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仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

労働基準法の私見④ 雨天による休日、終業時間変更と割増賃金

主に建設業の場合、雨の日で工事中止の場合は”休日”扱い、
または雨で中断する場合は、休憩時間として扱い、終業時間をその分延長する、という会社の話を聞いたことがないだろうか。

これについて、中止の場合のその日の給料、または就業時間が延長した場合のその時間分は割増賃金が発生するかについて調べてみた。

尚、前提として①「就業規則」で定めがある場合はその定めによるので、全ての会社に該当するとは限らないこと、②以下の賃金については「労働者」に関してであり、一人親方や委任契約の場合とは異なること、③あくまで私が調べた結果の試験アウトプットしたものであり、内容を保証できないことにも留意されたい。

Ⅰ雨で工事中止。中止日が休みとなった場合の給料

これがどうやらその休みの通告が前日になるか当日の朝になるかでかわるようである。

まず

就業規則や労働規則で定める休日が土日固定とかでなく、休みを変動することの規定がある場合は雨の日で休みにすることはできる。ザックリいうと、「振替休日」の規定で休日の変更がある場合は対応できる。(但し週1日休み確保)
②ただし、1日休みの場合は暦日であり、その日の午前0時から午後12時までの間のことを指す(始業時刻からではない)
③よって、当日朝(例えば午前8時)になって、その日を休みにすると決めても、その日はもう既に始まっているわけなので”休日”扱いとして無給にすることはできない。
④一方、前日(例えば23時)に明日を休みと決め、休日として”無給にすることは可能。
⑤③の場合は、少なくとも労働基準法上の休業手当の支払いが必要なのではないか?休業手当に関しては労働基準法に定めがあるため、それに該当するかどうかの判断になる。

これについては、複数の通達や労働基準法の定めの組み合わせによる結論である。

Ⅱ雨で工事中断。中断時間を休憩時間扱いとし、増えた休憩時間分終業時間を延長した場合の割増賃金

これについては、厚生労働省の通達がある。結論から言うと、その伸びた休憩時間以内の労働は割増賃金(1.25倍)を支払う必要はない。(1.0倍は必要)尚、就業規則等で終業時間を明記し、その時間を超えた時間に労働した場合は割増賃金を支払う、と規定していた場合は、その就業規則等の定めが優先される。

就業中の停電又は屋外労働における降雨降雪等により作業を一時中止して自由に休憩せしめ、送電又は天候の回復をまって作業を続開し、停電又は降雨、降雪で休憩せしめた時間だけ終業時刻を繰り下げた場合、その労働時間が通算して一日8時間又は週の法定労働時間以内の場合には、割増賃金の支給を要しない(22.12.26基発573、33.2.13基発90)

 

※1日勤務のところ、雨により午後が休みになった場合についてもわかり次第加筆予定。