巧遅は拙速に如かず

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

退職の意思を公言した労働者には、引継ぎ以外の仕事をさせないのが吉。

最初に断っておくが、タイトル及び以下の考えは私のこれまでの経験からくる私見である。

「退職する意思を公言し、退職願、退職届を提出した人に対しては、その時点で、現在進行中の仕事を継続して遂行させない。以降、引継ぎと後片付けを中心にした業務に変更し、残った退職日までは有給休暇の消化などで対応する。」

世の中には、代わりの者が採用されるまで、または1ヶ月前までに退職願を提出するよう取り決めをしているところもある。また、民法をベースに2週間前までに退職することを伝えるよう取り決めをしているところもある。

勿論、明日から急に出社しなくてよいという意味ではない。現在の業務をどこまでやっていて、どんな状況か他の人にわからない状態になってしまうのは他の労働者やお客にも迷惑をかける。残った他の労働者に過度な負担をかけさせず、またお客との取引や約束が急に途絶えてしまうことのないようにしないといけない。

つまり、引継ぎは必要である。

ただ、退職の意思を表明してから退職日までの1ヶ月または2週間の間、これまでどおり業務に従事させる、というのは辞めておいた方がいいと私は思う。

それは何故か?

理由は明白で、退職する意思を示した者の仕事の出来など、やらない方がマシなレベルだからである。

私はこれまで何人か、業務の途中までやっていたものを終わらせたと報告して退職した人間を見てきたが、実際のところ最後まで終わらせていないケースがあったり、精度が本当に酷いことになり、退職した後になってから、その仕事のやり直しや、その不始末の尻ぬぐいをする羽目になったケースが高確率で発生した。

思うに仕事というのは、後になって問題になった時に自分で尻ぬぐい、つまり責任をとらないといけないからこそ、責任感をもって仕事をするものである。転勤とか異動の場合でも、問題があれば呼び出すことはできるし、呼び出される可能性も考慮して、ある程度責任をもって仕事をする。ただし退職する場合は別。退職したら、もう関係のない人。責任を取らせることは、法律で罰せられるようなケースを除き、ありない。

責任を取る気のない人間の仕事の出来など、いない方がマシなレベルだと先ほどは言ったが、させない方がマシだった、で済めばいい方で、機密情報などを持ちさったり、重要書類をシュレッダーにかけたり、これまでのデータを消去したりする輩もいる。仕事を退職日まで続けさせたことで損害が発生する可能性がある。

だから、退職の意思を示した時点で、引継ぎと後片付けに仕事をかえた方がよい。時間が残った場合は有給休暇の消化なり、上手いこと伝えて、欠勤をさせるなり、退職日を早めたりして対処した方がよい。たまに退職者に恩義を売るかのように振る舞う上司がいるが、それは余計なことをさせないためのリスクヘッジという面もある。

どうしても人手が足りない職場の場合はどうか?

今流行のタイミーなり、一時的な時間外労働させるなりしたほうがいい。場合によってはその時はお客に怒られた方がマシだと思う。新人や1時間だけの勤務だといきなり仕事はできないかもしれないが、退職する人間はその会社、その職場、その職場の人間になんらかの恨みをもっている場合が多いから、何も知らない人間の方がマシだと私は思っている。

そもそも退職する人にこれ以上何を期待するのか?逆をいえば、自分の会社は退職という決断をせざるをえないほど追い詰めた相手にこれまで何をしてやったというのか?

極論をいえば、例えば伴侶の転勤とか、家庭の事情とか、本人の意思以外の理由の退職でなければ、退職した日以降は私物と会社が貸与したものを整理したらもう出社しなくてよい。「明日から来なくていいよ」というのは、突き放すという意味だけではなく、いらないことをさせないためでもある。引継ぎは引き継ぎ書だけでよい。お互いそれで良い。

 

以上、夏の賞与を貰ってから辞めた人間による、ありえない、故意かもしれない失態の尻ぬぐいを今日させられたことに関する愚痴でした。