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雇用関係助成金の私見㉒ あまり触れる気のない助成金について

さて令和6年度の改正が出揃ってきたので、記事を書き始めている。

その前に言っておきたいのだが、私は「キャリアアップ助成金」「業務改善助成金」「両立支援助成金」については触れないつもりである。以下、その理由について。

「キャリアアップ助成金

令和5年度の補正予算にて正社員化コースの金額が大幅拡充になった。なんと2回払いにして有期契約者からの転換の場合1人あたり80万円(中小企業の場合)である。半年前までは57万円だったのを考えると大幅増額である。それに加算額を加えると100万円も可能である。正直、理解しがたい。ア〇マがおかしい。

「キャリアアップ助成金」については何度か記事にしているだが、アクセス件数は殆どない。インターネットを見る方は目先の金に目がくらんでいない証拠だと私は思っている。会社の人事・賃金制度にこの制度が該当しなければ、適応しなければ、そうそう利用しない助成金だからである。

昔はともかく、令和4年10月以降かなり要件が厳しくなったのはあいかわず。この厳しい要件に会社の制度をあわせるのか、というところも吟味する材料。不支給になってもよいとか、たまたまそういう機会がある会社以外はおススメしない。これについては、YouTube動画の煽りよりも、Xでつぶやいている社労士の方々とかの意見を見てみると参考になると思う。助成金を営業の中心としている社労士以外はおススメしていないと思う。助成金が高額になると成功報酬の社労士にとってはおいしいからね。

偏見だが、高額な助成金ほど、公金チューチューを狙う怪しい輩が寄ってくるので警戒した方がよいと思った方がいいと思っている。お金が集まるところに怪しい、甘い誘いが寄ってくるのは別に助成金に限ったことではない。某通訳に近づいたブックメーカーのように。勿論、コロナ禍の休業要請に基づく最初の頃のコロナ特例の雇用調整助成金など会社や労働者にとっては生き残るために必要な場合もあるので絶対ではないが、あれも約3年間全休を続けているようだとどうなのか?という意味では同じである。

「年金の壁」パッケージについては、厚生労働省が厚生年金保険料獲得のために複数の案を検討していることが報道されていて、その案の中には労働者全員厚生年金加入という案もあるそうだ。急にそんなことはしないと思うが、少子高齢化対応のためにさらなる手を打ってくることはどの会社も想定の範囲内だと思う。今焦ってこのわけのわからない制度にする必要性は殆どの会社ではないだろう。

よって記事にする(調べる)必要性は現時点では感じられないので、会社の幹部が利用したいと言い出さない限りは、また改正でもない限りはこの助成金については触れないつもり。

なお、私はパート、アルバイト、派遣労働者として自社に来た方で、この人はうちの会社に残ってほしい、そのためには正社員として雇い入れたいと思う人に出会ったので、非正規雇用を正社員化するという趣旨自体は賛成だし、実際それの活用の一助になるためにこの助成金を調べた経緯がある。調べた当時は申請しようと思えばできたという記憶がある。ただ、令和4年10月の改正は本当にちょっと…。まあ、それだけ不適切な利用が多かったのだろうが、そのとばっちりでこの助成金にあわせて就業規則の文言や手当、賞与、退職金をいじるというのはちょっと違うと思っている。会社と労働者のための就業規則であってキャリアアップ助成金のための就業規則ではない。自社の現状に合わないならば就業規則・賃金規程を変にいじって後で他の労働者や労働基準監督署から違反している、といわれるのは本末転倒だと思っている。

ちなみに最大にするには”短時間正社員””職務・地域限定正社員”などの多様な正社員の導入をした倍だが、この多様な正社員の申請の難易度は最高ランクだと思う。”正社員”も柔軟な対応になったなあと思ったら大間違いである。(あくまで助成金上の話)

「業務改善助成金

これもYouTube動画ではおススメしているかのようなサムネがでてくる。だが、本当に対象になるかをよくよく検討されたい。助成金のそもそもの構成がどうなっているかを理解したい。賃金の上昇と助成金を支給する目的にあった設備投資が加わる。最低賃金が大幅に上がるタイミングでの負担増に苦しむ会社の負担を軽減する助成金を作っていますよ~という政府のアピールのための助成金だと私は思っている。賃金上昇させるための政策誘導。設備投資の負担軽減のための助成金というわけでなく、賃金上昇の補填を設備投資に充てているといった方が正解のような気がする。車とかパソコンの購入補助金のようなことを言っている人を見かけたが、この助成金も見るたびに中身が良く変わる印象がある。申請時点で本当に自社が対象なのか、購入する車やパソコンが対象なのか、調べてみてほしい。

私はこの助成金最低賃金上昇のタイミングにあわせて、使えるところが使うものだと思っている。だからこの春のタイミングでは触れない。

「両立支援等助成金

どうも介護休業とかの助成金額アップしたと聞いて調べていたが、どこかの都道府県で不適切利用に対し注意喚起をしているらしいことを聞いた。【不正受給】に繋がるのなら、素人が迂闊なことは記事にしないほうがいいと思っている。

余談(最後に)

そういえば、上記の3つは雇用環境・均等室が担当のようだ。(都道府県によっては別部署のところもある。)雇用環境・均等室を目の敵にしているわけではない。もしかしたら、ここが国として今、最推しだからこそ助成金額が高いのかもしれない。