けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

有期契約社員の更新基準:「成果」「失敗率」「上司に忠実」「年齢」「協調性」さてどれだ?

私の職場では非正規雇用が多い。非正規雇用はみな4月から3月末までの1年契約である。年度途中の採用でも3月末で全員契約満了。

さて今の職場の非正規の在籍期間を見てみるとだいたい10年か、3年前後に集中する。その理由は入社時期がリーマンショックの頃とコロナウイルス禍中にある。この時期は正社員求人がかなり少なかった。この際非正規雇用でも仕方ないと、当社に入社して、今のままいるのが在籍約10年の人である。この10年以上と3年前の間である、在籍4年~9年前に非正規雇用されて今でも在籍している人はあまりいない。この間に正規雇用の会社はいくらでもあったので、正社員求人も正社員転換制度もない当社は選択肢に入りにくいだろう、そしてこの間に他の正規雇用に転職した人も多い。

年齢別でみると、男性は60歳以上が大半を占める。これは定年した後の再就職先として非正規でもある当社を選んだのであろう。過去の記事にも書いたが、過去の経験を採用基準にすると年齢が高くなりがちである。女性も40、50代が多い。これも子育てと、親の介護がひと段落して再就職した人が多いからだろう。

ちなみに非正規雇用でも時給単価にすると結構この地方では高い部類に入る。中途採用者にとっては他と中小地元企業と比較しても求職票を見る限りは給料面で遜色はないと思う。

というわけで、今年度はコロナ禍がほぼ収束したといえるので、会社も正社員を再び雇い始めるだろう。そうなると、非正規雇用の人ははじき出される。何人かは今年度末で雇止めになるだろう。ただいきなり全員契約満了すると会社が回らないので何人かは残る。10年前も非正規の新規募集を抑えつつ、人数を減らした。10年選手はその生き残りである。

前置きはここまでにして、本題に移る。非正規雇用の更新をするかしないかの基準は何を重視するか?尚、今の職場は営業の部署ではない。つまり、売上という目に見える成果がわかる部署ではない。まあ1年契約の非正規雇用だと成果もへったくれもないが。人事の評価基準は言葉ではあるが、数字では明確にしていない。

人が急に不足した場合は補充し、その後余ったら切る。その調整弁として使われるのが非正規である。途中で切るための非正規。昇進するのは正社員だけなので、管理職の能力を期待されていない。そういうと絶望感が漂うかもしれないが、わが社の非正規はパートタイム、つまり労働時間が短い。60歳以上の男性は今更フルタイムで働きたくない人も多く、年金が始まる前、または年金の足しには短時間労働は持って来いであり、女性は仕事よりも重要視していることがあったりする人が多いので、パートタイムのほうを希望する人は多い。

問題は無期雇用でないこと。会社の都合上、有期雇用契約なのである。

非正規労働者の中でも、自主退職者の数が会社の予定契約人数より少ない場合は誰かの契約を打ち切られるだろうというのは共通認識。ではどんな基準で契約満了にするかと、多くの人が予想している。何人かの意見聞いたのでここでその基準を披露したい。

1 数値

 普通はこの基準だと思う。当社では営業でなくても、非正規にも「目標数値」はある。だが、10年選手曰く、うちの会社は「目標数値」の達成度は更新の基準にしていないと主張している。非正規の一人一人の数値を「管理」していないからで、以下の2と3を守るほうを優先していて、その結果、消極的で、機転の利かない、大人しく、忠犬ばかりになったと、陰口を叩かれたりしている。

2 失敗しないこと

 1の逆。失敗しないことを重視する。世の中チャレンジせよ、失敗を恐れるなというが、それがすべての職業に当てはまるわけではない。挑戦すればするほど、仕事をすればするほど、失敗する確率はあがる。機転を利かせたつもりでも、正社員からは非正規の権限を逸脱した行為と解釈されるリスクもある。それを防ぐためには、主体性をもって動かないこと、量を増やして失敗するより、失敗しないよう念入りに時間をかけて仕事をすることを重視する。そうすると失敗は少なくなる。

だが、世の中、失敗しないことを重視しても、納期、締め切りに間に合わせるという基準も勿論ある。だからあまり失敗を恐れていると締切に間に合わないという場合もあるのだが。

失敗の少なさが評価基準だとしたら、挑戦せず与えられた任務だけする、失敗しないようリスクのある仕事を避けることが最優先になる。法定速度どおりに忠実に運転するといったらいいだろうか。後ろでいくら渋滞を生んでも、目的地に時間通りに到着しなくてもいいという考えである。わざと速度をおとしているわけではないので落ち度ではない、つまり、更新打ち切りの理由を自ら作らないという考えである。実に消極的だが、今の日本の解雇制度と非正規に対する役割から考えると、業績悪化でない限りはこの方針は失業者にならないための合理的な考えともいえる。

当社はそういえば頗る仕事量が少なく存在感のない非正規が多い気がしている。

3 上司に忠実(逆らわない)

 1の逆。挑戦しようとすれば上司と衝突する場面が増える。やる気のない、極力仕事をしないでおきたい正社員が上司であれば特に。上に逆らわない、というのはいつの時代でも生き残るための術である。10年選手は、この2と3がうちの会社の基準であると主張している。

4 年齢

 60歳以上の定年後の再就職で来た人達が主張する基準である。なぜかというと、もうすぐ年金が手に入るし、子どもは成人していて扶養家族がいても配偶者だけだし、50代より若い人が無職になったら生活や子供の進学に影響する人がいるから、その年代の雇用の維持を優先する、という考えである。また、年を重ねるにつれて作業量も速度も落ちてくるし、融通も利かなくなる。また年下の正社員にとって年上の部下は使いづらい。経験よりも正社員にとっての使いやすさを優先する。”年功序列”の弊害ともいえるが、この体制を気づいた日本ならではの考えであり、60歳以上のかなりの人はそのサラリーマン生活の殆どを年功序列の中で過ごし定年を迎えている。

5 協調性

チームプレイへの貢献度である。個人プレイの営業であっても、チームプレイへの貢献は求めれるものである。非正規雇用労働者には特に求められているだろうが、現実問題、非正規の働きぶりをそこまで綿密に観察している人がいるかというと疑問。どちらかというと急な休みでシフトに穴をあけない、機転の利く、安定して使いやすい人ともいえる。ただこの基準、大抵の場合、特定の誰かが目立つ傾向にある。働きアリの法則に近いというか、組織の全体の2割ぐらいがよく働く傾向になってしまう。2:6:2の法則。つまり、働かない2割を切っていくという話である。

補足

成果は数値を基準とすべきだが、実際問題1年契約の非正規に関して言えばそう簡単ではなく、わかりづらい場合が多い。営業ならば売上、新商品開発ならば開発したものなどわかりやすいかもしれないが、量や精度だけをとりあげると、簡単で時間のかからない仕事を選り好みすればいいと考える人間が出てくる。そうなると、挑戦的でリスクが高く、時間がかかる仕事は敬遠される。チャレンジしな会社はいずれ滅ぶだろうだが、非正規社員にとってみれば、中長期で在籍することもないので、仕事を失うかどうかのほうが重要である。それにチャレンジすることは上司や前任者のメンツをつぶしたりする。

そもそも非正規と言うのは一時的な対応か、補助業務か、誰がやっても同じか、特定の人が抜けても困らない仕事だから非正規をあてがっている。非正規が抜けて困るような会社組織はそもそもその労務管理の体制が問われる。

結論

長くなったが、以上5つの基準。自主退社が多い場合を除いて、2月末頃(契約更新しない場合は1か月前に通達するものである)に更新理由がわかったらまた記事にしたい。

ちなみに私の予想は協調性が”ない”人を最初にはじき出して、次に年齢だと思う。非正規雇用なんてそんなものである。数値を求めるのならば、非正規でなく正社員か、もしくは高度な専門職として高給取りの人だけだろう。

結果発表(途中)

殆ど読まれていないこの記事だが、せっかくだから結果発表をしてみたい。といっても最終的には3月末で確定なので途中結果になるが、雇用契約が1年以上を超えた場合の契約満了の場合は1か月前には通告されるのが望ましい。よって、どうやら通知された人がちらほらいるとのこと。その噂を受けての感想。

それは、「そんな基準など公表されない」である。当たり前だが、上記のとおり色々な基準が噂されるということは、権限のある人事の人間以外にはわからない。自分で辞めるという人もいれば、異動する人もいるし、異動を断る人もいる。当の本人も人事からクビにされたのか、自分から辞めたのかは他人にはわからない。当たり前だが「年齢」で区切れば間違いなく、高年齢の人のモチベーションは下がる。そんなアホなことをする時は毎年はしないリストラする時ぐらいである。

2か月前ぐらいから噂が飛び交ったが、結局のところ、笑えるぐらい噂と殆ど一致しなかった。20数年会社で働いているが、人事で事前に飛び交う噂など本当にあてにならない、所詮休み時間の話のネタでしかない。また、たまに当たっている場合もあるが、誰でも予想さいたら一つぐらいは当たる。

そんな噂話レベルがちょっと精度が上がったくらいの情報だが、ふたを開けてみたらその基準どころではなく、会社単位で異動による調整で対応していた。つまり殆どクビを切らなかった。異動を断った人を更新しなかったぐらいで終了である。上記は全くのハズレであった。そんなもんである。

結果発表

さて2月末が過ぎて結果がわかったので、折角なので記録に残したい。前置きとして
・上記のようにリストラをする話がでてくると、転職活動をする人がでてくる。その結果、他社でも使えるような優秀か、若手か、人脈のある人材がまず転職し自己都合退職した。結果的に以下のリストラ結果はその後の消去法といっていい。
・人事の決定権を持つ人が基準の情報を開示するはずがない。もし開示したらみなその基準ばかりで動いて組織が回らなくなる。
・非正規は口頭で発言するのはバカのすることだが、所詮は「コマ」である事実は変わらない。よって、会社の業績や、今後の部署ごとの人員配分や部署の方針によって大きく左右される。
・パートは自己都合での退職も多い。その結果、本来更新つもりでなかった人も更新される場合がある。

以上、繰り返し前置き。途中経過ではクビにならなかったと書いたが、実際のところかなりの退職者であった。勿論、自己都合かクビかは本人談なので本当か嘘かはわからないが、ここでは本人談どおりとして、私の直感による基準。

答えは3「上司に忠実」かどうかである。

といっても会社の犬、ぐらい忠実という意味ではなくて、「自分の業務範囲が変わることを断り、自分のやり方に固執し、同僚に非協力的で、組織の円滑な運営に協力しない、酷い場合は運営に支障をきたす人間」をまず排除対象である。当たり前だが、そういう人間は排除しないと組織が機能しない。非正規というのはあくまで穴埋め。あくまで今不足しているところを補充する役割。どうやら自分は能力や成果をあげているからと天狗になった人間、同僚に悪影響を与え、退職させてしまう人間、表立って盾突く人間は排除される、ということだと思った。面従腹背の人間の方がまだ残る。

その次に「サボる人間」。上に書いていないが、特に長時間サボっていたり、雑談が長い人間が排除対象だった。意外と上司というのは「サボり」を見ているものである。

その次に、雑用がメインの人。仕方がないが、人数減らしの時はこれらの人のクビが着られる。

そしてこの3つでもって人数削減は終了した。能力不足の人間、高年齢、失敗の多い人間でも真面目に働いていては対象にならなかった。これらの基準のみでは正社員だったらクビはきれない。異動がせいぜいだ。

つまり、事前の予想や噂は全くの的外れだった。上司に逆らう=指示命令に従わない、サボる=職放棄、という就業規則に違反し、つまりトラブルになっても対外的に説明できるようなわかりやすい基準だった。

クビになりたくなかったら、就業規則を見て違反行為に該当することをしないようにしましょう、というお話。尚、業績不振による店舗閉鎖、事業撤退の場合は当然除く。

あとこれは強調したい。リストラしようとすると、まず残したいと思う人材は先んじて見限って転職する。今のご時世優秀な人材はいくらでも就職先はある。その結果残るのは無能か使いずらい高齢者。一部の人気企業を除き会社側は選ぶ側ではない。優秀か普通な人材から選ばれる側である。勘違いしないように。