからないので、代わろうにも誰にもふれない。つまり、電話口の人は自分が言語化できていない問題の解消を、電話の相手先にいきなり求めているのだ。これは私でなくても、経営者でも、若い新人でも解決不可能だ。

こういうレベルの人は何度遭遇する。今回は普通の会話であったが、多くは感情的な物言いの場合が多い。電話をかけた相手に問題の解消を求めていて、その問題自体が通じないことは相手のせいだと攻め立てる。電話を受けても時間とエネルギーの無駄。対面だったら、その場から逃げるレベルである。しかし、この会話を実現させているのが電話である。

2つめは、家にかかってきた電話。「〇〇様(〇〇は私の苗字)のご主人様はご在宅ですか?」。「どちら様ですか?」と尋ねると、ガチャと切られた。おそらく、特殊詐欺やセールス関連だろう。無礼にもほどがある。とにかく名乗らない人間の多いこと。まあ、大手企業の代理店を名乗り、本当の名前は名乗らないだろう。こういう輩が蔓延るのも電話である。

3つめは、テレビ番組。電話ではないのではないかと突っ込まれそうだが、聞いてほしい。日曜の昼頃の番組は自称知識人、芸能人たちが毎回何かの理由で誰かを責めたくる炎上、対立芸を披露する番組がいくつか放送されている。

それを見ていてふと思いついたのである。問題となっている電話はまさにこれだと。

信憑性のない根拠をもとに、言論の自由を口実に他人を攻め立てる、誹謗中傷する発言をする。発言者自身の頭の中にはなんらかの根拠があって話しているのであろうが、なにを根拠に話しているのか意味不明であり、だからといって発言者にその根拠を問うと、自分をバカにしているのかと怒り出す。こういうコメンテーターがまさに電話の相手先そのものだと。テレビは変えればいいが、仕事では逃げることができない、聞くしかない、時間ももったいないうえに不愉快極まりないこの時間がまさに電話だと。

4つめは、以前読んで紹介してあった本から。これらの事象を端的に説明されていた。曰く電話というのは、自分が言いたいことのアウトプットが不完全な場合に相手に時間を取らせて言語化その手助けをさせる、相手にとって突然時間と頭を使わせる迷惑でしかない行為であるということなのだ。

以上により、普段の電話は基本不要である。

…と結論付けたかったが、いざ、かける側の身になると110と119などの緊急事態にはやはり維持してほしい。商品が壊れた時はコールセンターがやはりほしい。メールではいつ回答があるのかわからない。電話がだめだからといって、アポなしで訪問されるよりかは身の危険を感じないし、逃げ場はある。う~ん、難しい。

ちなみに若者は電話がある以上は、電話に出たほうがいい。電話に十分に答えられないのは上司・先輩は承知のうえである。電話の相手先が上記のような場合に、その相手を対応するのには仕事の業務を中断させ、一定時間とられてしまう。それならば相手の言っていることを言語化するその役割は、知識があって生産性があるベテランやエースよりもまだ生産性が少ないであろう新人がやるほうが、会社としては時間の損失が少ない合理的な判断なのだと思う。それに新人の場合は別の見方もある。まず、嫌なことから逃げるタイプかどうかの判別をされている可能性がある。電話を受けることから逃げる人間は、自分が担当する職務でトラブルがあった時も逃げる。自分一人では対応できない電話で相談できない人間は、トラブルがあった時も相談できずに抱え込み、逃げるか隠蔽する。要するに周りに弱みを見せられない、相談できない人間は、電話に限らず逃げるか隠蔽する資質を持っている。そういう仕事において重要な資質の判断材料にされているとおもった方がいい。後、電話をうけることで、単に一人で勉強するよりも経験値が早くたまる。自分の想定外の出来事だから、自分ひとりの勉強よりも視野や経験値が溜まるのだ。これが、社会人の新人と経営者との違いである。

尚、経営者だって、大事な取引先の場合は、電話がかかってきても無下にできない。経営者は最終責任者であるから他人には触れないケースもある。新人と経営者ではケースが違うのである。