巧遅は拙速に如かず

仕事、自己啓発、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

面接対策:前職批判はNGではない 腕を組む人はNG

今日は中途採用面接に関する以下の3つの事柄の記事です。

退職理由が前職批判になっても絶対NGではない

実際あったTwitterのタイムラインでの会話のやり取りです。

自称「人事のプロ」A:
「面接時の退職理由の説明で、前職の悪いところを言うことはNG」

上記について現職の人事を名乗る人から、以下の反論がありました。

現職人事B:
「退職理由で前職の悪いところを話してもNGではない。なぜなら、本当の退職理由がわからない人との間にこれから信頼関係を築けないから。悪いところでもいいから”本当”の退職理由を伝えてほしい。」

現職の人事であるBの方の意見に私は同意します。

以下、私が採用面接の業務を担当していた時の経験をもとにした私の意見です。

例えば「御社の”理念”に共感したので御社に転職したい」などのような、とってつけたような、マイナス面を絶対に言わないための、”マニュアル通り”の退職理由をいう人よりも正直な退職理由を言ってくれた方がいいと私も思います。

なぜなら、マイナスなこととはいっても、退職する理由というのは、裏を返せば、求職者の人が仕事をするうえで大事にしていることがわかるからです。

また退職を決意するほどの人間関係とか仕事というのは、それぐらいいやなことがあったわけです。それを知ることで、裏を返せば、どういう人と、どういう仕事をしたくないのか、その人の人間性、道徳性、品性とかがわかるからです。

正直に話したから落ちるわけではないのです。正直に話した結果、人柄とか仕事で重視していることがわかるから、それと求めている人と一致しているかどうか検討して、一致していない、または他の人のほうがより一致しているから落選する、と考えたほうがいいわけです。

尚、絶対NGではいのであって、NGの場合もあるので、言い方とかの工夫は必要です。

具体例を挙げます。

聞き手が耳をふさぎたくなるような、怨念のこもった悪口を初対面の人(面接官)にいうような人とはあまり一緒に仕事をしたいとは思わないでしょう?

ことあるごとに過去の恨み辛みを吐き出す人とは一緒にいたいとは思わないでしょう?

だから、面接では悪口は避けたほうがいいというアドバイスも間違いではないのです。

ですが、そもそもヘッドハンティングやスカウトでもされない限り、前職の何かに問題があって転職する人が殆どだと思います。それは面接官もわかっています。

それを隠すための手段として、悪口をいわないために「理念」「社訓」「経営方針」に賛同した、という転職理由では「転職する」というリスクを考えると、無鉄砲さ、無謀さを感じてしまう場合”も”あります。または、「とってつけた理由だな、何か隠しているのかな?」という印象を持ちます。

もし本心で言っているのならば、理想主義者で嫌なことがあった場合に長続きしないタイプではないか(嫌なことが全くない仕事などない)とマイナス評価になりそうです。

面接で話す転職理由は、事実を隠すよりも、どうやって転職理由を説明するか。その説明の仕方を見ているわけです。人間性とか品性とかは、話し方、話す内容、話す時間で結構わかります。それまでの人生で培ったもので、この面接のために用意したマニュアル通りしゃべっても、バレます。

繰り返しになりますが、言い方次第で、悪口にならずに、前職でこんな問題があったこと、そこから自分のやりたいことの説明に結びつけることも可能です。その説明の仕方で、求職者の仕事で求めていること、人柄が垣間見れるからだと思います。それで落選するのならば、その会社と求職者が求めていることが一致しないのが理由だと思えば、別の会社の面接に進めばいいとポジティブに考えていいと思います。

勿論、上記の投稿から見てもわかるように「転職面接において前職批判は絶対にNG」と考えている人もいる、ということも確か。絶対NGではないが、NGの人もいるという理解は必要かと思います。だからといって「黙秘します」と言うのも困りますけれど。

実際の面接で受かる人は「なんかいい感じの人だったね」という印象をもった人です。後は、前任、前年度の影響も大きいので、例えば前任が「独善的でチームワークを乱す人」だったら、今度は「協調性が高そうな、チームプレイができそうな人間性のある人」になり、前任が「頼りなくて、主体性がなかった人」だったら、「頼りがいがありそうな、率先的に行動できる人」が採用されたりします。

そんな内容や話し方に問題があるわけではなく、単に「前職批判」しただけで、即不採用、なんて、そんなにありえますかね?

SNSで見かける「自称プロ」の転職指南について

SNSで、人事のプロ、CHROと名乗って上から目線で話をする人よりも、名前も肩書も名乗らない匿名の人事”担当者”の単なるつぶやきの方が参考になると私は思っています。

今の労働者の大半は”就活”を経験してきて、自称”プロ”のアドバイスを受けた経験があり、そのアドバイスに基づく面接での回答がマニュアル化しすぎた結果、面接での質問の回答が似たりよったりという状態に長年陥っています。

この状況を打破するために、迷走した採用担当者が「当意即妙」とか「本音」を探るという名目で、”頓智”質問をする人がでてきており、その奇抜さで”凄腕”人事担当とか、人事のプロとか名乗るようになっているようです。

掲示板をはじめとするインターネット界隈では、そういう迷走した採用担当者を”イキリ”と嘲笑のネタにされていますが、これはインターネット界隈の方の評価が正しい。単に迷走している面接官なのに、就活未経験者と就活サイトがすごい人だと高評価しているだけ。

初心者、未経験者で、しかも不安になっている人を騙すのはとても簡単。だって事実かどうか知らないのだから。反論できないのだから。それは覚えておいて損はない。

ちなみに、転職理由を「理念」とかいっている人のTwitterは、タイムラインに何度も流れてきたのですが、正直私は”イキリ”の話を聞いても仕方がないのでミュートにしました。TwitterとかSNSの変な人は、絡まずにミュートかブロックするのが精神的にも時間的にも一番だと思っています。

「理念」っていうなれば「方針」です。創業者や、今のオーナーが何がしたくて、この会社を立ち上げたのかわかれば一番よいです。例えば「お客様第一」であってとしても、その「お客様第一」というたった五文字の「理念」を掲げるようになった、長い期間と経緯がある場合と、単にお客に受けがいいだろうと、綺麗事をいっているだけの「理念」がありますが、5文字だけでは他人には区別がつきません。そのあいまいな「理念」に賛同したから「転職」する、というのは、その経営者のことを知っている人ではないと、「綺麗事、マニュアル人間」なのかな?と私なら思います。

こういうイキリの人は、顔がイラストか、自信たっぷりで、インスタ映えしそうな充実した生活をアピールした写真を載せている人が多いのはなぜでしょうねえ?(杉下右京が話しているようなイントネーションでイメージしてね)

面接中に、腕を組み続ける人はNG

再びTwitterのタイムラインでの会話

人事担当者(面接官)「腕を何度も組んで話をする求職者は不採用にした」

これは…ありえますね。

私が採用担当者でも同じく不採用かマイナス評価にします。

腕を組む行為は、本の表紙での著者のポーズで採用されていますが、正直商談している時とか人と話す場面ではできる限り使用しないほうがいいと思うのです。本とかセミナーの案内はそのポーズの方が詳しそうな、強そうなイメージがあって、売れ行きがいいんでしょうが、現実は違います。

以下「腕を組む人の心理」です。とある本から引用しました。

  • 「相手の意見を否定する時」
  • 「その話は聞き入れられない」
  • 「相手から自分を守る盾」

つまり腕組みは対決、対立する相手に対する体勢です。

対立する相手や、戦う相手になら、それもありでしょう。

面接の場は対立する相手ではない。これから一緒に仕事をしたい相手です。その相手に対して腕組みをするということは、実際働いている仕事場でもお客や同僚相手にも腕組みをするでしょう。

初めて会うお客様に対して腕を組む人にいい印象を持ちますか?そういう人間をお客様の前に立たせたいですか?

腕を組むのって、本とかセミナーとか格闘技とかの写真撮影の時だけだと思うのです。自分は対戦相手より、同業他社より勝てる、というファイティングポーズ。ちなみに民間会社の経営者や行政の首長や政治家のホームページをご覧になるとわかるのですが、お客様や関係者各位に対して腕を組んだりしないと思うんです。

腕組みするのは、評論家、インフルエンサー、ラーメン屋、Eスポーツの選手、佐〇最高採用責任者ぐらい。なんとか自分を大きく見せようと必死です。対戦相手がいる場合は別ですが、お客や同僚に対してするのは、下に見られたくないという自信のなさと臆病さの表れ。(ラーメン屋とEスポーツの選手は、他の料理や他のスポーツと比較して下に見られているイメージを持たれないように、宣伝担当者がそうさせているのでしょう。)

え、人事の〇藤はどうなんだって?もし面接官で腕組みしている人がいるのならば、それはその面接にやる気がないか、下手に出る求職者相手にさも会社のおかげなのに、自分が偉いと勘違いして、悦に入っているだけでしょう。

まあ個人事業主の場合は売り上げや利益が直接自分に跳ね返るだけなので、好きにすればいいと思います。

結論:腕を組むのが”癖”になっている人で、一般企業の面接を受けようと思っている人はその”癖”は辞めましょう。