けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

今の朝ドラ「舞い上がれ」は職業の価値観を揺さぶるいいドラマ(2/1)、とこの時は思った。

現在、放送している朝ドラ「舞い上がれ」は、今までの朝ドラとは違い、職業に対する価値観を揺さぶるいいテーマを題材にしていると思うんです。全回見ているわけではないので、完全に理解しているというわけではないですが、これまでの朝ドラだと、主人公は憧れの職業に就くために邁進するか、立身出世するか、夫婦で仕事をしていくテーマが多かった気がします。主人公の職業にそれほどこだわっていなかったり、職を変わったりする朝ドラは今までありましたが、今回の朝ドラは就く職業そのものについての価値観にこだわっており、今のところ、私の中では”傑作”です。
以降、ネタバレあり。

まずは、主人公。パイロットになる夢を持ち、その夢に邁進するのはこれまでの朝ドラのセオリーですが、ここから挫折をしたわけでもなく、別の理由で、パイロットの内定を断り、親の稼業ではありますが、ネジの町工場の営業、というドラマとしては地味な仕事についています。しかし、それは挫折扱いではありません。新しい夢、目標であり、前向きです。パイロット、というキラキラしたものとは異なるし、テレビ映えしない地味な仕事に就くというのも珍しい。
そして、主人公の兄。ファンドマネージャーです。父親と職業観をめぐって対立したり、ネジ工場を売却しようとする場面もあります。これまでの朝ドラだと、この兄は完全に悪役であり、改心して町工場に就職するかと思いきや、今のところファンドマネージャーを継続します。汗をかく泥臭い仕事の方に価値を与えていたのが今までの朝ドラですが、ファンドマネージャーの兄の職業自体を否定しません。ただ、父の仕事も否定しません。対立しながらも、どちらかの仕事の肩を持つこともしません。
そして、主人公の幼馴染の男性。企業を辞め、詩人になりますが、これもひと悶着はありましたが、その職業自体を否定しません。(今、また別の問題に当たりそうですが)
そして、主人公の幼馴染の女の子の父。ラグビー選手を引退した後、職を転々としています。今週その父の仕事が定職でないせいで、結婚が破談になりかけていますが、娘はこの父が無理に、一流企業の定職に就こうとすることを望んでいません。婚約者の家族の「真っ当な仕事につくことがいい」という価値観自体に反発しています。父親なりに頑張ればいいという思いを持ち、転職を繰り返すこと自体を否定しません。
そうです。これまでドラマ上、価値を与えられていない、キラキラしていない職業についていても、世間受けしない転職をしたとしても、本人の想いを重視してそのそれぞれの地味な仕事自体を否定しないんです。
こういうドラマは珍しいと思います。天才医師、刑事、科学者などなど、煌びやかで周りから尊敬されるかっこいい職業人でなくてもいいといっているんです。実に面白い。
最終的にそれぞれの仕事がどうなるかはわかりませんが、どう着地させるか興味深く見ています。

3/15追記 と上記の記事を書いた後、主人公の起業の話で、あれ?と思った人も多いかもしれません。正直、起業までの流れはちょっとファンタジーがすぎます。また、現代朝ドラの悪い面(仕事の話のネタ切れともいう)がでてきました。とても採算がとれる事業とは思えないし、デザイナーになっとるし、子育てもあるし、ヒロインと旦那の仕事で生活できるのかと思うし、仕事のパートナーの人も偉そうな態度だし、記者上がりで現実感ないし…。まあ、リーマンショックからの脱却と兄貴の話でもうネタ切れ感があるかな?リーマンショックでリストラした人を復帰させるとかまあファンタジーですし、他人のお節介、お世話を焼くのが朝ドラのヒロイン、と某古美〇弁護士が言ってたとおり、朝ドラとはそういうものです。そうでないと話が半年も持たないと身もふたもないことをいってみる。