けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

マイナンバー、DX、連環の計

マイナンバーのお話。

1 2つのいい訳

最近話題になっている某中古販売事業会社の社長の話

「不正を行っていたのは従業員の一部の修理担当である。それをマスコミは会社ぐるみで不正を行っていると煽っている」

「不正を行った従業員の刑事告訴を検討している」

某デジタルの元大臣およびお抱え記者

「紙の被保険証では〇万人の不正利用があった。マイナ保険証はこれより遥かに少ない。来年秋までの期限にしたのはマスコミにデジタル化を早くしろと煽られた結果」

「現在のエラーは保険者および地方自治体の職員および国民のヒューマンエラーが引き起こしたもので制度上の欠陥ではない」

この両者の発言はなにが違うのか。トップが責任を部下および他人に転嫁し、ミスや不正をごく一部の出来事と矮小化させようとしているのは全く同じである。これらの問題はもはや数の問題ではなく、制度自体のメリットデメリットの比較ではなく、会社、国の信用問題であるということを両方の責任者が認識していないことがよくわかる。

2 デジタルトランスフォーメーションとはなにか

デジタルトランスフォーメーションはデジタル化によって業務の変革を進めること。これは業務を担当する人の変革も含む。単にデジタル化とは違うわけで、携わる人の意識も変えていくことも必要。ではマイナ保険証を強制でデジタルトランスフォーメーションは達成するか、人の変革ができるか。今行われているのは現場の職員の業務の効率化か?ヒューマンエラーと現場職員を責めたて総点検と評してさらなる業務を現場に強いている。これは人の変革、業務の変革というのか?労働のさらなる強制、業務の悪化の間違いではないか。

3 連環の計

三国志赤壁の戦いの中で「連環の計」と策が登場する。龐統の策によって曹操の水軍(船)を鎖でつながせ、祭中に偽りの情報を流し、黄蓋による偽りの投降を実現させ、そして口蓋により曹操の水軍に火をつけたことで、鎖でつながった水軍に火が一気に燃え広がった、という一連の策である。
私はマイナンバー問題を報道で見るとき、この赤壁の戦いの「連環の計」を思い出す。無理やりマイナンバーを紐づけさせ情報を繋げさせたことで、発覚したミスの一部が一気にマイナンバー全体に広がってしまった。明らかな指揮官の失策である。

4 どうやったら落ち着くのか。

ヒューマンエラーはゼロにはできない。電車も止まるし、通信も止まる。必要なのは「信用」。エラー、障害、漏洩が起きても(起きないことに越したことはないが)事後にきちんと対処してもらえるであろうという「信用」。その「信用」を実数で話をそらしたり、「信用」を「不安」に置き換えて、国民の啓蒙が足りないとかほざいたり、メリットとデメリットを比較しても、話をすり替えても意味がない。メリットを訴えるならば、先に紙の被保険者証廃止をまず訴えなくても、メリットを感じてある程度移管させてから廃止でもよかったはず。

いそもそもエラーは発生するものと大抵の人は理解している。だからエラーが起こるという当然のことを専門家ぶって偉そうに話してもなんの解決にもならない。メリットがあることも理解している。根本原因は「信用」。

どう鎮火させるか?某実業家達が当初からいうように、反対派を無視して強行突破するのも一つの手である。支持率は地に落ちようが、選挙前までに終わらせておけば国民は忘れているであろうから。