けーせらーせらー

仕事、メンタル、労働法、転職、書評に関するエトセトラ

高学歴、エリートだからメンタル疾患になる、という意見の検証

「高学歴のエリートできたからメンタル疾患になったんだ」

これは10数年前、メンタル疾患で入院していた際にその時の主治医に言われた言葉である。

この言葉の意味が理解できず、また納得できなかった。この主治医に問いただした記憶があるが、言葉数が少ない医者でもあり、また当時の病状から記憶も定まらなかったため、今まで自分の腑に落ちる回答を得ることができていなかった。

そんな時、本屋で手に取った本で、自分なりの回答というか、手がかりを得ることができたのでここに記すことにする。

その本の内容は実験によってこれまでのイメージと違った興味深い結果を紹介するような本であった。

・頭のよい子と言われて育てられた子供は、失敗を恐れるのか挑戦的な難易度の高い問題にチャレンジしない

・頭がよい子と言われて育てられた子供は、実際の結果より良い結果を虚偽報告する傾向がある

これは子供自らが、頭が良いという評価が覆らないように、失敗をしないよう、悪い結果が公表されないよう行動する傾向がある、という分析がされていた。

また、子どもの頃学校の成績が良い人は不安が強いから失敗しないよう準備をするから成績が良いという子どももいる、という分析も乗っていた。(この本では「女性」の方が不安が強いから、小さい子供の時は男性より女性の方が成績がよい割合が高い、という分析だった。あくまで「割合」である。)

・不安が強い人は脳内物質であるセロトニンが減少する。セロトニンの減少は、うつ病の原因の一つとして言われており、現に不安の強い女性の方がうつ病罹患率が高い

上記の記述を見て、ふと気づいたのだ。10数年前に医師が言っていた「「高学歴、エリート」というのは「失敗しないよう、頭が良いという評価が続いている人間」ということではないか、と。そして「頭が良いという評価が続くために、失敗しないよう、日々失敗を恐れ、失敗することの不安がずっと続いている状態」のことを指してしているのではないか、と。

そう理解すると、医師の指摘も納得がいく。過去の記事にも書いたが、私は失敗を異常に恐れている。また、将来への不安が強い。それに、失敗しないように頭の中で物事が起こる前から最悪の事態などいくつかをシュミレーションしてしまう傾向がある。

・不安が強いと脳内物質のセロトニンが減少する。セロトニンの減少はメンタル不調を引き起こす原因と言われている。

これまで「高学歴、エリート」がメンタル疾患になる、というのは「高学歴のエリート」は失敗の経験がなく一度の失敗で心が折れるからだ、要するに逆境に弱いと、さも「高学歴・エリート」できたことが悪かったかのようにとらえて、反発していた。ただ、医師は自分よりも遥かに「高学歴・エリート」なので、では自分らはどうなんだとも思っていた。

要するに「高学歴・エリート」が全部が全部メンタルが弱いのではなく、失敗を恐れた結果勉強してきた「高学歴・エリート」は社会人になった今でも失敗を恐れて行動しているので、セロトニンの減少しがちなため、メンタル不調に陥りやすいと言いたかったのではないか、と。

「高学歴・エリート」だったのは過去の結果であり、その過去に永遠に縛られるわけでもないということである。要するに対処すべきは「失敗や悪い結果に対する不安」である。

一応補足しておくが、セロトニンの減少は、何も失敗を恐れるという理由だけで減少するわけではない。もっと色々ある。またセロトニンが高ければメンタル疾患にならない、というわけでもない。要するに唯一絶対ではない。

また、一方で、より自分より難易度の高いことにチャレンジする傾向がある「高学歴・エリート」も当然ながら一定割合いる。あくまで「傾向」である。そういう失敗をあまり恐れないタイプの「高学歴・エリート」の場合はタイトルの意見には当てはまらないだろう。

ただ、メンタル疾患は別に不安だけで引き起こされるわけではない。長時間労働とか睡眠不足とか不規則な生活とか色々原因はあるだろう。

ただ、「高学歴・エリート」とメンタル疾患の因果関係が自分なりに整理できたのでアウトプットした次第である。私は医者でも科学者でもないので、あくまで自分なりの答えである。