けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

雇用調整助成金の私見④ X(旧Twitter)を見て

何回か記事にあげた雇用調整助成金私見。一応大きな変更点は網羅したかと思う。

さて今日はちょっと外れた話。今回の記事作成にあたり、Xで検索をかけてみて調べていた。

…Xはエゴサするものではない。相変わらず、某芸能人を雇用調整助成金の不正受給をしたと非難しているなあ、犯罪者と決めつけるのは法的に問題があるのでは?と思いつつ、とある意見が目に入った。

それは休業した場合に助成金を支給するのではなく、赤字だとしても仕事をさせている事業主に対して労働者の賃金を補填すべきではないか、という意見だった。

気持ちはわかる。私もコロナ禍中に休業手当をもらったことは一度もないし、ましては仕事を休んでいる時に賃金を100%保障してもらえるという夢のような待遇を受けてみたかった。労働者の誰が好きこのんでコロナに感染するリスクを負って、休業手当より少ない金額で働きたいか。私だけではなく、コロナ禍の中で働いていた人にも国は報いてほしい、という感情は痛いほどわかる。

ただもし、それを実行したらどうだろうか。

仕事をしている人の賃金を国が補償するのは資本主義ではなく、共産主義なのではないか。赤字の会社だからと言って補填していたら誰も黒字にしない。決算をいじる。法人税がなくなる。それは雇用調整助成金以外だとしても現実的ではない。勿論実質的な賃金負担のような補助金助成金はあるが(お金に色がつかないので)賃金の補填、補償という名目では実際に支払われない。

仕事をしている人の賃金に対し雇用調整助成金を実際申請し、仮に受給でもしていたら【不正受給】である。

そういえば聞いた話がある。コロナ禍で失業中の人を見かねた経営者がその人を雇い、すぐに全休にして休業手当を満額支払い、100%保障させていた、という話である。これが本当だったら不正受給になるか?勿論私は警察でも法律家でもないので判定はできない。だが、それはどうかと思う。実際日給15,000円を貰える人はどれくらいいるだろうか?ざっと計算して150,000円×22日=月給330,000円である。その金額を貰える人は日本全国でどれだけいるだろうか?

そういうことが本当にあったから、能登半島地震の特例ができても日給15,000円にも助成率100%にもならないのではないか。あくまで上限の基準額は失業手当の最高額がベース。仕事をしていないのは失業中の人と同じなのだから、助成金の方が受け取る金額が増えるというのはちょっとおかしい。それを約2年以上(コロナ特例は約3年間だが上限15000円、助成率100%だったのは2年ちょっと)もらえるのもおかしい。失業保険ならば、自己都合ならばそれが3か月間ぐらい(被保険者の期間や会社都合などで期間は変わる)である。

こんな制度があればあえて無理して労働しない。労働者は会社に休業するよう迫る。働かずして金銭を得られるのならば、ほとんどの人は働かない方を選ぶ。遊んで暮らせる。

そういうことがあるから、コロナ特例後は今回のような提出書類が増え、教育訓練をしないと助成率が大幅に下がるようにしてしまったのではないか。

何回か助成金に関して記事をあげているが、正直ほとんどの助成金は不要と思っている。その金額分、雇用保険料や税金を下げるべきだと思っている。ただ私の考えが絶対正しいと思うほど己惚れていない。あくまでこの助成金は予算審議を経て国の予算として決まっている。雇用保険料の使い道も法令に基づく。その審議をして決定しているのは国民が選んだ国会議員である。民主主義をとる以上、それに従うよりほかはない。だとしたら自分ができることは何か?その制度を利用して最大限助成金補助金、税金控除を駆使して自社の利益に貢献するのが民間企業ができることである。

次回は、人材開発支援助成金の記事を挙げるつもりである。人材開発支援助成金は1年前、2年前と比較して今年度はそれほど変わっていないが、変わらなかった分ガイドブックがわかりやすくなり理解はすすんだので、1年ぶりに同じようなものを記事にしたいと思う。