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雇用調整助成金の特例が延長されるかどうか(8/23)

※11/25 前置き この記事は8月23日に書いたものであり、ご覧になっている時点の情報と異なる場合がありますので、ご注意下さい。

雇用調整助成金という助成金があります。

売上が急激に下がるなどして、仕事が減った場合に、労働者を解雇せず、休業という形で雇用を維持した場合、事業主がその休業した日の分の賃金(休業手当)を支払った場合、国が助成しますよ、という制度です。

何でも、オイルショックの時から始まった制度で、かなり歴史のある助成金です。最近はリーマンショックでも使われたとか。

雇用を維持するという目的のため、事業主のみが負担する雇用保険2事業を原資としています。(今は枯渇して、別の財源から借り入れという形で補填しているらしいです。)

雇用調整助成金の制度の説明としては、簡単に言うと上記のとおりですが、これが現在「コロナ特例」として、コロナの影響を理由に休業させた場合の賃金(正確に言えば「休業手当」)について助成しています。
この「コロナ特例」という名目で、
①この制度の申請を大幅に簡素化して、
②支給する要件を大幅に緩和して、
助成金額・助成率を大幅にアップさせて、
より労働者の失業防止に使える制度にしているわけです。

もともと、この助成金は、事前の休業の計画、雇用保険等の専門知識、勤怠管理、給与計算などなど、かなり書類が整っていないと受給が難しい助成金なのですが、コロナ禍での政治判断で、専門家でなくても申請しやすくなっています。(それでも給料計算をしたことない方には難しいでしょうが。)

で、この「特例」というのが、コロナ禍でもう2年以上続いています。
当初は、だいたい3カ月ぐらいの期間が限定された特例だったと記憶しているのですが
(最初の緊急事態宣言の前、令和2年初め頃)、何度も延長され、結果として2年以上続いています。そして、支給金額は6兆円を突破し、雇用保険が何年もかけて貯めた財源をふっとばしています。

もはや、長く続きすぎて、中毒化、マヒしています。なにせ、極端に言えば、1ヶ月間全く働かなくても給料は最大100%保証*1*2。労働者によっては、最大日給15000円×月の労働日数22日=月33万円*3ぐらいまで助成してもらえます。
 緊急事態宣言が発出された中で休業要請している時だけならいざしらず、今でもこの特例を続けているのですから、上記の金額より安い給料で働いている人も、2年近く全く働かずに給料をもらっている人も、既に働く気をなくしている人もいるのでは?

この延長の期限が、この記事を書いている令和3年8月23日時点で令和4年9月末までです。
何度も何度も延長されていますので、
①この期限がまた延長されるのか、
②「特例」をやめるのか、
③規模を段階的に縮小させるのか、
④制度をかえるのか、
注目されますが、どうするかは8月末には発表されるとのこと。

主観ですが、これまで何度も延長された理由は、何度も何度もコロナの感染爆発が起きていて、止めるという判断が難しいのと、恐らく選挙。(やめる決断をして失業率増大すれば、まずその後の選挙で政権与党は負けるかもしれません。)

しかし、今までと違い、この半年ぐらい、緊急事態宣言やまん延防止措置などの行動制限はしていません。国政選挙も3年ありません。雇用調整助成金のニュースといえば、緩和、簡素化、迅速化の副作用として発生した「不正受給」の摘発が中心です。
こうなると、おそらく、もうこの「特例」が終わる時が来たのではないかと、勘繰ります。

前段が長くなりましたが、なぜ、この助成金の長々と説明をしたのかというと、私は転職の際には、これが終わるタイミングと、終わった後どうなるか、様子を見ながら検討したいと考えていたから。

というのも、どれくらいの会社がこの助成金に支えられているのか、助成金がなくなった場合どれくらい解雇者がでるのか、全く想像ができないからです。
解雇者を出す会社は、当然人を雇う余裕はないでしょう。

どうでしょう。
雇用調整助成金がなくなった場合、「旅行業」「宿泊業」「飲食業」「旅客運送業」などは、かなり影響がでるんじゃないでしょうか?この事業自体への転職に私は興味があまりないのですが、この業界の労働者”数”はかなり多いと思います。また、非正規雇用は正社員より先に雇止めされる可能性は高いでしょうから、非正規雇用も厳しいかもしれません。

失業率は、下手をすると、リーマンショック以降最悪の数値になるかもしれません。

 

私の予想
今の総理大臣は、今の急降下している支持率で、失業率アップにつながりかねないこの助成金をやめる決断をするとは思えないので、この特例期間をまた延長する気がするのですけれども、どうなるでしょう。

追記

10/12 11/25 日本語としておかしいところを訂正しました。予想自体は変えていません。

*1:中小企業で解雇等がない場合

*2:(実際の計算は、労基法の平均賃金の60%以上あれば、色々な計算方法が使えますが、その説明だけで一つの記事を作れるぐらいなので、その計算方法は割愛します。ただ、労使の取り決め次第では、1日働いて得られたであろう賃金の100%貰えることも可能という意味でお読みください。)

*3:令和2年春から令和4年8月までの間の助成金額の最大額。労働日数は週5日勤務の場合。会社によっては週1日休みのところがありますので、その場合は最大27日(休み4日)