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人材開発支援助成金の私見Ⅰ 令和6年度改正 全体版

1年ぶりの人材開発支援助成金に関する私見。今月は人材開発支援助成金の変更点を中心に何度か記事にするつもり。今回は複数あるコースのうち「人材育成支援コース」について。詳細については令和5年度版で書いたので、そこからの変更点についてザックリ書いていきたい。尚「人材育成支援コース」はさらに「人材育成訓練」「認定実習併用訓練」「有期実習型訓練」の3つにわかれるのだが、共通する部分も多いので分けないことにする。

はじめに ホームページの公表が遅い!

何度も何度も書いているが、また今年も年度初めの4月1日にその年度の改正版をホームページにあげてきた。果たして対応できる会社がどれだけあるというのか?何かの某知事が「第1次産業の人は知性が低い」(どうやら県職員の知性は第1次産業の人と違って高いといったらしいが)という意味あいの発言をして辞職されるらしいが、静岡県と違って国家公務員は知性が低いのかな?さすがに4月1日に令和5年度版の計画届を提出したら却下したりしないよねえ。(まだ猶予期間の記載を見つけていない)。まあ、毎年のことだから今更言う気も失せた。

ガイドブックと提出用紙の文字が大きくなり見やすくなった

人材開発支援助成金の提出書類といえば、文字が小さくて読めない!と某CMの俳優が怒りだすようなものだったが、ガイドブックも計画届も文字が大きくなり、レイアウトも見やすくなった。特に「人材育成支援コース」は2面に大きく広がった感じでこれはわかりやすい。ガイドブックも文字も行間も大きくなり、今まで誤解していたものも読んで発見できたのでこの変更は実に良い。ガイドブックの最初の1ページ目の各コースの違いもわかりやすい。今回のガイドブック作成者(レイアウト担当者)は知性が高い。

変更点① テレワークの就業規則

ガイドブック4ページに令和6年4月1日の変更点が列挙されているのだが、そのうち6番が気になった。以下抜粋。

⑥ OFF-JTをテレワークにより自宅等で実施する場合は、企業としてテレワーク制度等を導入していることがわかる就業規則等の提出が必要となりました。 (従来OJTのみ必要であったもの)

これだけ読んでもピンとこなかった。だがガイドブックを読んでいくとどうやら23ページのEラーニングと通信制の説明が書いてあるページのなかの下記のことを指すのではないかと推測している(令和6年4月2日時点)

⚫eラーニング又は通信制によるOFF-JTを、在宅またはサテライトオフィス等において実施する場合は、テレワーク勤務の制度を、労働協約又は就業規則等で定めていること 

勝手に要約すると、Eラーニング又は通信制の訓練を在宅でする場合、つまり会社の中で行わない場合は、テレワーク勤務について”計画届提出時点で就業規則等で定めないといけなくなったのではないかと思われる。もともと、Eラーニングも通信制も”業務命令”でおこなうものであり労働時間として行うのがこの助成金のルール。(支給申請時に提出する書類に「”業務命令”で労働時間に当該訓練を実施し…」というところにチェックを付ける箇所があることから)自宅等で労働時間として訓練を行う以上は”テレワーク”に関する規定がないと労働時間なのかどうかわからない、ということであろうか。

これは衝撃であり、Eラーニング、通信制の訓練を計画しているところは支給要領も含めて確認された方がいいと思う。自宅で受講する計画の場合は特に。

変更点② 提出書類が少なくなった。

ガイドブック4ページには提出書類が省略されたと記載がある。何がなくなった、または提出不要になったかというと

・事業内職業能力開発計画【人材育成訓練、認定実習訓練】
・様式17号【人材育成訓練】
OJTの様式の統合(9-1号、9-2号→9号)【認定実習訓練、有期型実習訓練】
・教材の目次等の写し(但し、公共職業訓練等の一部の対象訓練機関のみ。また対象訓練機関の修了証等が追加された)

・職業能力開発計画は提出不要になった。(作成不要という意味ではない)

・様式17号というのは、有期契約労働者、無期契約労働者が訓練対象の場合に出す書類だったが、区分が「パート」「アルバイト」とか書いてあって、はっきり言ってどう書けばいいのかわからなかった。どうやら計画届の表紙に統合されたのだと思う。

OJTの訓練日誌もこれ作成するの面倒くさいなあというのが統合された模様。

教材等の写しは一部訓練機関については提出不要になったようだ。またこの一部訓練機関については8割以上出席したかどうかの確認さえも不要になったようだ。

以下要望。提出様式のExcelは一括ダウンロードできるようにしてほしいです、厚生労働省さん。あと赤字の注意書きを印刷するためカラー印刷したら、提出用紙が黄色が多くてカラー印刷代が…。

ガイドブック変更点① 対象外Off-JTの加筆 オンラインサロンは助成対象外

ガイドブック35ページに対象外のOff-jT訓練の一覧があるのだが、その中の⑤が以下の容器変わっている。

令和5年度版

⑤実施目的が訓練に直接関連しない内容のもの
(例)時局講演会、研究会、座談会、大会、学会、研究発表会、博覧会、見本市、見学会 等

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令和6年度版

⑤実施目的が労働者の職業能力開発直接関連しない内容のもの
(例)時局講演会、研究会、座談会、大会、学会、研究発表会、博覧会、見本市、見学会、視察旅行、ビジネス交流会、オンラインサロン

わざわざ追加したのは上記3つを訓練だと主張する事業所があったからで、この3つは今回、目的が職業能力開発ではないと厚生労働省が断言したに等しい。オンラインサロンの言葉の定義では、WEB上の訓練だとも思えるが、明示してまで否定してきたのは何か厚生労働省に意図があるのだろう。正直、オンラインサロンで有名なところを思い浮かべて、助成金を貰おうと申請する事業所が本当にあるのかと私は思うが…。WEB上とかデジタルに関係すればなんでもいい、というわけではないらしい。視察旅行…まあエッフェル塔でポーズとっている政治家がいるのに、なんでうちの場合は認められないんだ!と苦情でもあったのだろうか?

もうひとつ追加。

令和5年度版

⑦知識・技能の習得を目的としていないもの

(例)意識改革研修、モラール向上研修等

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令和6年度版

職業又は職務に関する知識・技能の習得を目的としていないもの

(例)意識改革研修、モラール向上研修等

知識・技能に関して補足のような表現がついた。しかしこれは対象外訓練の制限のようで宣言ではない。例えば労働者の意識、感情、メンタルに関するものはそれ自体【知識】もしれないが、職業・職務に関する【知識】ではないからである。

尚、基本は令和5年度版と同じなので過去の記事のリンクを貼っておきます。

 

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