けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

労働基準法の私見③ 1か月単位変形労働時間制

久しぶりの「労働基準法」の私見。今回は「1か月単位変形労働時間制」についてである。

尚、この記事はとりあえず今言いたいことだけをザックリと書く。後で確認、加筆、修正予定である。

1か月”固定”ではない

まずこの「1か月単位変形労働時間制」であるが、厳密に言えば「1か月以内」の変形労働時間制である。1か月という固定ではない。だから4週間×7日=28日で変形させても法令違反ではない。世の中には「4週8休」という仕組みで休みの曜日を固定せずにシフトで回す仕事もある。その場合、変形休日性の場合は4週間単位で構成せざるをえないから、1か月単位変形労働時間制も28日で構成されている場合もある。

これを1か月単位でない、間違っているといっている同僚がいたので記事にした次第。ただこの4週間ごとの変形は起点がわかりづらい(毎月〇日が起点と規定できない)ので、そこで間違っている可能性がある。

あと、だったら1週間単位でもいいのか?1週間単位変形労働時間制と被るではないか?と屁理屈を言われたが、1週間単位でも問題なかろうが、1週間単位との違いと、手間暇を考えるとあえていわずとも1か月単位変形労働時間制を導入する目的を考えればわかるだろうに。

加えると「1年単位変形労働時間制」も「1か月超1年以内」であって、1年という単位固定ではない。だから「3か月」ごとでも違法ではない。

「1か月」単位の場合、休日で難儀する場合もある。休みの配列上、働きすぎで割増時間外手当が発生する可能性があるからだ。これで割増時間外不足という計算ミスをする場合も多い。端数となる週に休日がないように設定したいところである。これを防ぐには4週28日単位の方がいいのだが、これだと起点が…。となる。なかなか思うようにはいかない。

あと1か月単位労働時間制で期間が1か月の場合で法定労働時間が40時間*1の場合、例えば31日ある月の場合の法定内総労働時間は、以下の計算になる。

40H×31日÷7日=177.14…時間

1日の労働時間が8時間固定の場合、これで注意したいのは3点

①月の労働日数が23日になっていないか?

23日×8H=184Hとなり177.14時間を超えてしまうので、割増賃金が必要となる。シフトから法定労働時間を超えている場合はシフトの組み直しではないか。毎週土日休みであっても気をつけられたい。他の月の夏季休暇、年末年始、GW、祝日休みがあるから、という抗弁は通用しない。(それがしたいなら1年単位変形労働時間制等であろう)

②177時間以内だからと言って、各労働日の労働時間を自由に変えても割増賃金は発生しないと勘違いしていないか?

1か月単位変形労働時間制は、予め”対象期間”の各労働日と労働時間を定めておく必要がある。それをオーバーし、かつ法定労働時間もオーバーした実労働時間は別途割増賃金が必要になる。1か月の総労働時間内なら働く時間を法定労働時間外を無視して任意に決められる制度ではない。

就業規則に「1か月単位変形労働時間制」を定めておけば成立すると勘違いしていないか?

先にも書いたが、予めシフト表やカレンダーなどで労働日や労働時間を指定しておく必要がある。シフト表もカレンダーもないその直前に定めていたら1か月単位変形労働時間制は成立しない。起点が月初めの1日のところで、最終週とか月の後半は未定、直前に発表とかいうシフト表を配っているところがあるが、それでは対象期間内の労働日等が不明なので、「1か月単位変形労働時間制」は成立しない。

他にも、就業規則と労働条件通知書のどちらかには記載がない場合、振替休日はどうなるか、急なシフト変更が可能かなどあるが、変形労働時間制の要件を満たさない場合、通常の週40時間制になるか、1日の労働時間に上限はないのか、などはいつになるかはわからないが、加筆するつもりである。

*1:事業所によっては週44時間でもOKのところもある