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雇用開発関係助成金の私見⑳ ”激アマ”という表現を使うユーチューバーにご用心

社労士の方が最近困っているという話をまた聞きで聞いた。以下その内容。

「最近、事業主の方から、YouTubeで紹介されている”激アマ”助成金を自社でも貰いたいから手続きしてほしい、と言われて困っている関係者が多い。なぜ困っているのかというと、”激アマ”=「楽にお金が手に入る」と誤解されているから。また投稿者が、社労士や弁護士以外*1*2が多いこと、加えて”社労士”と名乗る人でもサムネで”激アマ”と煽る人もいることも問題がある。事業主がそれを真に受けて、顧問社労士に申請するよう依頼してくるから困っている。酷い場合はそんな”激アマ”情報を提供しないのはなぜかと怒ってくる」

さてYouTubeを見ると、内容がそもそも間違っているか、サムネで煽る投稿があるようだ。それに釣られる人がいる。動画を見れば”激アマ””誰でも簡単に高額の助成金が貰える”、ほとんどが助成金の紹介動画であるようだが、サムネだけで真に受ける人が多いらしい。なぜ彼らは高額の助成金を薦めるのか?それは彼らは受け取った助成金額の〇割、という率で成功報酬を受け取っているからである。彼らも商売として情報商材として動画をアップしている。また一部のユーチューバーは助成金の趣旨に反する説明をしている人もいるが、趣旨に反することをすると助成金は不支給、最悪不正受給になる。(内容はキャリアアップ助成金の記事で書いたのでこの記事では省略。)

そもそも高額の助成金があるのは事実。そしてそれを利用できれば経費が削減できるのも事実。ただ助成金はそもそも「要件を満たす」必要があり、また高額なのは「国が重点政策に沿うよう企業を誘導したい」からであって、誰でも100%に近い確率でお金がもらえる、甘い汁が吸えるという意味ではないだろう。(勿論例外もあるだろう)。例えば「業務改善助成金」の”要件”の「設備投資」に「パソコン」が含まれるからといって、パソコンを買ったら経費の一部を業務改善助成金で補填できます、という意味ではない。

かつてあった大盤振る舞い、かつスピード支給だったコロナ特例の雇用調整助成金等だって、”労働者が大量解雇されて失業者が急激に増加することで生活苦、治安悪化、社会不安、政治不信が発生するのを防ぐ”というのが目的だろうし、”甘い汁が吸える”と思って不正に手を染めているところは”不正受給”した企業として何社も報道されている。そりゃ今でも不正がバレていないだろう会社もあるだろうが、それは税金だって脱税するヤツはいるだろう。あなたは不法行為をするのか?という話だ。

激アマの定義は”甘い”汁が吸える助成金、または審査または支給要件が”甘い”助成金、のどちらかだろう。最近では能登半島地震の被災者のための特例の雇用調整助成金を”激アマ”と紹介しているサムネを見たことがある。それを見ても自分も、と思うような人は、そのユーチューバーと同じ穴のムジナだから勝手に申請すればいい。

そもそもユーチューバーはただ紹介、情報提供しているだけ。不支給、場合によっては不正受給になっても責任を取らない。実際代行した社労士は不正になったら連帯責任になる場合もある。

まあYouTubeはCMも問題ありのものもあるし、助成金に限らず、真偽不明、玉石混合、著作権違反などなんでもありだ。あくまで時間つぶし用、娯楽・趣味用だろう。それを実務にそのまま使うのはどうかと思う。だが助成金は殆どが自ら申請しない限りは貰えない。勝手にお金は振り込まれない。ホームページには紹介されているが、一部の政策推進の助成金以外は受け身ではその情報は得られない。興味があったら、”激アマ”かどうかに関わらず自分で調べたらよいだろう。そう、わたしのように、だ。(己惚れ)

尚、ここは匿名ブログだし、自分用のアウトプット用だから、内容が正しいかどうかも一切保証できない。あしからず。

*1:自社の従業員が代理人をつとめる場合は別として、他の第三者代理人となる場合、社労士または弁護士以外が代理人になると社労士法に違反する可能性が高い。意外と知られてないようだが、助成金の共通要領で規定があるのでそちらで確認されたい

*2:”税理士”とか”コンサルタント”とか”〇〇のプロ”という肩書を名乗る方を確認したところ。