けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

ガマンして生きるほど人生長くない 書評と個人的な話

「ガマンして生きるほど人生長くない」という本がある。タイトル通りの内容だが、この本のテーマは「ボーダーライン」である。生きるために、自分の尊厳を守るために、他人に理不尽な扱いをされないための他人と間の境界線、これをボーダーラインとこの本では呼んでいる。

この「ボーダーライン」を乗り越えてくる他人(上司、同僚、先輩など)には毅然たる対応をとるべきであるというのが著者の意見である。

前回の記事で、怒りを抑えきれなかったことを記事にした。私の中でボーダーラインを超えられた、と感じたからだ。だが、大抵の本は「怒らないこと」を薦めてくる。やれ、怒っても他人は変えられない、とか、怒っていると他人が近寄ってこなくなるとか、怒っていると人生の無駄な時間を過ごすとかで、賢い人は怒らないといい、スルーをすることを推奨する。

しかし、この著者は、「ボーダーライン」を超えた相手には怒るべきだ、と主張する数少ない精神科医だ。

世にいう「メンタル疾患」の患者というのは優等生、真面目な人、頑張る人がなりやすい、と言われている。これはある意味、我慢ができる人と同義になる。相手の気持ちや周囲を慮ることができる。しかし、その精神は抑圧される。そしてその抑圧された怒りは蓄積され心身の故障へとつながる。その結果待ち受けるのは、世の中のレールからの転落だ。気を使った人間や組織がメンタル疾患になった時になにをしてくれるか?実体験だが何もしない。「メンタル疾患患者」を人生の落伍者として嘲笑のネタにする。

怒らない、というのはいつもカリカリしているような人向けだ。また善意の第三者、価値観の異なる相手に対して自己の正義を押し付けない、という意味であって、自分の「ボーダーライン」を超えていない人間の言動に怒っても仕方のないといっているに過ぎない。

なお、この本のタイトルだけ見ると誤解しそうだが、我慢を全くしなくてよい、とはいっていない。短期的なガマンや、後で得られるメリットと一時のガマンというデメリットを比較してメリットの方が大きい時は我慢することは有効だと述べている。だが、その先にメリットがないガマンはする必要性がないとも言っている。

ちなみにこの本を読んだのは数年前だ。過去のブログで記事にしたかもしれない。だが昨日のことがあって改めて本を読んだ次第。というより、怒らないことへの反対意見をネット上で見た時に、その記事の著者がこの本の著者だと気付き読んだ次第である。

なお、本の記載の中で私の記憶違い、認識違いもあるかもしれないが、そこはご勘弁いただきたい。