人材開発支援助成金の令和6年度版の記事を作成してみることにした。この助成金は令和5年度とそれほど変化はしていないので、1年前に書いた令和5年度版でも十分内容は押さえていると思う。だが今はもっと簡潔明瞭に書けるのではないか。加えて過去記事とを比較して自分の文章力を1年前と比較しようと思った次第。記事の最後に令和5年度作成分のリンクを貼っておく。
人材開発支援助成金は他の助成金と比較してガイドブックの数が多い。あの初心者お断りのキャリアアップ助成金でさえ1冊なのに、だ。そのせいなのかは不明だがこの助成金の記事は読者のアクセス数が多い。よって、書き直しの価値はあると見た。
前置きはこれぐらいにして今回は【人材育成支援コース】について。
期間限定のコースである【人への投資促進コース】や【事業展開等リスキリングコース】の方が助成率など条件が良かったりするが、このコースが人材開発支援助成金の恒常のメインコースであるから、このコースを理解してからの方がわかりやすいと思う。
まずはコースの概略
【人材育成支援コース】令和5年4月1日に過去の【特別訓練】【一般訓練】「特別育成訓練】の3つが1つに統合されたものである。人材育成支援コースは以下の3つに分類される。
- 人材育成訓練
- 認定実習併用訓練
- 有期実習型訓練
詳しい説明は後段にするとしてこの項目ではザックリ説明すると
1【人材育成訓練】がOffーJTのみの訓練。
2【認定実習併用訓練】がOJTとOff-JTを組み合わせた厚生労働大臣の認定が必要な主に新入社員用の訓練。
3【有期実習型訓練】が有期契約社員などを正社員に転換する可能性がある場合に、転換前に実施するOJTとOff-JTを組み合わせた訓練。
労働者に何か受講を受けさせようかな、と思ったら【人材育成訓練】と思ってもよい。
(但し、中小企業で雇用保険法上の建設業の事業所は別。訓練内容によっては”建設業技能実習”コースの方が同じ訓練でもどちらでも計画・申請できるし、建設技能実習コースの助成率がいいのでそちらも確認されたい。)
2、3はOJTが行われることが必須であり、その訓練を行う目的から訓練内容と対象者が限定されるうえ、申請難易度も高いため、理解するのは後回しでもよい。
令和6年度の変更点
Eラーニング・通信制の実施場所の変更届が必要に
eラーニング・通信制による訓練について、実施場所を変更する場合は、当初計画していた訓練実施日又は変更後の訓練実施日のいずれか早い方の前日までに変更届の提出が必要となりました(従来提出不要だったもの。)。
テレワークによる受講の場合はテレワークの規定のある就業規則の提出が必要に
OFF-JTをテレワークにより自宅等で実施する場合は、企業としてテレワーク制度等を導入していることがわかる就業規則等の提出が必要となりました。(従来OJTのみ必要であったもの)
令和6年度の改正で一番重要なところと言ってもよい。人材開発支援助成金の申請経験のある人は今回の記事は改正箇所、特にここだけ読んでもらっても良いと思う。上記はガイドブックの引用だが、通信制、同時双方向の通信訓練、Eラーニングに関するルールが何の予告もなく突如、整備、強化されたのである。
この3つはインターネットを介した”オンライン”での訓練、つまり通学しなくとも自宅でも会社でもどこでも自由に受けられるメリットがある。これらはコロナ禍での自宅でのテレワーク対応として令和3年度から解禁されたもの。ただこれらは”所定労働時間内での実施”が原則。ただ現実には実際に視聴もせずに動画や添削用テキストを流しているだけ、自宅にて、労働時間ではない休みや夜に労働者に訓練の強制させかねない(最悪、賃金も支払わずに)。そうはさせじと追加したものであろう。
上記の解釈はあくまで妄想。しかし、根拠がないわけではない。計画届(様式1-1号) 25欄の”訓練の実施場所”の書き方について(第3面)の説明書きを引用する。
25欄には、労働局が訓練実施日に実際に訓練が行われているか確認を行うことがあるため、訓練の実施場所の所在地(住所等)を記載してください。
実施場所が複数ある場合は全て記載してください。
同時双方向型の通信訓練の場合は、送信元の住所と送信先(受講場所)の住所を両方(複数ある場合は全て)記載してください。
ただし、同時双方向型の通信訓練の場合に限り、送信元及び送信先(受講場所)が個人の自宅等「申請事業主」又は「事業外訓練を実施する訓練施設」が所有・管理・利用する施設以外の場合は、送信元及び送信先(受講場所)の住所の代わりに当該訓練で使用する会議システムの名称及び視聴可能なURL等(パスワードも含む)を記載しても差し支えありません。
また、eラーニング及び通信制による訓練の場合で、受講場所が自宅等の場合は、代わりに「受講生の自宅」と記載して構いません。
なお、訓練の実施場所について、住所等を記載できない場合は、審査に協力しない事業主として助成金を受給することができません。
受講者自宅でオンラインで受講するならば、テレワークの規定が就業規則が必須となる。これにより、例えば通信制と通学制をセットにした訓練は計画届提出時にテレワークの就業規則を整備する必要になったわけである。自宅で仕事が終わった後に全部受けている?さて、それは果たして良いのか。
だったら、”所定労働時間内”で”社内”で受講していればいいんでしょ?と思うかもしれないが、訓練実施場所が変更届に追加されたことも気になるところ。というのも、後で記述するように、もしかしたら受講場所も通常の事業活動と区別する、つまり労働時間の合間とか、自席とかでの受講も不可能になるかもしれない。まもなく訓練開始のつもりだったところはかなり気を付けたほうがいい。
他にも受講途中での退職した場合などところどころでルール改正が見受けられていて、まだ私も理解が追い付けないし不明な点も結構ある。しかも、ホームページに掲載されている「事業主向けQ&A」は令和5年度のまま…。結局のところ、わからないところだらけである。そんな状態で改正とか、もっと早くいうべきだし、ホームページでもっと解説すべき事柄ではないのかい?厚生労働省さん。
ちなみに、通信制とEラーニングは以前から事業内訓練は対象外で、賃金助成もない。賃金助成があると、時間をかけてゆっくりやる方が賃金助成部分の金額が増えてしまうからだろう。
申請用紙の廃止・統合
- 「OJT実施状況報告書(様式第9-1号)」と「OJT訓練日誌(様式第9-2号)」を「OJT実施状況報告書(OJT訓練日誌)(様式第9号)」に統合
- 「対象労働者(有期契約労働者等)に関する確認書(様式第17号)」を廃止し、「職業訓練実施計画届(様式第1-1号)」の様式内の記載事項に統合
専用用紙の記載事項を他の用紙に組み込んで統合しただけである。様式17号はこの用紙どう書くんだ?と突っ込みたくなるような用紙だった。対象労働者が有期労働者等(この”等”は正規労働者以外の無期雇用労働者を指す)である場合は計画届の2面(裏面)に記載欄が追加された。計画時に未記入や記入間違いをすると経費の助成率が変わってくるかもしれない。
定期的なキャリアコンサルティングの書類の提出が不要に
これも書類の提出が減った。提出しなくていいだけであって、作成不要、ではない。多分、提出不要な他のコースとの整合性を取ったのかな、と思う。
特定の訓練機関*1が実施する場合の書類の省略
「実訓練時間数の8割以上の受講」の要件を満たしたこととみなす。
「訓練で使用した教材の目次の写し」の提出が不要。
受講したかどうかの確認事項としての書類の確認の省力化。公共の訓練機関などは裏を返せば、嘘を記入していても調べればわかるからなのかもしれない。
令和6年3月創設の「団体等検定」の受検料等が助成対象に
受検料は対象になったようである。尚、受験料ではない。受験料が対象になるのは「事業展開等リスキリング」コースと、「高度デジタル訓練」コースぐらい。
3つの区分の違い
各コースについて、概略はさきほど書いたのでここではちょっと踏み込んでみていく。
人材育成訓練
雇用保険被保険者に対する業務命令でのOff-JTのみの訓練が対象。人材開発支援助成金はこれが基本。あとのコースなどは以下の6点のどれかに該当する場合、他のコースになる、もしくはなりうる。
- OJT
- 有給休暇中の訓練
- 労働者の自発的な訓練
- 定額制訓練
- 新規事業展開
- デジタル化、情報技術、DX、カーボンニュートラルに関する訓練
なお、6は「事業展開等リスキリング」コースに該当する訓練であるが、【人材育成訓練】でも対象者の職務に直接関連があるのならば対応可能である。どちらも該当するのならば、期間限定で助成率アップなどして政策誘導している【事業展開等リスキリング】コースの方がよいだろう。
認定実習併用職業訓練
OJTとOff-JTとを組み合わせた訓練で、15歳以上45歳未満までを対象にした職業訓練。計画届とは別に厚生労働大臣の認定を受けるという行程が必要。
さてこの訓練、ガイドブックに1月~3月に集中する、と書いてある。要するにこの訓練は毎年4月の学校を卒業したばかりの新入社員用の訓練のようなものだと思えばいい。(1枚のリーフレットには新入社員用と明記されている。尚、支給要領上、4月の新入社員に限ったものではないので、年齢が合致すれば利用しようと思えば利用できる。)
実習併用職業訓練の手続きはかなり面倒くさい。OJTはかなり面倒であるのに一律20万円。しかもOff-JTは事業外訓練のみで、事業内訓練は「認定職業訓練」以外は認められない。訓練時間もOJTとOFF-JTの割合が決まっていて、かつ、時間も枠がある。正直、この訓練を利用するほどメリットはあるのか?と思うが、会社独自の新入社員用の訓練は人材育成訓練では一部を除き対象外になってしまう(共通スキル要件に該当してしまう)ので、新入社員としてビジネスパーソン共通の基礎的な知識を習得させたいのならば、この訓練になるだろう。
※詳細は、別記事にて。
有期実習型訓練
OJTとOff-JTを組み合わせた訓練だが、こちらは有期契約労働者等が正規雇用労働者等に転換することを目指すための訓練であり、令和4年の「特別育成訓練コース」の「有期型訓練」がほぼそのまま移行されたもの。ほぼというのは今までと若干違う箇所があり、その一例として訓練実施期間の上限がなくなっている。
また上記の「認定実習併用職業訓練」と似通っているが、訓練の目的も内容も結構違う。
また、①対象労働者を既に雇用しているか(キャリアアップ型)、②これから新たに雇い入れるか(基本型)かで、ジョブカード、キャリアコンサルティングの実施が計画届の提出より先か後かという手続きに違いがある。この有期実習型訓練終了後2カ月以内に正規雇用労働者にすれば、支給対象となる。
この区分とキャリアアップ助成金の正社員化コースとをあわせて申請するとかなりの助成金額になるので、大抵の場合はキャリアアップ助成金の正社員化コースも計画・申請するところが多いだろう。
だが、キャリアアップ助成金の正社員化コースの上乗せはこの【有期実習型訓練】に限ったものでなくなったため、今そのメリットは薄らいでいる。
なお、新卒で入社する際に有期契約労働者”等”で雇ってこの訓練をさせた後正社員にする場合については要注意である。
学校を卒業したばかりの”子ども”を不安定な”非正規”で雇用するのは、助成金目当てに学卒の雇用形態を不安定にさせる行為、または、有期雇用労働者と偽っている、つまり不正行為ではないかと目を光らせているのではないか、と推測している。
ちなみに私は新卒者は有期型実習訓練の対象外にすべきだと思っている。これはキャリアアップ助成金の正社員化コースも同様。
尚、YouTube動画をみると社労士の一部がこのコースをお勧めしているようだが、なぜ無料動画を作成するのか考えるとわかりやすい。キャリアアップ助成金に繋がるのは稼げるから。個人的には不正を疑われるのは嫌なので、おススメしない訓練。新入社員が毎年大量に入社し、正社員になっても1年ぐらいで大量に辞めていく会社は…アリかも。
※その他の情報は下記記事を参照
人材育成訓練の特徴
続いて、このコースの中身について特徴的なところをいくつかピックアップする。
①事業内職業能力開発計画
【職業能力開発促進法】という法律があって、その法律に基づいた労働者の職業能力開発に取り組む「事業主等」を支援することを目的として人材開発支援助成金が設けられているそうだ。この法律がベースなので、ガイドブックで【事業内職業能力開発計画】に結構なページ数を割いているが、令和6年度改正で計画届の添付書類から省略された。
令和6年度からは助成金の計画届を提出する際は計画届にチェックマークをつけて【職業能力開発推進者】と【労働者代表】を書くだけになった。まあ、【事業展開等リスキリング】コースではこの書類は令和4年12月の創設以来提出不要だったので歩調を合わせたのだろう。
本当に実地調査で調べられた時に備えて書類自体は作っておいておいた方がいいだろうが、ガイドブックでここが分からないからといってあきらめずに、他のページから見て行った方がいい。
②助成率(Off-JT(賃金助成・経費助成)、OJT)
説明をできるだけわかりやすくするため「賃金要件」の加算は省略する。
あと、賃金助成、経費助成はOff-JT訓練のみであり、OJTは一律固定金額の助成である。
賃金助成
中小企業の場合、1時間あたり760円(大企業は380円)。上限1200時間。(認定実習訓練の場合は1600時間)。Eラーニング、通信制の場合は助成されない。同時双方向の通信訓練は通学制と同じ扱いなので支給される。
経費助成
訓練対象の労働者の待遇によって異なる。
- 正規雇用労働者…45%(大企業は30%)
- 有期契約労働者、無期契約労働者…60%
- 有期契約労働者、無期雇用労働者を正規雇用労働者へ転換…70%
- 有期雇用労働者等を正社員化して賃金要件も達成…70%+30%=100%
なぜ有期契約労働者などのほうが助成率が高いのかというと、非正規雇用労働者に処遇改善につながる訓練を受けさせてスキルを持たせて正社員になってもらい、賃金をアップさせる、という政府の政策誘導だからだろう。
ちなみに経費助成も上限がある。”実”訓練時間数によって上限があるので詳細はガイドブックにて。
OJT(固定)
1回あたり認定実習は20万円(大企業11万円)、有期実習型訓練は10万円(大企業9万円)。OJTは令和4年度から1時間あたり〇円でなく、固定額になった。
申請回数の限度
1年あたり、1労働者あたり、3回まで。この1年間は支給申請日基準で4月1日~翌年3月31日の間。なお【有期実習型訓練】はその仕組み上、1回までである。正社員転換すれば、もう1回申請するなど普通はありえない。もう1回、有期契約社員にしてもう1回正社員にして、という行為をしてそれで助成金を受けようとする会社があるとは思えないが、世の中にはルールに書いていないからと言って、平気でそういうことをする人間がいるので、念のため書いてあるのだろう。
尚、1年あたりというのが計画届提出日基準でないこと、1労働者あたりであって1事業所あたりでないこと、各コースの申請回数が合算されないことに注意。
あと、1事業所あたりの上限金額もある。
③通信制、Eラーニングの違いと注意事項
通信制とEラーニングでは要件が異なる。計画届の添付書類も異なり、通信制の場合は、計画届に別途専用の用紙がある。”オンライン”研修という名目だったとしても、どちらに当てはまるのか、はたまた「同時双方向の通信訓練」なのかは確認が必要。
ちなみにどう違うかをザックリいうと、
通信制…添削課題があり、支給申請時に添削課題の写しを提出する。1回でも提出しなかった場合はアウトになる可能性がある。
Eラーニング…LMSという機能など学習の進捗状況がわかるシステムを導入する必要がある。計画時にパンフレットなどで進捗管理がわかるシステムが導入されていることが明記されていること、そして支給申請時に、いつ受講したか、進捗管理をしています、という書類が必要になる。
ガイドブックのイラストから通信制は紙の添削課題を郵送でおくるという進研ゼミの「赤ペン先生」のようなイメージを持ってしまうが、今の世の中、別に紙や郵送でなくても、インターネットを介した添削課題の送信でも「通信制」に該当する。
なお、令和6年度のガイドブックには「自席でも隙間時間に受講できます」という趣旨は書いていないが、ホームページ上にある「事業主向けQ&A」では自席でも自宅でも受講してよいと読み取れた。
訓練実施場所も変更届が必要になったこともあり、Eラーニングと通信制は、例えば社内ならばどこでも受講可能なのか、それとも見取図つきで通常の事業場所と違う場所で受講しないといけなくなったのか、この辺はホームページの「事業主向けQ&A」が令和5年度版のままであることから、まだよくわからない点が多い。矛盾点も多く、私の勘違いかもしれない、と今は疑っているぐらいだ。
④ 見取図
ガイドブック 45ページの計画届の必要な提出書類6「OFF-JTの実施内容等を確認するための書類」に下記の注意書きがある。以下、引用。
注:OFF-JTの実施場所が自社内の場合(認定職業訓練を除く。)、通常の事業活動と区別して実施することが確認できる見取図についても提出してください。
要するに、Off-JTの訓練をする場合は、通常の事業活動、つまり普段の仕事と区別していることが確認できる【見取図】を提出するよう要求しているのである。
この書類が曲者。助成金というのは共通要領で【実地調査】(不正調査ではない)という項目が設けられており、実際に労働局の職員が尋ねてくることがある。それを受け入れることが支給要件でもあることから、実際訪ねてきた場合はその調査を受け入れなければならない。そして、その際にこの【見取図】が重要になってくる。その【見取図】の場所で訓練を受講しますよと計画している以上、調査を受けた際にその場所で訓練していないことが目撃されると、少なくともその日の訓練はアウトになる可能性がある、ということである。仕事場に受講者がいて「なんですか、その訓練?」とでも発言した場合は…。
なお、認定職業訓練が除かれるのは、認定職業訓練の”認定”が各都道府県知事の認定によるものであるから、それを否定するのは、と推測する。但し、併給という同じような助成金、補助金を貰っている場合は片方しか貰えない場合があるのに注意。
ちなみにこの【見取図】、他のコースのガイドブックでは記載がない。つまり提出不要。
なぜ同じ訓練でもコースによって提出したりしなかったりするのか調べたところ、どうも令和4年度まであった【特別育成訓練】(有期雇用労働者用のコース)というコースで見取図が必要だったのを確認した。それが令和5年度に【人材育成支援コース】に統合されたため、見取り図も引き継いだのではないか、と推測している。
最後に(私見)
人材開発支援助成金は「人材育成訓練」が中心
このコースの中の【人材育成訓練】は勉強すればするほど実は他のコースよりアリなのではないかと思っている。
令和4年度から始まった期間限定の「人への投資促進コース」や「事業展開等リスキリングコース」の高い助成率に目につきやすいが、訓練内容が限定されない分、色々な会社で利用できるからである。
こんな訓練はやめとけ
どんな専門知識や技能が身につくのかイメージしにくい、自己啓発のようなものを訓練として計画、申請するのは避けたほうがいい。
私も若いころ、なんとかマインドとか、管理職、経営者視点とか”成長戦略”とかいう、〇〇コンサルタントが行う意識改革系を会社の研修で強制的に受講させられた。それが、その後の仕事に役立ったかというと…私の記憶では、コンサルタントが偉そうで、和製英語と日本語を混ぜたルー大〇氏のような言語で、偏見と成功?体験から来る武勇伝、自慢話を聞かされて、くだらない話と思ったぐらいである。正直、金と時間の無駄。うちの人事部の研修部門はこの話を聞かせて仕事に活かせると思っているのか?と思ったぐらいだ。それを雇用保険料で助成させようとするとは…。まあ、全ての講座が私が同じものだと言えないので全部おかしいという気はないが、共通で必要となるスキル、というならともかく「職業又は職務に関する知識・技能の習得を目的としていないもの」、つまり、仕事で使える知識や技能を習得できない訓練と国からいわれて不支給になったら、研修担当者の面目は丸つぶれである。
ただし、仕事への意欲や、メンタル的なものが仕事に役立たないとは思っていない。ただ意識というのは本人のやる気次第だし、やる気がある奴は会社から言われなくても自分で勉強する。それに尊敬できる職場の上司や先輩の仕事ぶりを真似るほうがはるかに有意義。だから会社が業務命令で行う講習などほとんど意味がない。以上、私の偏見だが、実際、助成対象外訓練になりうる訓練も多いのは私と同じように厚生労働省の人も思っているからであろう。
ではどんな訓練をするときにこの助成金が活用するのが良いか
助成金を貰おうとするのであれば、国が法令で決めている実習、免許、国や地方自治体からお墨付きを与えられた訓練を受けるのが一番である。
なんせ国等が決めた訓練は国が認める時にどんな訓練をするか把握されているだろうから、それらの訓練が専門知識や技能が習得できない訓練とはよもや言うまい(笑)(職務に関連しない場合は除く)。
といっても安衛法が規定する特別教育などは対象外になったりするケースもあるし、免許といっても普通自動車免許は対象外で、国などがやる実習全てが訓練対象になるわけではないから注意。
結局、今年も9000字を超えた長文となった。また見直して文字数を減らすよう修正するつもりである。